
愛媛県にはたくさんの特産品や名産品があります。その中でも、特に外せない松山道後の銘菓を松山市民だった筆者が厳選してご紹介。2025年8月末に旅行へ行ったので、最新情報です。
道後温泉や松山周辺へ観光に来られた際は、ぜひ参考にしてください。これらの銘菓は、お土産として貰う方が喜んでくれること間違いなしの逸品ぞろいです。
おすすめの松山銘菓

松山銘菓といえば、「タルト」「坊ちゃん団子」が定番ですが、「醤油餅」や「薄墨羊羹」も伝統菓子として有名です。また、最近人気沸騰中の「霧の森大福」も松山で購入できます。以下に紹介します。
松山銘菓の超定番「タルト」

タルトとは、あんをカステラ生地で巻いたロールケーキのこと。正保4年(1647年)、松山藩主の松平定行が、長崎でカステラの中にジャムが巻かれた南蛮菓子タルトを気に入り、製法を持ち帰ったのが由来です。松山のタルトは、実は380年近くの歴史ある銘菓なのでした。

愛媛は柑橘栽培が盛んなため、基本的には柚子入り餡を使うのですが、最近は、餡と生地に抹茶やチョコなどを使った変わり種のタルトも増えており、どれも人気を博しています。
愛媛でタルトを製造販売する会社は多くありますが、「一六本舗」「畑田本舗」「六時屋」「亀井製菓」「うつぼ屋」「あわしま堂」が主要メーカーとなります。小さな個人店などでも製造販売しており、愛媛県菓子工業組合によると約100軒ほどあるとのこと。まさに、愛媛や松山で愛される銘菓といえますね。
以下に、それぞれのメーカーの特徴を紹介します。
- 一六本舗は柚子入りタルトだけでなく、抹茶やさつまいも、栗、ベルギー産ビターチョコレートを使った新しい風味のタルトが人気
- 畑田本舗は栗タルトが有名で、大きな栗が入った御栗タルトが人気
- 六時屋は正統派の柚子入りタルトで、厳選材料を使った超特選タルトが人気
- 亀井製菓はおお粒栗タルトや紅まどんなタルトなど多くの変わり種あり
- うつぼ屋は姫タルトというネーミングが有名で、抹茶入りの生地を使ったタルトもあり
- あわしま堂は栗やさつまいも、米粉入りのタルトもあり
小説『坊ちゃん』から生まれた「坊ちゃん団子」

坊ちゃん団子は、もともとは「湯晒団子(ゆざらしだんご)」だったそうです。道後温泉の近くにある「初代つぼや(現在のつぼや菓子舗)」で売られていた素朴なあんころ餅でした。明治28年に旧制松山中学赴任中の夏目漱石が食べ、小説『坊ちゃん』に「二皿食べて七銭払った」と登場させたことから、つぼやの2代目が3色のあんころ餅を考案して誕生したそうです。
湯晒団子は上新粉を使っていて賞味期限が当日だったため、現在は日持ちと食感を考慮し、求肥を餡で包んだあんころ餅になっています。また、餡は「抹茶あん」「黄身あん」「小豆あん」の3種類が基本です。(※つぼや菓子舗の坊ちゃん団子は、「抹茶あん」「白あん」「小豆あん」です)
なお、今もつぼや菓子舗で湯晒団子を食べることができますよ。
坊ちゃん団子も、大小さまざまなお店で製造販売されています。
主要なメーカーは「つぼや菓子舗」「うつぼ屋」「亀井製菓」ですが、「一六本舗」「白鷺堂」「巴堂本舗」の坊ちゃん団子も人気です。道後の銘菓といえば、坊ちゃん団子といえるでしょう!

贈る相手をびっくりさせたいなら、巴堂本舗のジャンボ坊ちゃん団子がおすすめです。通常サイズの9倍の大きさなので驚くこと間違いなし!あんこ好きの人ならとても喜ばれるでしょう。
各メーカーの特徴は以下のとおり。
- つぼや菓子舗は元祖坊ちゃん団子のお店として有名
- うつぼ屋は道後温泉本館のお茶菓子に採用
- 亀井製菓は1本入りや2本入りのものがありおやつにも便利
- 一六本舗は「いちごあん」「ミルクあん」「カフェオレあん」を使った「マドンナだんごも」あり
- 白鷺堂は老舗で、タルトや落雁、羊羹なども人気
- 巴堂本舗は松山唯一の「ジャンボ坊ちゃん団子」も製造
江戸時代から続く伝統菓子「醤油餅」

松平定行の父である松平定勝が京都にいたころ、旧暦三月の節句に醤油餅を作って家臣に分け与え、子孫繁栄を祝ったのが始まりとされます。醬油餅は、松平定行が一般家庭に広めたと言われており、タルトも含めてお菓子好きの藩主だったのかもしれませんね。
それ以来、醤油餅は米粉と醤油、砂糖で作ったものを桃の節句にお供えするのが松山の風習になっていったそうです。
このように醤油餅は古くから一般家庭で作られていましたが、明治16年(1883年)に醤油餅専門店ができました。それが、松山市にある「白石本舗合同会社」です。こちらの醤油餅は中に餡子が入った珍しい醤油餅もあり、美味しいとたちまち人気になったそう。
醤油餅の現在のレシピは、米粉、醤油、砂糖、しょうが汁を混ぜる主流のほか、梅や抹茶、柚子などを使った変わり種もあります。

