
2026年2月1日(日)に初開催される、知的障がい者ソフトボール『ハンズホールディングスCUP』の全国大会。本大会には元女子ソフトボール日本代表であり、日本車椅子ソフトボール協会の会長を務める髙山樹里さんもスペシャルゲストとして参加されます。
前回は髙山さんに、障がい者スポーツとの出会いやその魅力を伺いました。今回は全国大会の開催に向けて、見どころや選手と観戦される方々へのメッセージをお届けします。
競技指導におけるコミュニケーションの工夫
障がいのある人が、もっと思い切りプレーし、さらにスポーツを楽しめるようになってほしい。そのために、より多くの方々が大会の開催を知ってくれたらという思いで、髙山さんは本大会にスペシャルゲストとして参加されます。
「偽善者とか、きれいごとだとか言われることはありますが、それは違います。障がい者の皆さんは、ただ障がいを持っているだけ。大会に来てもらえれば、きっとそれを感じ取ってもらえるはずです」
一般的なソフトボールと知的障がい者ソフトボールの違い
一般的なソフトボールと知的障がい者ソフトボールでは、異なる面もあります。例えば、競技指導は難しい面もあり、特に言葉の使い方は注意が必要とのこと。
「知的障がいの場合、1つ1つ言葉を選ばないと伝わりません。ちょっとした一言で混乱させてしまう可能性があるので、言い方や声のトーン、単語選びに気を付ける必要があります」
指導者として、コミュニケーションを通じた信頼関係づくりにも工夫されているようです。
また、ルールにも若干の違いがあります。例えばイニングや時間に制限があり、パスボールや振り逃げ、スクイズなどは禁止。塁間は女子ソフトボールと同様です。こうした違いを覚えておくと、現地での観戦はさらに面白さを増すでしょう。

「そこまで大きくルールが変わるわけではありませんし、複雑なものでもありません。ソフトボール観戦が初めてという方でも、きっと楽しんでもらえます。ぜひ、頑張っている選手たちの姿を見て頂きたいです」
全国大会では、ルールについて事前に場内アナウンスされる予定です。
世界を舞台に活躍する場を作りたい
大会当日は、とにかく精一杯、楽しんで頑張って欲しいと話す髙山さん。今回の全国大会をキッカケに、選手たちを取り巻く環境がより良いものになればと願っています。
「もっと大会が増えたら良いと思います。例えば1日で終えるのではなく、2日に分けて試合数も増やしたり、選手たちが交流する場を設けたりすれば、さらに励みになるのではないでしょうか。全国大会という高い目標を、障がい者ソフトボールの聖地として捉えてもらえるようになれば、もっと頑張りたいという人が増える気がしています」
いずれ47都道府県すべてにチームができたらと、将来に向けた構想も聞かせてくれました。一方で、知的障がい者ソフトボールには試合という機会の面で課題があると髙山さんは話します。
「車椅子ソフトボールは世界選手権があります。難しいかもしれませんが、知的障がい者ソフトボールにも世界大会ができたら素晴らしいですよね。私がカナダで知的障がい者ソフトボールを見たときは、選手の年齢層は幅広いものの、誰もが真剣に練習するし、周囲も応援してくれていました。世界とつながることで、何かしら刺激になる場ができたら良いと思います」
こうした機会の創出は、選手たちの世界観を変えたり、周りからの見方を変えたりすることにもつながるでしょう。その結果、選手の人生が豊かになるのだと、髙山さんはご自身の考えを話してくれました。
障がい者スポーツにおける課題
現在、『ハンズホールディングスCUP 全国大会』の開催に向けてクラウドファンディングが実施されています。
「障がい者スポーツという観点で見ると、海外との兼ね合いを考えたとき、どうしても資金面の問題が生じます。行政ではパラリンピック種目のアスリートへ支援を行っているものの、障がい者スポーツ全体の支援までは届いていません。大会にしてもパラリンピック以外を観戦してくれる方は少なく、パラリンピック種目じゃないと資金がおりません。パラスポーツは盛り上がってきている一方、知的障がい者ソフトボールなどは大会の開催会場を見つけるだけでも難しいのが実情です」
