「医師の言葉が飲み込めませんでした。その表情を見た医師から、再度『血管の一部が詰まっています』と説明されましたが、まだ信じていませんでした」
春貴さんが若年性脳梗塞で倒れたのは42歳のときでした。2013年に父親が脳梗塞で倒れ、他界した翌年の出来事だったといいます。
脳梗塞とは脳の血管が詰まり、脳細胞の一部分が死滅した状態です。脳梗塞になると、運動障害や感覚障害、視覚障害、言語障害、バランスの障害などの症状が発症します。
今回は、パナケア研究所合同会社の春貴政享さんに、脳梗塞を経て乳歯由来歯髄幹細胞培養上清との出合いやサプリメント、化粧品の事業をはじめたきっかけ、サプリメントや化粧品へのこだわりなどについて詳しく伺いました。
血液検査は正常なのに若年性脳梗塞に……
父親の家屋や土地をすべて失い、負債を相続。どん底を味わったと言います。負債を返済するため、春貴さんは日夜自分の会社を盛り上げるために仕事に没頭しました。脳梗塞が発症したのは、その矢先のこと。
春貴さんはタバコを吸わず、飲酒に関しては身体にダメージを受けるほどは飲まないタイプです。
「血液検査の結果は正常だったので、脳梗塞になる決定的な原因は見つかりませんでした。医師から言われたのは『過度のストレスが原因でしょう』とのことでした」
当時、春貴さんは自身の事業であるアパレルの仕事（オーダースーツ専門店DoCompany）に勤しんでいました。しかし、父親が倒れたため、父の事業である新聞関係の仕事もしなければならない状況に追い込まれていたといいます。
幸い、投薬とリハビリにより日常生活ができるようになったものの、薬を服用しながらの通院による経過観察となりました。その後はアルコールを飲まないようにしたりアマニ油を摂取したりするなど、自身の身体のケアを行うことを決意したそうです。現在のところ、身体の痺れなどの不調もないといいます。
一方、一旦詰まってしまった血管は、二度と元には戻らないと医師から言われたそう。いつ発症するかわからない不安に苛まれながらの生活を送ることになりました。
乳歯由来歯髄幹細胞培養上清との出合い
きっかけは2016年、春貴さんの病気を知った友人からの連絡でした。
「幹細胞って知っているか？」
幹細胞とは、役割がまだ決まっていない未分化細胞です。胎児や新生児などに見られるもので、再生医療として画期的な研究分野でした。しかし、当時は海外で点滴を受ける必要があり、約150万円もの費用がかかったといいます。もちろん、簡単に受けられる価格ではありません。
幹細胞の点滴を受けることは諦めましたが、常に脳梗塞の不安がつきまとっていました。春貴さんは心の拠り所となるものを探し続けたといいます。
そんななか、上田実氏（医学博士）の著書『驚異の再生医療〜培養上清とは何か〜』と出合い、乳歯由来歯髄幹細胞培養上清のことを知りました。乳歯由来歯髄幹細胞培養上清に興味を抱き、リサーチを開始します。
春貴さんが興味を抱いたのは、培養上清の持つ機能でした。培養上清には以下4つの驚くべき機能があります。（参考文献：上田実「驚異の再生医療～培養上清とは何か～」）
- 炎症を抑える機能
- 炎症で傷ついた細胞を保護する機能
- 身体のなかに存在している幹細胞を誘導する機能
- 新たな血管を作る機能
培養上清は再生医療の最先端技術です。しかも、乳歯由来歯髄幹細胞培養上清の原料は医療廃棄物の乳歯だといいます。従来の培養上清は入手が困難な骨髄由来や臍帯由来、脂肪由来のものでした。一方、乳歯は国内での入手経路が明確であり、廃棄物の再利用の位置付けとなります。
乳歯由来歯髄幹細胞培養上清の研究は今もなお続けられていますが、研究の目的は創薬化です。しかし、新たな創薬化には費用も時間もかかるため、未だに成し遂げられていません。
そこで春貴さんは、創薬化とは違うアプローチで乳歯由来歯髄幹細胞培養上清の商品化に取り組むことにしました。
サプリメントやスキンケアなどの身近な商品を開発
春貴さんが考えたのは薬ではなく、サプリメントやスキンケア商品でした。サプリメントやスキンケアなら誰もが身近に感じ、多くの人々に行き渡るだろうと考えたのです。サプリメントだけでなくスキンケア商品の開発に着手した理由を伺いました。
