二子玉川の駅から少し歩いた路地裏に、ひっそりと佇む一軒の居酒屋があります。
その名も「ます家」。

昼はビストロとしてランチやカフェ利用ができ、夜になると赤ちょうちんが灯り、居酒屋としての顔を見せるこの店は、まさに“二子玉川の隠れ家”。仕事帰りのビジネスパーソンや地元の常連客が自然と集まり、肩肘張らずに本格的な料理とお酒を楽しめる、温かみのある空間です。
名物・黒おでん|染みる大根ととろける牛すじ
「ます家」に来たら、まずはこれを頼んでほしいのが「黒おでん」です。
静岡風の濃いめの出汁でじっくり煮込まれたおでんは、味は驚くほどまろやかで、出汁の旨みがじんわりと広がります。

特におすすめなのが「大根」。箸を入れるとスッと切れ、じゅわっと出汁が染み出すその瞬間は、まさに至福。口に入れた瞬間、ほろりと崩れ、出汁の旨みと大根の甘みが一体となって広がります。
もう一つの主役が「牛すじ」。とろとろになるまで煮込まれた牛すじは、脂の甘みと出汁のコクが絶妙に絡み合い、噛むたびに旨みがあふれ出します。
ホッピーや焼酎との相性も抜群で、寒い夜には心も体も温まる、まさに“沁みる”逸品です。
馬ぶつ:肉の旨みがダイレクトに届く
もう一つの名物が「馬ぶつ《馬刺しの赤身のぶつ刺し》」。一般的な薄切りの馬刺しとは異なり、ます家では厚めにカットされた“ぶつ切り”スタイル。これがまた、肉の旨みをダイレクトに感じられる贅沢な一皿です。

赤身のしっとりとした舌触りと、ほんのりとした脂の甘みが絶妙なバランス。
添えられたにんにく醤油や生姜で味変も楽しめ、噛むほどに旨みが広がります。
新鮮な馬肉だからこそできるこの厚切りスタイルは、素材への自信の表れ。日本酒や焼酎と合わせて、じっくり味わいたい逸品です。
やきとん|ささみ柚子こしょう・じゃがバター
串焼きメニューも豊富で、特に「やきとん」は人気の高いメニュー。中でも筆者が感動したのが「ささみ柚子こしょう」。

ふっくらと焼き上げられたささみに、爽やかな柚子胡椒がピリッと効いていて、さっぱりしながらも深い味わい。
1本から注文可能で、女性にも人気のヘルシー串です。
他にもレバーやかしら、たん、せせりなど、定番部位も揃っており、串焼きだけで一杯いけてしまうほどの満足感。炭火の香ばしさが食欲をそそり、ついつい追加注文してしまう魅力があります。
居酒屋の定番「じゃがバター」も、ます家では一味違います。
皮付きのホクホクじゃがいもに、たっぷりのバターがとろけて絡み、香りだけでお酒が進みそう。
仕上げに振られた岩塩が、素材の甘みを引き立て、シンプルながら記憶に残る味わいです。
派手さはないけれど、丁寧な火入れと絶妙な塩加減で、思わず「もう一皿」と言いたくなる、そんな一品です。
〆にもつまみにもなる万能メニュー
〆に頼みたいのが「夜店のソース焼きそば」。しかし、ます家の焼きそばは、ただのB級グルメではありません。
太めのもちもち麺に、豚肉・キャベツ・もやしがたっぷり。

甘辛く香ばしいソースが鉄板で焼かれ、香りだけで食欲をそそります。青のりと紅しょうがが添えられ、懐かしさと満足感が同居。
お酒のつまみにもなるので、途中で頼んでも最後まで美味しくいただける万能メニュー。シェアしても、一人で独占しても満足できる一皿です。
レトロな店内でのんびりご褒美飲み
「ます家」の魅力は料理だけではありません。店内は木の温もりを感じるレトロな空間で、昭和のポスターやアンティーク調の照明が、どこか懐かしく、ほっとする雰囲気を醸し出しています。
一人飲みならカウンター席で、スタッフとの会話を楽しみながらゆったりと。デートなら照明が柔らかいテーブル席で、落ち着いた雰囲気の中で語らいを。友人との飲み会なら、串焼きやおでんをシェアしながら盛り上がれます。

また、店員さんの接客も温かく、初めて訪れる人でもすぐにリラックスできる空気感があります。常連さんとスタッフの軽妙なやりとりを聞いているだけでも、なんだか心が和みます。

都会の喧騒から少し離れた場所で、気取らずに美味しい料理とお酒を楽しめる「ます家」。
その魅力は、料理の美味しさだけでなく、空間の心地よさ、人の温かさ、そして何より“また来たくなる”という不思議な引力にあります。
二子玉川の夜、赤ちょうちんの灯りに誘われて、ふらりと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの心とお腹を満たしてくれる、そんな一夜になるはずです♪
★ます家 二子玉川店
所在地:東京都世田谷区玉川3丁目9−2 土屋ビル 1F
営業時間:平日16:00-23:30・土日祝12:00-23:30
定休日:なし
アクセス:東急田園都市線・東急大井町線 二子玉川駅 徒歩3分
電話:03-3707-4430
公式HP:ます家 二子玉川店【公式】



