地域創生メディア  Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地域創生メディア

人  |    2026.07.25

商店街から人気イベントを作る!ミツワ通り共栄会イベント実行委員長・時田一葉さんの想い【後編】

前編では、ミツワキッチンカー通りの始まりと人気イベントに育つまでの道のり、イベントがミツワ通りにもたらした変化について紹介しました。

この記事では、ミツワ通り共栄会のイベント実行委員長・時田一葉(いちは)さんの、イベント開催者としての想いを伺っていきます。

前編はこちら

商店街から人気イベントを作る!栃木市ミツワ通りの挑戦【前編】

イベントを開催する上で一番苦労したのは?

栃木市は土地柄として、外からやってきた人にはまず距離を置く空気があるといわれています。筆者も移住者ですが、確かにそうかもなあと頷けるところです。

栃木市育ちではあっても、ミツワ通り出身ではない時田さんも、イベント実行委員長に就任した当初はこの空気をヒシヒシと感じたとのこと。そこから「どうやって受け入れてもらうか」が、一番苦労した所だったと語ってくれました。

「皆さんの信用を得るには、やっぱり結果は出さないといけない。だから、最初のイベントが一番必死だったかもしれないですね。そこでひとまず成功して、信用を得られたのがすごく大きかったと思います」

第一回ミツワキッチンカー通りの様子(画像提供:時田さん)

まずは認めてもらうことが大切

ただ、第一回を終えて湧き上がってきた「次」のアイデアを形にしていくには、もう少し自分を知ってもらい、みんなに認めてもらう必要がある。そう感じた時田さんは、イベント開催のかたわらミツワ通りを歩き回ったそうです。

「一人暮らしのおじいちゃんの家に『元気?』と顔を見に行ったり、ぷらっと金魚湯さん(銭湯)に寄っておしゃべりしたり。イベントに出てくる人に一人ひとり声をかけに行ったり、意見を聞いたり。とにかく仲良くなろうと頑張りました」

今、春になれば「タケノコ取ってきたけどいるか?」と声がかかり、「正月に餅つきがしたい!」と新イベントの提案をすれば、「いいね!」と二つ返事でOKが返ってくるのも、そうやって築いてきた信頼あってこそ。

「やっぱりまずは認めてもらうこと。そこから、餅つきやりたいとかわがままを聞いてもらっています(笑)」との時田さんの言葉が、イベントが成功している理由のように思います。

大人も子どもも大勢で盛り上がる正月のミツワ通り餅つきイベント

イベントのテーマはシンプルでいい

時田さんに、イベント開催者として大事にしていることを聞いてみると、「謙虚に。それが一番いいのかなって」との答えが返ってきました。

「いろんなイベントに行って思ったことですが、主催者がテーマを掲げても、お客さんの楽しみ方はすごく自由。“そのイベントに行って楽しかった”というだけなので、イベントはシンプルでいいと考えるようになったんです」

春・夏・秋の「ミツワキッチンカー通り」をはじめとするミツワ通りのイベントは、シンプルにキッチンカーが主役のイベント。

一般に、キッチンカーは会場の飲食担当というイベントが多いところ、「逆にキッチンカーが主役で、どれにしようか悩むぐらいたくさんいた方が楽しいのでは?」と考え、第一回から変わらずこのスタイルなのだといいます。

ミツワキッチンカー通りと同日開催の「とちぎ蚤の市」は、ハンドメイド作家のテント出店がメインなので、相性も抜群。目論見は大成功で、イベント日のミツワ通りは、毎回キッチンカーをハシゴして食べ歩きを楽しむ人たちで大賑わいになっています。

2026年GW開催のミツワキッチンカー通りの一コマ

「来てもらっている」ことを忘れない

キッチンカーとの関係でいうと、客目線で見ることに加え、「出店者さんがいかに儲かるかもすごく大事にしているポイント」だと時田さんはいいます。

「主催者側からは見えない部分もあるので、自分でも他のイベントにテント出店したりもしています。売上保証はできない分、少しでも売り上げが上がってほしいので、例えばこうした方がいいんじゃないですかと提案させてもらうこともありますね」

イベント後には出店者の意見を聞くし、ミツワ通りのイベントとは相性が悪く儲からないと思える場合は、最初から出店を断ることもあるとのこと。また、イベント中はマメに会場を周り、各店の様子を見て歩くのも忘れません。

「一人で出店されている方もいるので、倒れていたり、トイレを我慢していたりなんてことがないように、ですね。何もできないけれど、とりあえず留守番ぐらいはできるぞと思って行っています」と笑う時田さん。さらに、こう続けました。

