大阪の池田には呉服神社という織物の技を伝えた女性を祀る神社があります。池田は能勢街道が通り、人や物が行き交い、商いが育ち、昔から「ものづくり」気質の強い土地柄。酒造や木工、織物など多くの手仕事文化が根付いていました。特に織物は、呉の国から機織りの技術を伝えに来た呉服媛(くれはとりのひめ)の力があったと言われています。そんな呉服媛を祀った神社が呉服神社です。
それでは、実際に呉服神社を訪問してきたのでレポートします。
呉服神社の主祭神は呉服媛

呉服神社の主祭神は呉服媛です。呉服といえば日本ならではのものと思いがちですが、実は元々中国の「呉の国」から伝わった高級な絹織物やその織物の技術を指します。そして、池田に織物の技術を伝えたのが呉の国からやってきた呉服媛だったのです。
「技術者」や「職人」を神として祀る神社は珍しく、しかも女性の職能神となるとさらに数が限られます。その上、実際にこの土地に住んだ女性だったという点でも驚きです。呉服媛は、異国の技術者であったのですが、それがすんなり受け入れられたのも池田の技術を持つ人を尊ぶという土地柄のせいだったのかもしれませんね。

呉服神社が創建されたのは呉服媛が亡くなった翌年の西暦389年で、仁徳天皇が社を建てたと伝承されています。それから長い時間がたっていますが、手仕事を大切にしてきた池田の人々にとって今でも働く女性の象徴として愛されています。
道幅ギリギリの呉服神社の鳥居

こちらが呉服神社の鳥居です。道幅ギリギリに立っていて、もう少しで当たってしまいそうですね。ちなみに鳥居の片側は阪急池田駅です。上には電車が走っています。

鳥居の後ろを見ると昭和60年に建てたという記述が。駅や建物など近代建築と共存しながら時間を共有していった様子が目に浮かびました。それにしても、これだけギリギリに建つというのも珍しい光景です。

そこからさらに長い参道を渡っていくと、遠くに呉服神社が見えます。

こちらが境内です。静寂に包まれている中にどこか女性らしい華やかさが感じられます。
呉服神社の一番の見どころはステンドグラスの拝殿

そして、こちらが拝殿。ここで目を引くポイントが現れます。この拝殿、色使いがなんだか異文化を感じさせます。中でも気になったのが、ステンドグラスです。

拝殿の正面にステンドグラスがあり驚きました。古い神社にステンドグラスという組み合わせは珍しく、強烈な違和感がありました。そもそも、呉服媛は渡来人とはいえ中国の出身です。異文化が交差した神社とはいえ、西洋の教会で使われるステンドグラスを使うなんて、あまりに相反する文化と言えるのではないでしょうか?

実はこの拝殿のステンドグラスは、1969年に再建されたときに導入されたと言われています。この時代、日本は高度経済成長の頂点にあり、文化・芸術面では、戦後復興期から普及したモダニズム建築が隆盛を極めた時代でした。その流れで、神社の建築にも伝統と現代建築を掛け合わせたモダニズムデザインを取り入れる動きがあったそうです。そして、呉服神社のステンドグラスも、その流れの中で取り入れられることになったそうです。

ステンドグラスは時間によって表情を変え、光を受けて色が変化します。呉服媛には、夜に織物を織る時に星の光が降りてきて手元を照らしたという伝承があるそうです。
様々なモダニズムデザインの中でも、呉服神社でステンドグラスが選ばれたのは、それと何か関係があるのかもしれませんね。ステンドグラスからの光が織物を美しく照らすような図を思い浮かべると、このチョイスはふさわしいと言えるのではないでしょうか。
呉服神社はいかがでしたか?ちなみに呉服神社の御朱印帳はステンドグラスのデザインになっていました。この御朱印帳を持って歩けば、きっと話題になること間違いなしでしょうね。
呉服神社の詳細情報
住所:〒563-0047 大阪府池田市室町7-4
電話番号:072-753-2243
アクセス:阪急宝塚線・池田駅より徒歩3分




