「うちの子、肌が弱くて…」
そう言って、夏のレジャーをためらったことはありませんか?
塩素の強いプールは肌がかゆくなる。
人の多い川は水質が気になる。
それでも、子どもには思いきり水遊びをさせてあげたい。
そんなご家族にこそ訪れてほしい場所があります。
山梨県北杜市にある「尾白川渓谷(おじらがわけいこく)」です。

尾白川渓谷を流れる尾白川は、環境省の「名水百選」にも認定されています。
また、人気のミネラルウォーター「サントリー天然水 南アルプス」のふるさととしても知られる、美しい清流です。
南アルプス・甲斐駒ヶ岳の花崗岩により、長い時間をかけてろ過された水は、不純物が少なく抜群の透明度を誇ります。

晴れた日には、川の水が白い川床に映え、美しいエメラルドグリーンに輝きます。
美しい渓谷美と日本屈指の水質を誇る尾白川で、安心して思いきり子どもと水遊びをしませんか。
尾白川渓谷はなぜ「名水百選」に選ばれたのか
極めて高い水質
尾白川が「名水百選」に選ばれた理由としてまず挙げられるのは、その極めて高い水質です。
およそ1500万年前頃から形成された甲斐駒ヶ岳の花崗岩により、長い時間をかけてろ過された水は、不純物がきわめて少なくとても清らかです。
尾白川の水はどれくらいきれい?
| 項目 | 結果 | 意味 |
|---|---|---|
| pH | 7.2 | ほぼ中性 |
| COD | 0 mg/L | とてもきれい |
| 確認された生物 | カワゲラ類・ヒラタカゲロウ類・ヘビトンボ | 水質階級Ⅰ(とてもきれい)の指標生物 |
※pH: 酸性・アルカリ性の度合い
※COD: 水中の有機物汚れを化学的な酸化剤で分解する際に消費される酸素の量
(北杜市名水の里保全連絡協議会の令和6年12月水質調査報告による)
筆者も、子どもを連れて何度も水遊びへ行っているのですが、本当に透き通っています。

そして足を入れてみると、真夏でも驚くほど冷たいのです。
子どもたちは元気なのでじゃぶじゃぶ泳いでいましたが、大人は腰をつけるのをためらう冷たさです。
水量が豊富で常に流れがあり、水が淀むところもほとんどありません。水質を気にせず、安心して子どもを思いきり遊ばせることができます。
尾白川には神馬が住む?ユニークな伝説
尾白川渓谷の魅力は、その美しい水だけではありません。
尾白川渓谷のある白州町には、古来より山中に神馬が住むという、伝説があるのです。
「尾白川」という名前の由来は、その源流に住む尾の白い神馬であるという説です。
こんな神秘的な伝説があることも、尾白川渓谷の魅力のひとつです。
今も昔も続けられる水質保全活動
尾白川渓谷の名水を育む美しい自然は、周辺の集落による地道なごみ拾いや草刈りの実施などにより、昔から守られてきました。
近年では、2004年に北杜市が「北杜市水資源の確保と保護に関する条例」を制定し、水資源地域周辺の大規模な開発や、地下水の採水を厳しく制限しています。
自治体と地域の人たちの努力によって、昔も今も、その先もずっと守られていく美しい水。
いつかお子さんが大人になったとき、自分の子どもとまた訪れたいと思える貴重な場所となるでしょう。
水遊びだけじゃない!尾白川渓谷のみどころ
壮大な渓谷美|エメラルドグリーンの滝つぼ「千ヶ淵」
尾白川渓谷に来た人が思わず足を止めるのが、エメラルドグリーンの滝つぼ、「千ヶ淵」です。

駐車場から尾白川へ下り、15分ほど川沿いを歩くだけでたどり着ける絶景ポイントです。
花崗岩由来の白い川床に、滝から流れこむエメラルドグリーンの清流が映える光景は、小さなお子さんにとっても一生忘れられない風景になることでしょう。
※千ヶ淵は水深が深いため、遊泳は禁止されています。
ちょっとドキドキする、尾白川渓谷を見渡せる木製のつり橋
駐車場から5分ほど歩くと、「名水百選 白州・尾白川」の看板とともに、どっしりとした石の支柱に支えられた木製のつり橋に出会います。

