「いらっしゃいませ、こんにちは!」
入店すると同時に、元気いっぱいの挨拶とキラキラした笑顔でむかえてくれました。
今回訪れたのは、徳島県名西郡石井町にある「自家焙煎 クエイル珈琲」です。
徳島市内から徳島県道30号徳島鴨島線をひたすら西に、車で走ること20分。大型ショッピングセンターを通り越し脇道に入ると、あたり一面に田んぼが広がります。
すぐ近くに大通りがあるとは思えないほどのどかな場所に、おいしそうな香りが漂います。
コーヒーの香ばしい香りに誘われて、ついフラッと立ち寄ってみたくなる・・・そんなクエイル珈琲の魅力をお届けします。
焙煎を間近で見られるコーヒー店
カウンターのすぐ後ろには、焙煎機があります。ゴロゴロ、ガラガラと音をたてながら、一生懸命にコーヒー豆を焙煎しています。
機械を見たことはあっても、実際に動いているところを見るのは初めてです。
焙煎した豆は、当日、もしくは次の日に提供しています。
「できるだけ新鮮なものをお渡ししたい」という店主のこだわりが嬉しい。
特別に焙煎前のコーヒー豆を見せていただくと、思いもよらない姿にビックリ!色は緑で、青々とした豆のにおいがしました。
焙煎された豆は、欠けているものや色づきが悪いものなどを丁寧により分けます。
機械の中の温度は180℃~200℃くらいになり、夏場の部屋の温度はエアコンをフル稼働させても40℃を超えることがあるそうです。
午前中は焙煎している確率が高いので、焙煎作業を間近で見てみたい人は朝が狙い目です。
気に入ったコーヒーを選べる
クエイル珈琲では、常に4種類のコーヒーを試飲できます。
「たくさん種類があるとおもしろいですし、感じ方はそれぞれ違います。まずは飲んでもらって、好みのものを選んでほしいです」
説明を聞くよりも、実際に飲んで味わってみるのが一番わかりやすいですよね。試飲から会話のきっかけにもなります。
「軽い気持ちで選んでほしい」という店主の心づかいが、気持ちをほっこりさせてくれます。
木頭のゆず酢を使った「ゆずラテ」
クエイル珈琲には、大人から子どもまで楽しめるメニューがそろっています。
中でも目を引くのが、木頭のゆず果汁を使用した「ゆずラテ」です。
木頭ゆずとは、徳島県那賀町木頭地区で生産された柚子のことです。皮がしっかりとして肉厚で、豊かな香りと酸味の強さが特徴です。
昭和52年には、果樹としてはじめて朝日農業賞を受賞するなど、日本一の柚子ブランドとして長年愛されてきました。
コーヒーに柚子を使用するのは、とても珍しいのでは?そう思って、さっそくいただいてみました。
コーヒーの深い味わいのすぐ後に、さわやかな柚子の香りが口の中を駆け抜けます。さっぱりとして飲みやすく、後味もスッキリ!いくらでも飲めてしまいそうです。
ゆずラテは、店主の井口さんのご友人が、木頭で柚子を作っていたことがきっかけで考案されました。
エスプレッソと柑橘は相性がよく、温かいメニューだけでなくラテともあわせてみようと思い作られたそうです。
ちょうど梅雨時期でむし暑かったこともあり、コーヒーのうまみと柚子の爽快さが一気にすずしさを感じさせます。
苦みも少なく、はちみつの優しい甘さでホッとひと息つくのにおすすめです。
人が集まる場所に
店主の井口さんは、ホテル喫茶に勤めていたときにコーヒーのおもしろさに気づきました。そのころから、いつかコーヒー屋さんを開きたいと思っていたそうです。
「コーヒーは、自分で味を作れるところがいいなと思いました。決まりきったことがなく、みんながみんなを認めあえる。優しい文化もすてきだなって思います」
いまでは老若男女をとわず、多くの地元の方が訪れています。中にはコーヒーにとても詳しい小学生のお客様もいらっしゃるのだとか。
たくさんの人とふれあって、交流するのも楽しみの一つです。
「お客様同士でコーヒーを飲みながら話ができる、そんな楽しく人が集まる場所にできたらいいなと思っています」
クエイル珈琲の「クエイル」は、英語で「うずら」という意味があります。自宅でうずらを飼っており、縁起がいい鳥というのもあって店名にしたそうです。
現在、スタッフの伊槻さんがネット部門を担当しており、全国へコーヒーを届けています。
「羽を広げてはばたいていけたら。そんな思いもこもっています」
コーヒーを通じて、人とのつながりを大切にするクエイル珈琲。温かく優しい空間で、お気に入りの一杯を見つけてみてはいかがでしょうか。
お店の情報
住所:〒779-3222 徳島県名西郡石井町高川原字天神709-1
営業時間:火曜~金曜 10:00~16:00 土曜・祝日:10:00~15:00
定休日:日曜・月曜
営業時間はときどき変更があります。その場合はInstagramでお知らせします。