和歌山県橋本市のご当地グルメ「はしもとオムレツ」。たまごの生産量が県内最多であることから始まった取り組みには、2026年3月現在、14店舗が登録しています。

はしもとオムレツの認定店は、洋食レストランをはじめ、居酒屋や中華料理店など実にさまざま。昨年には、天然温泉「ゆの里」系列の「神野々麦酒醸造所」も仲間入りしました。

醸造所併設のビアパブ「Konono BEER STOP」では、独自のクラフトビールをはじめ、フードメニューも充実。なかでも、チーズスパニッシュオムレツは、はしもとオムレツに認定されているオリジナルの一品です。

今回お話を伺ったのは、神野々麦酒醸造所でマスターブルワーを務める岩本貴史さん。
ビアバーでの勤務や、委託醸造の経験を経て、運営元である株式会社重岡へ。新聞で求人を見つけたときは「地元の橋本で、大好きなビールを仕事にできるなんて!」と運命を感じたそうです。

かねてからはしもとオムレツには興味があったという岩本さん。登録のきっかけには、どんなエピソードがあったのでしょうか。興味深いお話の数々とともに、源泉をたどっていきます。
ジャンク感もありつつ、ヘルシーに。スパニッシュオムレツに込めた「健康への気配り」
神野々麦酒醸造所で提供するはしもとオムレツはスペイン風。ビールに合うようにパンチを効かせるため、チーズベースのオムレツを考案しました。
「見た目からインパクトを持たせたい」と、オムレツでは珍しいスキレットでの提供。運ばれるとすぐに、チーズの濃厚な香りがダイレクトに広がります。

オーブンでじっくり焼き上げることで、オムレツとしては目新しい「外カリ・中とろ」の食感に。オムレツをひとさじすくうと、「待っていました」と言わんばかりに、みよーんとチーズが伸びます。

たまごには徐々に熱が加わって、キッシュのような口ざわりに。オムレツの中にはじゃがいもやにんじんが入っており、ごろごろとした食感も楽しめます。
調理を担当している店長にもお話をお聞きしたところ、メニュー開発にあたり意識しているのは、ジャンクかつヘルシーに仕上げること。神野々麦酒醸造所をはじめ、ゆの里グループでは一貫して「健康」への理念を大切しています。
しかし、ビールのおつまみになるもののほとんどは、いわば添加物の代名詞。カロリーや栄養価の懸念から、食べたくても躊躇されることが少なくありません。
ビールを飲んでくれる人に、健康になってもらいたい。その想いから、できる限り自社ファームで栽培した野菜を使用しています。

「からだのことを気にして、いつもはためらってしまうかもしれない。だからこそ、ここでは思いっきりかぶりついてもらえたら」と岩本さんは熱く語ります。
ジャンクもヘルシーも同時に叶う、ありそうでなかった一皿。「ここでなら、安心して手を伸ばせる」と、喜んでもらえることも多いそうです。
「できたらいいな」と考えていたはしもとオムレツ。ふと夢を話したら、あっという間に加速した
かねてからぼんやりと、はしもとオムレツに興味を抱いていた岩本さん。登録の契機をお尋ねすると、「こんなに早く実現するとは思っていなくて、驚きました」と当時を振り返ります。
きっかけとなったのは、ある日、市内の居酒屋へ飲みに行ったときのこと。そのお店は、神野々麦酒醸造所よりも一足早く、はしもとオムレツに登録していました。
ふとした拍子に「(はしもとオムレツに)興味あるんですよね~」と店主にポロっと話した岩本さん。
すると、次の日には役所の方がお店に来てくださり、あっという間に手続きが完了。「いつかできたらいいな」と漠然と考えていたはしもとオムレツへの歩みに、一気に拍車がかかりました。
ちょうどその頃、神野々麦酒醸造所では、今後のメニュー展開を検討し始めていた時期。「独自のことをするなら、地産地消をはじめ、橋本ならではのものをつくりたい」と考えていた岩本さんにとって、まさしくベストタイミングでの加入となりました。

地域活性のイベントをビアパブで。オンリーワンのモデルケースを目指す
はしもとオムレツ認定店になって約半年。岩本さんに今後の目標をお聞きすると、もうひとつ、やってみたい取り組みがあるといいます。
それは、神野々麦酒醸造所を拠点に、地域活性のコミュニティを作ること。
生まれも育ちも橋本市の岩本さん。地元へは「かっちりとした真面目なまち」という印象を抱いています。地域活性に関わる機会が市内にはまだまだ少なく「もっと密につながれたら」ともどかしくなることもあるそうです。
お互いを誘い合うことで、一丸となってまちを盛り上げたい。その第一歩として、今年2月、地域おこし協力隊やクリエイターとコラボしたイベント「〜TSUNAGARU〜地域交流会」を開催しました。

イベントを創るうえでアンテナを張っているのは、デジタル化が進む現代社会。文化、教養、個性――。人間性を育む要素は、どれだけAIが発達したとしても、人とのつながりなしには生まれません。
いずれは、お客さんを招いて、体験イベントも開きたい。そう語る岩本さんには、現在9ヵ月の娘さんがいらっしゃいます。「大人になったときに『このまち(橋本)で楽しいことがあったな』と思い出してもらえたら」と穏やかな笑みを浮かべます。

美味しいビールを作るのは、ゴールではなくスタート。神野々麦酒醸造所がカルチャーの地になる日は、そう遠くないのかもしれません。

※商品の価格、情報は、取材時点のものです。
店舗情報
店名:神野々麦酒醸造所(Konono BEER STOP)
住所:和歌山県橋本市神野々906-1
定休日:火曜日
営業時間:12:00~18:00(L.O17:30) ※金・土曜は12:00~21:00(L.O20:30)
電話番号:0736-33-1126
Instagram:@konono_beer
アクセス
南海高野線「学文路駅」より徒歩17分
JR和歌山線「紀伊山田駅」より徒歩12分



