前編では、重松食品が150年かけて磨き上げた「伝統の製法」と、地下水へのこだわりを紹介しました。しかし、歴史があるだけの堅苦しいお店ではありません。その伝統を支えているのは、五代目・重松雄二さん(以下、雄二さん)の驚くほどアクティブで柔軟なライフスタイルです。
「遊びの中にこそ、仕事に活かせるヒントがある」そんなユニークな哲学を持つ雄二さんの日常を覗いてみると、老舗が現代まで愛され続ける本当の理由が見えてきました。後編では、職人の技術から意外な趣味、今日から真似したくなる絶品レシピまで、重松食品の魅力をさらに深掘りします。
職人の経験が作る驚きの弾力

重松食品のこんにゃくの美味しさを支える工程の一つが「バタ練り」。この工程は、こんにゃく粉と凝固剤を混ぜ合わせる工程で、まさに「味と食感の決め手」となる重要な場面です。
今の主流である高速攪拌機とは違い、低速で丁寧に空気を抱かせながら練り上げることで、重松食品特有の「粘りのある、力強いコシ」が生まれます。

雄二さんは地元の小学校で出前授業も行っています。子供たちが混ぜたものと雄二さんが混ぜたものでは、同じ材料でも食感が全く違うのだとか。
「混ぜる速さやタイミング、それが全て。経験がモノを言う世界なんです」と語る雄二さん。子供たちに「やっぱり五代目が作った方が美味しい!」と言われるのが、職人としての誇りを感じる瞬間だそうです。
「遊びの合間に仕事をすべし」多趣味な五代目

重松食品には、一見すると驚くような家訓があります。それが「遊びの合間に仕事をすべし」というもの。これには「遊びの中にこそ、仕事に活かせる何かが必ずある」という深い意味が込められています。
雄二さんは、まさにこの家訓を体現する人物。その趣味の幅は驚くほど広く、多才です。

- アスリートの一面:フルマラソンの自己ベストは3時間29分、中島トライアスロンも完走するほどの鉄人
- 乗り物とアウトドア:愛車のハイエースやスーパーカブ、ロードバイクを乗りこなし、家族でキャンプへ
- 機械分解:壊れたラジカセやビデオデッキをバラすのが大好き。工場の機械が故障しても、県外からメーカーを呼ぶ前に自分で修理することも

これらの趣味は、単なるリフレッシュではありません。自転車仲間や地域のコミュニティを通じて「こんにゃく屋の雄二さん」として親しまれ、そこから新しい注文や人脈が生まれることも多いのだとか。
「趣味を本気で楽しむ姿」が、結果としてお店の信頼とPRに繋がっているのです。
地域と共に歩む。PTA会長としての顔と自家栽培への挑戦

雄二さんはお店の顔であると同時に、地域のリーダーとしても活躍しています。地元の小学校でPTA会長を務め、入学式や卒業式では祝辞を述べることも。
朝5時から学校給食の納品準備に追われながらも、地域活動を疎かにしないのは「この街の人たちが温かく、助けられている。自分もできることで恩返しをしたい」という想いがあるからです。その地域愛は、新しい挑戦にも現れています。

東日本大震災後の風評被害をきっかけに、「地元産で100%安心なものを届けたい」と、松山市内でのこんにゃく芋の自家栽培を開始しました。こんにゃく芋は、一度の失敗で収穫がゼロになるほど栽培が難しい作物です。
近年の猛暑による生育不良など苦労も絶えませんが、将来的に全ての商品を「オール重松産(自家製芋)」にするという夢に向かって、一歩ずつ進んでいます。
五代目直伝!こんにゃくが主役になるレシピ

「こんにゃくって、おでん以外にどう使えばいいの?」そんな悩みを解決する、雄二さんイチオシのレシピが「カレーにこんにゃく」です。「意外に思うかもしれませんが、こんにゃくは他の味を邪魔せず、旨味をしっかり吸い込んでくれるんです」と雄二さん。
- 煮崩れしない:翌日のカレーでも、ジャガイモのように溶けることなく、プリプリの食感が残る
- ヘルシーにかさ増し:満足感はそのままにカロリーを抑えられるため、ダイエット中の方にも最適

他にも、お店で人気の「からしこんにゃく」を使ったレシピも教わり、実際に作ってみました。薄切りにしたからしこんにゃくに、ポン酢とネギを合わせるだけで完成。ピリッとした辛みと爽やかな酸味が絶妙にマッチします。
全品アク抜き不要なので、伝統の「バタ練り」が作る力強いコシをそのまま楽しめました。手軽なのに主役級で、お酒の肴にも最高な一品です。

他にも、板こんにゃくを細かく切って麻婆豆腐に入れたり、お味噌汁の具にしたりと、普段の料理に「プラスアルファ」で使うのが重松流。
公式ホームページでも、人気の「こんにゃく寿司」や「筑前煮」などのレシピを公開しているので、ぜひチェックしてみてください。
おわりに:150年の伝統と、新しい風を味わいに

明治から続く伝統製法を守りながら、五代目・雄二さんの柔軟な発想で進化を続ける重松食品。そこにあるのは、単なる食品製造の枠を超えた「地域への愛」と「美味しさへの情熱」です。
工場のシャッターが開いていれば、それは歓迎の合図。運が良ければ、直売ならではの嬉しい出会い(B品のおまけ)があるかもしれません。松山の水と風土が育てた本物のこんにゃくを一口食べれば、食卓の常識が変わるはず。
150年の歴史と五代目の遊び心が詰まった「本物の味」を体験しに、永木町へ足を運んでみませんか?
店舗・会社情報
| 項目 | 内容 |
| 会社名 | 重松食品 |
| 代表者 | 五代目 重松雄二 |
| 住所 | 愛媛県松山市永木町1-31 |
| 営業時間 | 8:00~18:00 |
| 購入の目安 | 「シャッターが開いていたら」いつでも購入可能 |
| 定休日 | 日曜祝日(祝日は9月以降など営業する場合あり)、お盆、正月 |
| 駐車場 | 2台分あり |
| 電話番号 | 089-931-3656 |