醤油餅の主要メーカーは、「白石本舗合同会社」「うつぼ屋」「一六本舗」「亀井製菓」「つぼや菓子舗」などです。小さなメーカーでも製造販売しています。通常、消費期限は2〜4日ほどなので早めに食べてくださいね。
主要メーカーの特徴を以下に紹介します。
- 白石本舗合同会社はあん入りの醤油餅もあり、梅や抹茶、柚子などの変わり種もある(季節によっても変わるが、消費期限は1〜4日)
- うつぼ屋は「梅」「ごま」「しょうゆ(生姜)」の3色団子風の「梅ヶしょうゆもち」を2023年から販売したこともある
- 一六本舗は正統派の醤油餅(土産用の個包装品は賞味期限約9日)
- 亀井製菓は畑寺店のみで手作りの醤油餅(消費期限3日)を販売し、道後や空港のお土産店などで醤油餅の進化版である「道後つばき花餅(賞味期限が20日の「飛鳥乃湯泉」大広間休憩室茶菓子採用のお菓子)」も販売
- つぼや菓子舗は月2回程度(夏季以外)の製造(賞味期限は製造日から3日)
全国でも評判が高い「薄墨羊羹」

薄墨羊羹は江戸時代から続く松山銘菓で、株式会社薄墨羊羹が製造販売しています。松山空襲で詳細が消失してしまいましたが、6代目が復興させたそうです。高い品質と美味しさから、全国菓子大博覧会や全国羊羹品評会などで何度も最高賞を受賞しています。
名前の由来は、地元に伝わる伊予節の一節にある「薄墨桜や緋の蕪」の「薄墨桜」だと言われています。羊羹を切った際に豆が夜桜の花びらが舞うように見え、薄墨羊羹の名前にふさわしい見た目です。
甘すぎず、素材のうまみを感じられる薄墨羊羹は人気が高く、贈答品としてもおすすめ。「抹茶」「みかん」「酒粕」「黒糖」などを使った様々な羊羹があり、これらのセット商品もあります。
薄墨羊羹は直営店のほか、道後温泉や市内のお土産屋さんなどでも購入できます。
全国的に人気の逸品「霧の森大福」

霧の森大福は、近年、美味しいと評判の大福です。愛媛のお茶どころとして有名な四国中央市新宮町で栽培された「新宮わきの茶」を餅に練りこみ、贅沢に抹茶をまぶしています。こしあんにクリームを入れ、これを抹茶を練りこんだ餅でくるみ、1個ずつ手作業で抹茶をたっぷりまぶすそうです。
この4層構造により、抹茶のほろ苦さとこしあんやクリームの甘さが絶妙なハーモニーを醸し出し、人気に拍車がかかっています。霧の森大福は製造数に限りがあるため、ネット上では抽選販売となり、入手困難な幻の抹茶大福として全国的に認知されている状況です。
しかし、松山城のふもとにある「霧の森菓子工房 松山店」でも購入できるんです!レアで美味しい霧の森大福を、一度ご賞味いただきたいので、松山旅行の際にはぜひ立ち寄ってくださいね。
なお、購入制限があり、1人3箱(1箱8個入)までとなります。午前中に売り切れることが多いため、早めに行くことをおすすめします。消費期限は冷蔵で3日です。
住所:愛媛県松山市大街道3丁目3-1
電話番号:089-934-5567
営業時間:10:00~17:30
定休日:毎月第4月曜日(祝日の場合は営業)、12月31日~1月1日は休業
駐車場:なし(近隣の有料駐車場をご利用ください)
道後観光のあとは美味しい銘菓を楽しもう!

道後温泉本館の保存修理工事にあわせて商店街のリニューアルも進んでいます。道後温泉周辺は愛媛や松山の郷土料理を堪能できるお店や柑橘を使ったスイーツ店などがどんどんできて、観光客だけでなく地元住民も集まる魅力的なスポットに変貌。
また、道後温泉周辺にはタルトや坊ちゃん団子などの銘菓を賞味できるカフェもできており、創作銘菓も味わえます。
自分で食べて気に入ったお菓子をお土産にすれば、贈られる方も嬉しい気持ちでいっぱいになること間違いありません。
道後温泉を満喫していただきたいので、以下の関連記事もご覧いただければ幸いです。
リニューアルした道後温泉については「日本三古湯の道後温泉を徹底紹介!保存修理工事が完了した本館や別館で癒されよう」をご覧ください。
また、道後温泉周辺の見どころについては、「道後温泉をもっと楽しむ!周辺にある御利益いっぱいの寺社仏閣や商店街などを紹介」をチェックしてくださいね。
道後温泉へのアクセス
主要な空港や駅からのアクセスを以下に記載します。なお、松山市内中心部からだと、伊予鉄道市内電車(通称チンチン電車)を利用するのがよいでしょう。
松山空港から
- 松山空港リムジンバス「道後温泉駅前行き」で約43分
- タクシーで約30分
JR松山駅から
- 伊予鉄道市内電車「JR松山駅前」から「道後温泉駅」下車(約25分)
- タクシーで約25分
松山観光港から
- 松山観光港リムジンバス「道後温泉駅前行き」で約43分
- タクシーで約25分