このつり橋を渡り、対岸を下りると尾白川の川岸に出ます。
つり橋は隙間なく木の板で覆われていますが、渡るときには少し揺れます。
しっかりとした木製の手すりがあるので、下流の景色を楽しみながら歩いていけば、あっという間に対岸に着きます。
時には、揺れるつり橋に大喜びしながら元気に渡っていく子どもたちの姿も。

つり橋が苦手な方は、人が少ないときを狙ってゆっくりと渡ることをおすすめします。
尾白川渓谷を子連れで楽しむ|注意点
尾白川渓谷は周辺環境を守るため、開発や観光地化がほとんどされていません。
子どもを連れて一日楽しく遊ぶためには、いくつか注意点があります。
安全のためライフジャケットの着用を推奨

尾白川は、自然そのままの渓流です。場所によっては流れが速く深い場所もあります。
水に入って遊ぶ場合は、大人も子どももライフジャケットの着用をおすすめします。
ただ、尾白川の川辺には、小さな水たまりや水流の緩い浅瀬もたくさんあります。
目と手を離さなければ、小さなお子さんでも十分安全に遊べます。
滑りにくい靴が必要

駐車場から川岸に下りるまで、短い距離ですが傾斜がある山道を通ります。
また川辺もゴツゴツした岩が多く滑りやすいため、滑りにくい靴か、足首やかかとがしっかり固定されるサンダルがおすすめです。
お弁当やお菓子は基本持参

周辺にレストランやコンビニなどはないため、食べるものは持参が基本です。
国道から尾白川渓谷へ向かう途中にある「道の駅はくしゅう」でお弁当を買うのもおすすめです。
ビニールシートか折りたたみテントがあれば安心

川辺は大きなテントが張れるような広いスペースはありませんが、木陰が多く、ビニールシートがあれば十分くつろげます。
日焼けが心配な方は、小さな折りたたみのテントがあれば安心です。
近くのキャンプ場でデイキャンプも可能
バーベキューやデイキャンプを楽しみたい方は、川からすぐ近くの「白州観光尾白キャンプ場」がおすすめです。
テントサイトやバンガローもあるので、ゆっくりキャンプを楽しめます。
シャワーやトイレはある?

最寄りの市営駐車場に常設トイレがあります。千ヶ淵からは徒歩で15分、最寄りの川辺からは5〜10分ほどです。
駐車場にシャワー施設などはありませんが、車で5分山を下ったところに「尾白の湯」という温泉施設があります。
大きな施設で車も400台停められるので、多少混み合っても入れます。
源泉かけ流しで露天風呂が広く、お風呂の種類も豊富なので川遊びの帰りにおすすめです。
混雑状況は?ハイシーズンは平日がおすすめ
尾白川渓谷は、紅葉の美しい秋と、水遊びができる夏の土日は、とても混雑します。
駐車場は約100台あるので、車が停められないということはめったにありませんが、可能であれば平日や、朝から午前中の時間帯に行くなどの工夫が必要です。
※尾白川渓谷は自然の渓流のため、天候や水量によって状況が変わることがあります。安全に十分注意して楽しみましょう。
尾白川渓谷へのアクセス・駐車場
| 住所 | 山梨県北杜市白州町白須8886 |
| 車でのアクセス | 中央自動車道・須玉ICより車で約30分 |
| カーナビの目印 | 尾白川渓谷駐車場内 売店「おじろ」 |
| 駐車場 | 普通車:約100台 大型バス:約5台 |
| 山梨県北杜市観光情報サイト | https://www.hokuto-kanko.jp/spot/ojiragawa_valley/ |
まとめ|子どもが安心して遊べる自然を守るために
環境省の「名水百選」に選ばれ、あの「サントリー天然水 南アルプス」の採水地でもある尾白川は、水質を気にせず安心して水遊びを楽しめる貴重な場所です。
周辺の自治体や地域の人たちによって美しく守られている自然を保つために、ごみは持ち帰り、水質保全に気を配るなど、ぜひ環境保護へのご協力をお願いします。
十年先も、二十年先も、この透き通った水で子どもたちが遊べますように。
参考資料
- 山梨県環境科学検査センター
北杜市名水の里保全連絡協会水質調査 調査結果のまとめ - 日本地質学会『地質学雑誌』
甲斐駒ヶ岳花崗岩に関する研究




