Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンをキュレーションする地方創生メディア

スポット  |    2024.05.05

自分の好きをかたちに。沖縄のハンドメイド作家jemmaさんが、宜野湾市に雑貨と手芸の店「juno」を構えた理由

落ち着いた色合いだけどポップなデザインで、身につけたときに気分の上がるビーズピアスやバッグを中心に作っているハンドメイド作家のjemmaさん。細かいビーズ刺繍のピアスは、1つ1つが手縫いで作られています。

自分の好きや楽しいと思う気持ちを大切にしながら、作品を生み出しているjemmaさんに、ハンドメイド作家になったきっかけやお店を構えようと思った理由を伺ってみました。

ハンドメイドをはじめたきっかけは、自分の身につけたいものがないから。

沖縄のハンドメイド作家jemmaさんのがつくるビーズアクセサリー

話はjemmaさんが高校生のときに遡ります。雑誌の中には素敵なものが溢れているのに沖縄では置いているお店が少ない。それなら作ってしまおう!と思い、高校生のときにハンドメイドを始めたjemmaさん。高校の卒業パーティーに着ていく服も自作したそう。

もともとものづくりやデザインを考えるのが好きで、母親にミシンの使い方を教えてもらい独学でハンドメイドを始めたそうです。趣味として続けていましたが、本格的に始めたのは2015年頃。当時働いていたセレクトショップのオーナーさんから「作品をお店に置いてみたら?」とアドバイスを受けて、アクセサリー作りを始めます。

宜野湾市の雑貨と手芸屋「juno」で販売する豊富なビーズ

ーアクセサリーの中で、なぜビーズという素材を選んだのでしょうか。1つ1つが手縫いなんですよね。

「なんでしょう。一番飽きなかったからですかね。作りながらもデザインを変えられる。無限にアイデアが広がっていく感じが自分に合っていたのかもしれません。手縫いしてるのも、自由に好きなようにアレンジできるから。あとは、自分で作品を生み出している感覚や達成感が得られるからだと思います」

ーどんなときにデザインが思いつくのでしょうか。何かインスピレーションを受けているものはありますか。

「ひらめきが多いですね。パっと降りてくるときもあれば、ふと目に入ったものがデザインに見えたり。可愛い生地を見つけたときに、この柄だったらこんなバッグにしたいと思い浮かんだりしますね。思いついたらすぐにノートに絵を描いてメモしています」

沖縄のハンドメイド作家jemmaさんのアイデアメモ
普段デザインをメモしているノート。素敵な作品のもととなるアイデアが詰まっています。

ーデザインに対するこだわりやコンセプトはありますか。

「実は特にないんですよ(笑)。でも、常に新しいデザインを考えるようには心がけています。バックに関しては年に2回オーダー会を開催していて、ずっと同じものだと飽きられちゃうじゃないですか。いつ来ても『こんなデザインもあるんだ』と新鮮に思ってもらえるようにしたいです。

自分自身が飽きっぽいので、新しい作品を作り続けたいのもあります。派手すぎるものは苦手なので、気軽に自然に身に着けられて、でも他では見かけないデザインとか。身に着けるとテンションが上がる作品を意識しています」

沖縄のハンドメイド作家jemmaさんが作るハンドバッグ

ー筆者自身、jemmaさんの作品のファンで、子供のころ大好きだったビーズのアクセサリーが大人になっても楽しめる嬉しさというか、落ち着いた色で気軽に身に着けやすいけど、子供のころのワクワクも思い出させてくれるデザインが好きですね。

「凄くうれしいです。ビーズのアクセサリーは安っぽく見えてしまうこともあるので、あまりチープな印象にならないデザインを意識しています。バッグの場合は、TPOに左右されず日常づかいできるかなとか、商品としての見せ方を考えているかもしれません」

ー作品を作っていて嬉しかったことや、大変なことはありますか。

「お客様が飽きずに作品をコレクションしてくれたり、オーダー会にも何度も来てくださるお客様がいるのは嬉しいですね。大変なのは、デザインが思いつかないときです。でも無理にアイデアを探そうとはせず、ふとした出会いを大事にしています。作りたくなったら作る。わりと自分のペースで制作していますね」