「一番忘れちゃいけないのは、やっぱり来てもらっているということですね。多分そこが疎かになると、イベントの空気が悪くなる気がしています」

出店者と一緒にイベントを作っていきたい

現在、春・夏・秋のミツワキッチンカー通りは、出店者を「栃木市に住んでいる人」、「栃木市に縁がある人」にシフトしているとのこと。そうしたことで、微妙にイベントにまとまりが出てきたように感じていると、時田さんはいいます。

「出店者さんが地元だから、街を盛り上げたいという気持ちでいてくれるのでしょうか。分かりませんが、ただ商売のためという出店者さんとは、何となく空気感が違う気がします。出店者さんにも、儲けながら楽しんでもらいたいですね」

正月のミツワ通り餅つきイベントで演奏する地元のお囃子隊(画像提供:時田さん)

ミツワ通りイベントの目指すところ

時田さんの最終目標は、ミツワ通り共栄会のメンバーを増やし、ミツワ通りの店舗を増やし、普段のミツワ通りに行き交う人を増やすこと。ただ今のミツワ通りは、建物の老朽化や空き地化によって新店舗が入れる建物がないなど、個人や商店街の力だけでは解決できない問題が多いのが現状です。

そこで当面の目標としては、イベントを続けてミツワ通りを、ミツワ通り共栄会を知ってもらうことを続けていくつもりだといいます。

栃木市の中心部を流れる巴波川。ミツワ通りからもほど近い

最近は、ミツワ通りに隣接する場所でのイベントも模索中とのこと。例えば、ミツワ通りの傍を流れる巴波川(うずまがわ)で開催される「行灯まつり」と連携し、切り絵で蔵や山車(だし)が施してある行灯(あんどん)が飾られた川沿いを歩行者天国にして、ミツワ通りと川沿いを回遊する形で何かできないかという案があります。

近隣の公園や現在建設が進む駐車場兼イベント広場を利用して、ミツワ通りを含めた街中を人が回遊するような仕掛けなども考えているそうです。

「どれもミツワ通りの隣なので、何かやればミツワ通りにもお客さんが見込めるかなと思って。少しでもミツワ通りにプラスになることは、挑戦したいと思っています。今年は無理でも、来年、再来年には何か企画したいですね」

活動の原動力は、ミツワ通りのみんなが楽しんでいる姿

最後に、ずっと不思議だったことを質問してみました。「店の切り盛り、子育てに加えてのイベント実行委員長は、想像を絶する大変さのはず。なのに、どうしてそんなにエネルギッシュに取り組めるのですか?」と。

時田さんは、

「私はミツワ通りの生まれではないですが、子ども時代も大人になってからもミツワ通りには縁があって。しまいには嫁に来ちゃったんだから、運命的なものを感じますね。今はこれ以上廃れさせちゃいけない、昔のようにはできなくても賑わいを戻してあげたいという思いが原動力になっていると思います」

と笑って答えてくれました。

「イベントの開催時に、近所の人が遊びに来てくれて、楽しんでいるのを見るのが一番幸せなんです。『今度いつやるの?』と聞かれたりも。ある時は、カートを押しながら散歩している近所のおばあちゃんから『生きる糧になっています』と言われて、『これはダメだ、やらなくちゃ』と思った次第です」とも。

ミツワ通り共栄会のメンバーとミツワキッチンカー通りの出演者たち(写真提供:時田さん)

ミツワ通りのイベントは、ミニライブにチンドン屋さん、お囃子隊もいて賑やかですが、音がうるさいからやめてくれとのクレームが来たことは一度もないそうです。これこそ、イベントがミツワ通りの人々に愛され、楽しまれ、応援されている証でしょう。

ミツワ通りと時田さんが進める地域活性化。ミツワキッチンカー通りの出店者の一人として、筆者も一緒に盛り上げていきたいと思います。

ミツワ通り共栄会

住所:栃木県栃木市 室町付近

アクセス:栃木駅より500m 徒歩で約8分

近くの駐車場・旧警察署敷地臨時駐車場(無料)/うずま公園駐車場(無料スペースあり)

公式ホームページ:https://mitsuwadohri-kyoueikai.com/

X:https://x.com/mitsuwadohri

Instagram:https://www.instagram.com/mitsuwadohri.kyoueikai/

記事をシェアする

この記事を書いた人

立花 裕子

瀬戸内出身、栃木県栃木市在住のライター。 日本酒キッチンカー「たぬき堂」もやっています。 日本酒、お店、キッチンカー、イベント、スポット、それらを造る人の魅力を紹介していきます。

関連記事