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もの・こと  |    2026.09.11

【埼玉県熊谷市】練り込み囃子が「まつる」音と人・めぬま祭りレポート

2026年8月1日、埼玉県熊谷市妻沼(めぬま)地区で第32回めぬま祭りが開催されました。このお祭りは、熊谷市と合併する前の旧妻沼町が「街を盛り上げたい」と総力を挙げて始めたもの。今でも行政のバックアップを受けながら、地域の人たちが「自分たちで考え・自分たちで実行する」地域に根ざしたお祭りです。

そのめぬま祭りを盛り上げるために誕生したのが「妻沼練り込み囃子」。今回は、練り込み囃子とお祭りを運営する方たちの想いを軸に、当日の様子をレポートします。

そもそも、めぬま祭りとは?

画像提供:武州天野流妻沼太鼓様

めぬま祭りのきっかけは、「妻沼に音を作りたい」という想いから、昭和60年12月に「妻沼太鼓」が誕生したことでした。2曲目、3曲目と演目を増やしていくなかで「音(太鼓)ができたのだから、祭りもやろう!」という声が上がったのだそうです。

当時、妻沼の各地域にはそれぞれお祭りがありましたが、「オール妻沼のお祭りが欲しい」という願いのもと、平成4年に初めて「めぬま祭り」が開催されました。

練り込み囃子・踊りなど、参加者全員が歩くお祭り

お祭りのコンセプトを考えるとき、山車(だし)を出す案も検討されたそうです。しかし近隣には昔ながらの伝統を持つお祭りが多く、それらとの違いを出すために、めぬま祭りは「足(歩き)」で行くことに決めました。そこで太鼓の先生である天野宣氏に依頼して作られたのが「練り込み囃子」です。

参考:熊谷市指定無形文化財「妻沼太鼓」|熊谷デジタルミュージアム

先生の言葉には、次のようなものがあります。

「祭りを通してできあがる人間関係は、案外しっかりした付き合いになります。布の端など、ほつれそうなところを糸でしっかり縫い付けることを『まつる』と言いますよね」

「人間の場合は、それが文化であり、芸術であり、祭りであり、心の大きさであります」

この想いのもとで生まれた妻沼練り込み囃子だからこそ、めぬま祭りは山車の上でのたたき合いなどではなく、「すべての演目で歩く・または踊る」お祭りとなりました。

行政の全面バックアップ

めぬま祭りのもう一つの特徴が「行政の全面バックアップ」です。その体制は熊谷市との合併後も変わらず引き継がれており、観光協会から大きな予算を受けながら、その範囲で地域の人たちが運営を担っています。

音を「まつる」天鼓(てんこ)会・人を「まつる」呑呑(どんどん)会

めぬま祭りは、練り込み囃子を奏でる「天鼓(てんこ)会」と、お祭りの準備・運営を担う「呑呑(どんどん)会」が主体となって成り立っています。音を紡いでお祭りを彩る天鼓会と、人と人とのつながりを紡ぐ呑呑会。まさに、それぞれのやり方で「まつる」を体現している存在なのだと思います。

目指すのは「郷土の発展」と「安らぎのある町づくり」。自分たちで考え、自分たちで行う。新旧の住民が触れ合い、妻沼地域以外からもお客さんを呼べるイベントにしたい。
そんな思いを、運営に関わる方たちから感じました。

実際、会場では麦茶やスイカの無料サービスなどの見物客への配慮もあり、私もありがたくいただきました。酷暑のなかでの心遣いに、思わずほっとしたのを覚えています。

酷暑の夏を、さらに熱くする演目

お祭り当日は40℃に迫るほどの暑さで、私はずっと日陰を探しながら見物していました。それでも参加者の方たちは、照り返すアスファルトの上で元気よく御神輿を担ぎ、踊り、音を奏でます。そのひとつひとつが素晴らしく、暑さを忘れてしまうほどでした。

3つの「連」がひとつになる、妻沼練り込み囃子のクライマックス

妻沼練り込み囃子が始まったのは夕方。この時間になっても、熊谷の夏の暑さは一向に和らぎません。それでも小さな子からご年配の方まで、元気に、楽しそうに音を「まつって」いる姿を見ていると、こちらまで元気をもらえました。

ホイッスルが鳴ると、お囃子の調子が変わるとともに、

「妻沼!」 「練り込み!」 「まだまだっ!」

と、参加者の方たちが声を上げます。このかけ声も妻沼練り込み囃子の特徴のひとつで、聞いているだけで楽しくなってきます。

このお囃子は、水分補給などの休憩を除けば2時間以上ぶっ通し。前半・後半といった入れ替えはまったくないそうです。それでも、皆さんがずっと笑顔で演じ続けている姿には衝撃を受けました。大変なはずなのに、この瞬間をとことん楽しんでいるからなのかもしれません。

練り込み囃子は全員参加のスタイルのため、総勢100名以上になります。人数が多いため、祭りの序盤は3つの「連」に分かれてそれぞれ別のルートで会場を練り歩きます。しかし、フィナーレでは3つの「連」がひとつの場所に集まり、全員でお囃子を演じる。その迫力は圧巻です。

メイン会場は、ぎゅうぎゅうになるほどの参加者と見物客。夜になって涼しくなってきたはずなのに、汗だくになるほどの熱気に包まれていました。

いつまでも妻沼を「まつり」続けてほしい

熊谷のお祭りといえば「うちわ祭り」を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、めぬま祭りも熊谷を代表するお祭りのひとつだと思います。取材中に出会った天鼓会のみなさんの、お祭りにかける熱量にふれて、なおさらそう感じました。

めぬま祭りは、毎年8月の第一土曜日に開催されています。来年は、ぜひこの雰囲気を体験しに来てください。きっと、今までとは違う「まつり」の楽しみ方に出会えるはずです。

めぬま祭りや妻沼太鼓の詳細については、熊谷市観光協会のHPや武州天野流妻沼太鼓様のInstagramをご覧ください。

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この記事を書いた人

香川とあ

熊谷市在住のWebライターです。結婚を機に一度離れた熊谷にUターンし、改めて魅力に気づきました。「この街のことをもっとたくさんの人に知ってほしい!」「地元で輝く方達を応援したい!」そんな思いを込めて情報をお届けします。

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