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スポット  |    2026.03.02

幼魚水族館がリニューアル!変化した見どころを館長に聞いてみた【後編】

幼魚水族館では、2026年1月17日に展示のリニューアルが実施されました。前編の記事では、幼魚水族館ならではの展示の魅力について紹介しています。

後編となる今回の記事では「リニューアル後の変化」について、館長としてメディアでも活躍されている鈴木香里武(すずきかりぶ)さんにお話を伺いました。

前編はこちら

幼魚が主役!幼魚水族館の魅力を鈴木香里武館長に聞いてみた【前編】

リニューアルで変化した3つの展示

2022年7月のオープンから時を経て、幼魚水族館の3つの展示がリニューアルしました。

  • 深海コーナー:水中ドローンで探る「深海幼魚」の世界
  • アイドルコーナー:じっくり向き合う幼魚の「推し活」
  • 標本コーナー:生き物の「美しさと学び」の拡大

それぞれの展示の見どころについて、香里武館長にお話を伺っています。

深海コーナー:水中ドローンで探る「深海幼魚」の世界

これまでの深海コーナーでは、水中写真家「峯水亮(みねみずりょう)」氏の作品をとおして「浅瀬に上がってくる深海幼魚」を伝えてきました。今回のリニューアルでは、さらに深海へ踏み込み、水中ドローンでより深い水域を探る展示に変わっています。

(香里武館長)
「これまで見たくても見られなかった深海幼魚の生き様を、よりリアルに覗いてみるような展示に変わっています。深海幼魚の生体展示も、今後さらに充実させていく予定です」

深海コーナーには、実際に水中ドローンで撮影された映像も公開されています。水中ドローンの開発者である株式会社FullDepthの「伊藤昌平」氏と共に、深海の様子や生き物の生態に迫るリアルで興味深い映像でした。

その他にも深海に生息する魚やサメ、エビなどの生き物も展示されています。個人的に気になった生き物は、初めて見たオオグソクムシの赤ちゃん(マンカ幼生)です。目元に特徴的な模様があり、小さな体ですがオオグソクムシらしさが伝わりました。

アイドルコーナー:じっくり向き合う幼魚の「推し活」

アイドルコーナーには、香里武館長が「独断と偏見」で選んだ幼魚アイドルのベストテン水槽が並んでいます。

(香里武館長)
「以前までは地元が舞台のアニメとのコラボ展示でしたが、コラボ終了を機に館長色を強めた幼魚の推し活コーナーに生まれ変わりました。ちなみに、独断と偏見でアカモンガラという魚が1位です」

アイドルコーナーのテーマの一つは、幼魚の「正面顔を撮ってみよう」というアプローチです。魚が正面を向く瞬間を待つには時間がかかります。だからこそ、向き合い続けた時間は、ただ見ただけでは得られない体験になるはずです。

(香里武館長)
「ずーっと一匹と向き合っているからこそ、可愛らしさや表情の面白さに気づきます。そして、正面から撮ってみようという目的があれば、水族館での時間が有意義なものになるはずです。それって、まさに推し活だなと思います」

幼魚水族館の水槽展示で個人的に推しているポイントは、幼魚と成魚の姿を比較できること。写真の中央付近に映っている黒い物体は、イロカエルアンコウの幼魚です。水槽の奥側に並んでいる成魚と見比べてみると、体の大きさや色がまったく違いますよね。

標本コーナー:生き物の「美しさと学び」の拡大

中部大学の「武井史郎」氏が制作に携わる透明標本コーナーも拡大されました。来館者からの「どうやって作るの?」という疑問に応えるため、製作工程を解説するスライド上映も新たに導入されています。

(香里武館長)
「残念ながら死んでしまった幼魚たちを透明化して、体内の構造が見える綺麗な展示に生まれ変わらせてくださっています。とても人気がある展示なので、今後も棚を増やして拡大していく予定です」

発光器や目の裏の構造など「外からは見えない器官」が観察できることも透明標本の魅力です。一部の標本には、食べたものが胃袋の中に残っていたりすることもあります。

(香里武館長)
「胃袋に糸くずのようなものが見られる標本もありました。マイクロプラスチックの問題も含め、透明標本を見るとさまざまな角度から気づきが得られると思います」

幼魚の成長を見届ける「卒魚式」も人気

幼魚水族館を語るうえで欠かせない取り組みが、幼魚たちの卒業式「卒魚式(そつぎょしき)」です。幼魚は成長すると姿や生態が変わり、飼育環境も変化します。「大きくなったらどうするの?」という疑問は、幼魚水族館の構想段階から想定されていたそうです。

(香里武館長)
「幼魚水族館では、成長した魚を他の水族館へ無償提供する方針を最初から決めていました。海へ戻すことは環境変化のリスクがあり、誤解も生まれやすいため、筋をとおす仕組みとして卒魚式を設計しています」

卒魚式の様子(画像提供:幼魚水族館

卒魚式に参加するお客さんには、他館に送り出される(進学していく)魚たちを見て涙ぐむ方もいたそうです。小さな幼魚が成長していく過程を見届けられる、幼魚水族館ならではのエピソードだと思いました。

(香里武館長)
「本当に我が子を送り出すような気持ちになりました。という言葉を常連さんから聞いて、幼魚ならではの物語があることに気づかされました。卒魚式をきっかけに、進学先の水族館へ足を運ぶお客さんもいますよ」

幼魚水族館で気づく「生き様」の物語

取材の最後に幼魚水族館が伝えたい「メッセージ」をお伺いしました。香里武館長が一貫して大切にしているのは、大海原で生き残る幼魚たちの「生き様」を伝えることです。

(香里武館長)
「幼魚たちは、さまざまな生存戦略で生き抜いています。まったく正反対の戦略で生き残っている幼魚もいて、身をもって生き方の正解は一つじゃないと教えてくれます。幼魚水族館で生き方のヒントや小さな勇気を持ち帰ってもらえたら嬉しいですね」

リニューアルした幼魚水族館では、小さな体で懸命に生きる幼魚たちの物語を伝えています。生態に詳しくなるだけでなく、多様な生き方にそっと寄り添ってくれる場所です。休日の予定に悩んだときは、ぜひ幼魚水族館に行ってみませんか?

施設情報

幼魚水族館
住所:静岡県駿東郡清水町伏見52番地1 サントムーン柿田川オアシス3階
電話番号:055-928-6429
営業時間:10:00~18:00(最終入館:17:00)
休館日:なし(年に2回、設備点検の臨時休業あり)

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この記事を書いた人

taku(伊藤拓也)

愛知県出身。執筆業務をとおして「人や社会の役に立つ」をモットーに、フリーランスのライターとして活動しています。水の中の世界が好きで、生き物や水族館の魅力を発信するメディアも運営中です。地元の魅力を届ける橋渡し役として貢献したいと思い、Mediallで情報発信しています。

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