「いつまでも若く、美しくありたいと考える女性が多くいらっしゃいます。乳歯由来歯髄幹細胞培養上清は皮膚の修復や再生を促すので、スキンケアにも最適だと考えました。スキンケア商品は多くの人が手に取ってくれると信じています」
春貴さんは商品開発を行うと同時に医学博士を顧問に迎え入れ、パナケア研究所合同会社を設立しました。紆余曲折はありましたが、ようやく手の届きやすい料金で提供できるようになったと言います。
何度も挫折を味わったそうですが、「こんなに良い物なのだから、多くの人に知ってもらいたい」との一心で商品化に取り組んだとのこと。
「ハルキレシピ」に込めた商品へのこだわり
製造方法にも乳歯由来歯髄幹細胞培養上清を知り尽くしているからこそのこだわりがあると言います。レシピへのこだわりについて伺いました。
「最高級の食材を美味しく食べるには、レシピどおりに調理する必要があります。たとえば、同じ食材を使用して調理するにしても、一流シェフが作った料理と素人が作った料理ではまったく違うものになるかもしれません。材料の分量を量って混ぜるのは簡単ですが、調味料を入れるタイミング一つで味が変わるものです。ですので、最高のレシピで商品を製造することにこだわりました」
乳歯由来歯髄幹細胞培養上清の原料はタンパク質です。タンパク質は繊細なものであり、加工が難しいとされています。現在も多くの企業で商品化しようとされていますが、実際に商品化に成功した企業はほとんど無い状況です。
研究を重ねた結果、最高のレシピが完成したとのこと。乳歯由来歯髄幹細胞培養上清を知り尽くしているからこそ、最高のパフォーマンスを引き出すレシピを作れたと言います。春貴さんはこのレシピを『ハルキレシピ』と名付けました。
昨今のニュースでは医薬品の製造方法が取りざたされているように、レシピは大変重要です。日本製薬団体連合会は、ジェネリック医薬品（後発薬）の4割超が製造販売承認書と異なる製造をしていると発表しました。なかには業務停止などの行政処分を受けた企業もあります。
タイミングよく流れてきたニュース記事を読み、サプリメントやスキンケア商品のレシピが重要なことにも納得できました。
乳歯由来歯髄幹細胞培養上清の正しい情報を伝えたい
現在、パナケア研究所合同会社が製造しているサプリメントやスキンケア商品は、春貴さんの地元である福井市に店舗『LUCIA』を構えて販売しているほか、全国の代理店やインターネットにて販売中です。
しかし、まだまだ歯髄幹細胞培養上清の認知度は低く、情報発信の必要性を感じているとのこと。現在はどのように情報発信すべきか試行錯誤中だそうです。
情報発信の一環としてFM福井への出演を開始しました。番組内では、パナケア研究所の企業紹介や商品の特長、幹細胞の基礎知識などを詳しく解説しています。
また、代理店や販売店の方々へも正しい知識や最新の情報を届けるため、セミナーを開催することにしました。セミナー開催と共に、信頼度を得るために少しでもメディアに出ていきたいとのこと。
「歯髄幹細胞培養上清はまだまだ認知度が低く、ほとんどの人が聞いたことがないような状況です。身体が再生する仕組みなどを多くの人に認識してほしいと思っています」
加えて、医療連携についても強化を検討中のため、情報発信が重要となります。「今後、とにかくさまざまなメディアで発信していきたい」と意欲を語ってくれました。
春貴さんは、今後の活動について以下のように語ります。
「実は、近江商人の話がとても好きで、DVDを買って勉強したこともあります。地元に根ざして、人様のためにという近江商人のような考え方を参考にしながら、地元に貢献していきたいです」
近年は社会のコミュニケーションが希薄になってきています。インターネットを通じてつながることは素晴らしいと思いつつ、リアルでのコミュニケーション不足には危惧していると語る春貴さん。地域の人々のコミュニケーションの場を提供するような形でも関わっていきたいと、大きな夢を語ってくれました。
詳細情報
サイト
本社・店舗詳細
本社
- 住所：〒910-0063 福井県福井市灯明寺1丁目1301
- 営業時間：9時～18時
- 休日：日曜・祝日
作業所・店舗
- 住所：〒910-0011 福井県福井市経田1丁目1508-1（LUCIA）
- 営業時間：10時～18時
- 休日：土曜・日曜・祝日