本大会では、8社+1団体のスポンサーが集まりました。スポンサーになることは社会貢献活動のPRに繋がるほか、障がい者雇用への積極性等を示す機会になります。雇用される側から見れば、障がいに対して理解ある企業という安心感が生まれるでしょう。しかし、まだそうした企業はほんの一部であり、障がい者スポーツへの理解度には地域差があるようです。
「都市部より、地方のほうが理解を得られることが多いですね。例えば宮城県は、かなりの低コストで会場を優先的に貸してくださります。一方、関東は料金が高く、“障がい者”となるとトーンダウンするケースが少なくありません。本大会では、たまたま川崎市の方から理解を得られ、やっと見つかりました。会場利用を断られる理由は、周りに迷惑をかけるのではないか、車いすが邪魔になるのではないかなど。特に、車椅子ソフトボールは広い場所が必要になるので、会場探しが難航しがちです」
また、選手である障がい者の方々の雇用についても課題です。車椅子ソフトボールでは選手として雇用してもらったり、プロ契約したりしている選手も何人かはいるとのこと。しかし、多くは普通に働きながら競技しています。
「障がい者が会社で仕事していると、周囲にも刺激になると思います。ただ、実際にはパラリンピック種目の選手ならまだしも、それ以外の障がい者スポーツでの雇用は非常に難しいのが実態です。障がい者スポーツの選手雇用という観点でも、世界などで活躍の場ができてくることが大切なのではないでしょうか」
日々の生活はもちろん、安心して競技に取り組むためにも雇用は重要です。パラリンピックの正式種目入りを目指す車椅子ソフトボールに携わる髙山さんだからこそ、さらなる障がい者スポーツの普及に対して課題感を強く持たれているようです。
多くの方に現地観戦で体感してもらいたい
クラウドファンディングでの支援はもちろん、現地に足を運んで応援することも大会参加の方法です。選手たちのプレーを実際に見るからこそ、感じ取れるものがあります。
「支える、観る、プレーする。どんな形でも、色んな人が関われるようになれば良いと思います。その中でも、やはり会場に足を運んで頂き、試合を見てもらいたいです。きっと、イメージと実際とでは大きく違います。ぜひ、選手たちの姿から障がい者スポーツを体感・経験してください」
障がい者スポーツを知るためには、自らが当事者になることが重要です。髙山さんがそうだったように、選手たちのプレーを目にすることで感じ取れるものがあるでしょう。
「もし可能なら、10~20分でも構わないので試合を観てみてください。とにかく、皆さんが楽しんでもらえればと思います。そして選手たちには、日本一を目指して頑張ってもらいたい。私自身、その姿を目にすること、そして選手たちと交流できることを楽しみにしています」
【日本知的障がい者ソフトボール 全国大会 ハンズホールディングスCUP 2025】
- 日時:2026年2月1日(日)
- 会場:等々力球場(神奈川県川崎市中原区等々力1)
- 主催:日本知的障がい者ソフトボール連盟
- 主管企業:ハンズホールディングス株式会社
- 後援:
- 神奈川県
- 川崎市
- 公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)
- 一般社団法人全日本知的障がい者スポーツ協会
- 一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会
- 協賛企業
- 日建リース工業株式会社
- アクセス就活/株式会社アクセスネクステージ
- 翔令会
- 株式会社コネクティ
- 株式会社ユニティー
- 株式会社たすきコンサルティング
- 株式会社情熱
- 株式会社エスコ
- 株式会社オフィスバスターズ
- 株式会社七十七銀行
- ナガセケンコー株式会社
【参加チーム】※順不同
- 東日本代表3チーム
- 千葉県代表
- 東京都代表
- オール宮城ソフトボールクラブ
- 西日本代表3チーム
- 岡山選抜ソフトボールチーム
- Blue Oceans兵庫
- 福井ビッグドルフィンズ
【スペシャルゲスト】※敬称略
- 白鵬(元横綱)
- 把瑠都(元大関)
- 髙山樹里(元ソフトボール選手)
- 山田美葉(元ソフトボール選手)
- 三科真澄(元ソフトボール選手)
- 神山みどり(元ソフトボール選手)
- 栗田美穂(元ソフトボール選手)
- 田邊奈那(元ソフトボール選手)