ときめきを詰め込んだ小さなお店「juno」

働いていたセレクトショップでの委託販売やマルシェなどのイベント出店でハンドメイド作家としての活動をスタートさせたjemmaさん。そして、2019年に小さな手芸&雑貨屋さん「juno」をオープンさせました。

沖縄のハンドメイド作家jemmaさんの店。宜野湾市の雑貨と手芸屋「juno」の店内

ーお店を出そうと思ったきっかけを教えてください。

「沖縄には雑貨屋やセレクトショップが意外と少なくて、高校生のころから自分のお店を持ちたいという思いはありました。でも具体的には何も決めていなかったんです。

雑貨と手芸品のお店にしようと思ったのは、ハンドメイドを始めたきっかけと同じく、働いていたセレクトショップでの経験からです。オーナーさんと香港へ買い付けに行ったとき、日本では見ない可愛いリボンや生地がたくさんあったんです。可愛い素材が置いてあるお店ってあまり見かけないなと。そこで、雑貨と手芸屋を掛け合わせたお店をやろうと思ったんです」

ーハンドメイドとは無縁な私でも、こんな可愛いリボンやビーズに囲まれると、何か作れるんじゃないかと思ってしまいますね。

「ありがとうございます。想像力を働かせて、自分には出来ない!じゃなくて、やりたい!と思ってもらう。ものづくりを楽しむきっかけになれたら嬉しいです。

お店では大人だけでなく、お子さんたちもビーズを楽しそうに選んでくれています。石のようなビーズは男の子にも人気があるんですよね」

ーご自身の作品以外にも、他の作家さんのハンドメイドアクセサリーや素敵な雑貨を取り扱ってますよね。海外での仕入れが多いんですか。仕入れる際のこだわりなども教えてください。

「以前は海外へ行って仕入れることが多かったのですが、コロナになってからはネットでも探し始めて、より視野が広がりました。仕入れる商品のこだわりはチープすぎず、他ではあまり見かけないもの。自分がときめくものを選ぶようにしています」

宜野湾市の雑貨と手芸屋「juno」で販売する個性的なリボン
初めて見たときに思わず「可愛い」と声に出してしまったリボンたち。スマホケースに挟んで楽しむお客さんもいるとか。

ー今後の展望などがあれば教えてください。

「子供服を置きたいと思って、今少しずつ売り場を整えています。あとは、最近パッチワークの生地を使ったバッグに興味があって、ほかの作家さんのワークショップに参加したりしてインスピレーションを受けています。自分が飽きないように小さくても常に新しい挑戦をしていきたいですね。でも、基本的にはあまり考えすぎずに、作りたいものが見つかったらそこから考えていくようにしています」

沖縄のハンドメイド作家jemmaさん

こだわりはないと話していたjemmaさんですが、常に何かを始めるきっかけは「身近に好きなものがないときは自分で作っちゃえ」という思いから。そのときの思いに身を任せつつも自分の好きや楽しいをブレずに大事に持ち続けています。高校時代からの思いを着実に実現させる芯の強さを感じました。

大好きでときめくものに囲まれて、行く度に新しい作品との出会いがある。

作品はもちろん、明るくて話すと元気がもらえる、大人から子供まで愛されるキャラクターのjemmaさんに会いに行くのもお店での楽しみの一つです。そんなjemmaさんが今後どんなときめきに出会わせてくれるのか、ファンの一員として楽しみにしています。

取材・文/仲原あゆみ
撮影・編集/みやねえ(OKINAWA GRIT)

沖縄のハンドメイド作家jemmaさんの店。宜野湾市の雑貨と手芸屋「juno」

雑貨と手芸の店「juno」

沖縄県宜野湾市長田3-21-15
11:00〜19:00/不定休
駐車場:あり
公式インスタグラムへ
※営業時間の変更は、Instagramのストーリーズでお知らせ

記事をシェアする

この記事を書いた人

OKINAWAGRIT

小回りが効くプロ集団、沖縄の編集プロダクション OKINAWA GRIT(略して、オキグリ)です。「熱量高く、妥協せずに。そして、仕事を楽しむ」をモットーに、外部のクリエイターと協働しながら活動中。オリジナルの企画力を強みにコンテンツマーケティングを手掛け、地方企業の広報支援+SNS運用のほか、#ライター交流会 in 沖縄の開催、ライター育成講座の企画・運営を行っています。

関連記事