
2026年2月1日(日)、知的障がい者ソフトボールの大会である「ハンズホールディングスCUP」の全国大会が初開催されます。舞台となるのは神奈川県の等々力球場。東日本と西日本から6つのチームが集まり、頂点を目指して真剣勝負に挑みます。
本大会にスペシャルゲストとして参加される方の一人が、日本車椅子ソフトボール協会会長である、元女子ソフトボール日本代表の髙山樹里さんです。今回は髙山さんに、障がい者スポーツとの出会いやその魅力、全国大会に向けた思いなどを伺いました。お話し頂いた内容を、前編・後編に分けてご紹介します。
障がい者スポーツと出会い、チームの立ち上げにも携わる
2020年から日本車椅子ソフトボール協会の会長として活動している髙山さんですが、障がい者スポーツとの出会いは高校時代にまで遡るそうです。
「高校時代に海外を訪れた際、障がい者スポーツを目の前で見る機会がありました。また、2002年にカナダのサスカトゥーンで開催された世界女子ソフトボール選手権では、決勝の際に隣で知的障がい者ソフトボールの試合が行われていたんです。そのプレーを目にして、私自身もいつか携われたらと思っていました」
その後、岩手県では県内初となる知的障がい者ソフトボールチームの立ち上げにも関わられている髙山さん。車椅子ソフトボールとの出会いも、学生時代のことでした。
「車椅子ソフトボールという競技があることは、大学時代に知りました。大学卒業後は野球文化の強い愛知県に住んでいたのですが、そこで、怪我をして野球ができなくなった高校生がいたんです。甲子園を目指していたのに、野球自体できなくなった。その選手は、車椅子ソフトボールの存在すら知りませんでした」

車椅子ソフトボールは、障がいのない健常者でも国内なら大会に出場できます。つまり、怪我をしてもソフトボールという競技に取り組めるということ。髙山さんは、車椅子ソフトボールがもっと広く知られれば、競技の幅が広がるのではないかと考えたそうです。
「2017年に、愛知県で車椅子ソフトボールのチームを立ち上げました。競技したくてもできない選手たちにとって、何か目標になるものがあればと思ったんです。私自身、オリンピックに出場したことで多くのものを得ました。何かしらの形で世界の舞台に立つことができれば、考え方や人生観が変わるキッカケになるはず。障がいのある方々が、スポーツに携わることで人生を豊かにする機会を作りたいと思っています」
世界の舞台を知っているからこそ、障がいの有無に関わらず、多くの人に自分が見た景色を見てもらいたい。障がい者スポーツに対する、髙山さんの強い気持ちが伝わってきました。
競技力だけでなく積極性も養われる
初めて知的障がい者ソフトボールを見たときは、とにかく驚いたという髙山さん。もっとも印象的だったのは、選手たちの競技に対する姿勢だと言います。
「知的障がい者ソフトボールは皆さん疲れ知らずで、一緒にプレーしていると逆に自分たちが困るくらい。やりたいことへの集中が見えて、素直に凄いなと感じました。これは自分たちにないものだし、知らない世界です。どういう感覚で取り組んでいるのかまでは分かりませんが、その一生懸命な姿には頭が上がりません」
こうした選手たちの姿は、車椅子ソフトボールでも同様に見られるとのこと。これは、障がい者スポーツ全般で言える魅力なのかもしれません。
「車椅子ソフトボールも、皆さん本当に楽しそうなんです。不自由があっても、車椅子に乗れば問題なくプレーできます。こんなにも魅力的なスポーツは、もっと前に出てほしいと思いました」
車椅子ソフトボールは障がい者か健常者かに関わらず、車椅子に乗れば全員がバリアフリー。もちろん出来ないことはあるものの、出来ることもたくさんあり、その中で切磋琢磨しながらチームが作られています。
「車椅子ソフトボールには、性別や年齢は関係ありません。男女も一緒だし、ジュニアも大人と一緒にプレーしています。例えば、親がお子さんと一緒に試合することもあり、教育にも繋がっているんです。子どもがボールを拾ったり、車椅子を自ら運んだりしているところも良く見ますし、積極性を養う場になっていると思います」
髙山さんのお話を伺っているだけで、選手の皆さんが楽しみ、そして一生懸命にプレーする光景が目に浮かんでくるように感じました。
偏見をなくし、理解を深めることが必要
たくさんの魅力を秘めた障がい者スポーツですが、より多くの方々に知ってもらうためには課題もあると言います。
「障がいのことは、なかなか周囲から見ているだけでは分からないものです。個人情報など難しい面はあるかもしれませんが、もう少しオープンに、分かりやすくできないかなと思っています。例えば練習場所では邪魔にされるなど、暴言を吐かれることも少なくありません」
やはり、障がい者に対して偏見を持たれる方はいるのでしょう。だからこそ、まず必要なのは理解してもらうこと。それは、髙山さん自身も過去の経験から感じているようです。
「車椅子に乗っていたり、知的障がいで考え方が違ったりするだけ。同じ人間なのだから、障がいについて知り、お互いを理解することが大切です。どうしても、健常者は一歩引いてしまったり、入っていきにくかったりします。私自身、最初は何と声をかけて良いか分かりませんでした。でも、聞けばちゃんと教えてくれます。時間を経て、出来ることと出来ないことが少しずつ理解できてきました。健常者も障がい者も同じで、普通に指導すれば良いんです」
偏見が生まれる原因は、健常者側が溝を作ってしまっていること。たとえ違いを感じることがあっても、それも個性と捉えられれば、さほど気になることではないのかもしれません。スポーツは理解を深めるための身近な場であり、そこに多くの方々が集まることで、髙山さんにお話し頂いた人生を豊かにする機会の創出に繋がっていくのでしょう。
【日本知的障がい者ソフトボール 全国大会 ハンズホールディングスCUP 2025】
- 日時:2026年2月1日(日)
- 会場:等々力球場(神奈川県川崎市中原区等々力1)
- 主催:日本知的障がい者ソフトボール連盟
- 主管企業:ハンズホールディングス株式会社
- 後援:
- 神奈川県
- 川崎市
- 公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)
- 一般社団法人全日本知的障がい者スポーツ協会
- 一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会
- 協賛企業
- 日建リース工業株式会社
- アクセス就活/株式会社アクセスネクステージ
- 翔令会
- 株式会社コネクティ
- 株式会社ユニティー
- 株式会社たすきコンサルティング
- 株式会社情熱
- 株式会社エスコ
- 株式会社オフィスバスターズ
- 株式会社七十七銀行
- ナガセケンコー株式会社
【参加チーム】※順不同
- 東日本代表3チーム
- 千葉県代表
- 東京都代表
- オール宮城ソフトボールクラブ
- 西日本代表3チーム
- 岡山選抜ソフトボールチーム
- Blue Oceans兵庫
- 福井ビッグドルフィンズ
【スペシャルゲスト】※敬称略
- 白鵬(元横綱)
- 把瑠都(元大関)
- 髙山樹里(元ソフトボール選手)
- 山田美葉(元ソフトボール選手)
- 三科真澄(元ソフトボール選手)
- 神山みどり(元ソフトボール選手)
- 栗田美穂(元ソフトボール選手)
- 田邊奈那(元ソフトボール選手)



