金沢駅に着いてすぐ、あるいは帰りの列車に乗る前。
「せっかくなら金沢おでんを食べたいけれど、駅から離れる時間はない」、そんなときに心強いのが、駅至近で金沢おでんを味わえる「おでん山さん」です。
観光地へ移動する前の一杯にも、旅の締めにも使いやすい立地。それでいて、鍋の中身は観光向けに簡略化されたものではなく、出汁を大切にした金沢おでんそのもの。
駅ナカ感覚で、きちんと金沢の味に触れられる一軒です。
改札を出てすぐ。金沢駅「あんと」で味わう金沢おでん

「おでん山さん」があるのは、金沢駅改札を出てすぐの「金沢百番街あんと」内。
雨の日でも外に出る必要がなく、スーツケースを引いたままでも無理なく入店できます。
駅ナカというと、手早く食べる飲食店を想像しがちですが、ここではその印象が良い意味で覆されます。観光地まで移動しなくても、金沢おでんをしっかり味わえる。
その手軽さが、この店の大きな魅力です。

暖簾をくぐると、まず感じるのはやわらかな出汁の香り。湯気の立つ鍋を囲むカウンターが目に入り、自然と気持ちが落ち着きます。店内は木を基調としたシンプルな造りで、駅構内にあることを忘れてしまうほど静か。
周囲の喧騒とは一線を画した空気があり、ひとりでも入りやすい雰囲気です。移動の合間に立ち寄ったはずが、つい腰を落ち着けてしまう人も多そうです。
お出汁が効いた上品な金沢おでん

この日いただいたおでんは、以下の8種類です。
- ばくだん
- ちくわ
- 梅貝
- たこ
- さつまあげ
- たまご
- 焼き豆腐
- あぶらあげ
まず印象に残ったのが梅貝。箸を入れるとすっと切れるやわらかさがあります。独特の歯ごたえは残しつつも、出汁の旨みが中まで行き渡り、噛むほどに味が広がります。磯の香りが主張しすぎず、出汁と一体になっている点に、金沢おでんらしさを感じました。

ばくだんは、金沢おでんを代表する具材のひとつ。魚のすり身で包んだ中にゆで卵が丸ごと入った、見た目にも存在感のある一品です。
外側のすり身はふんわりとやわらかく、箸を入れると中から現れるゆで卵の黄身が、出汁と合わさってコクを生みます。すり身の旨み、卵のまろやかさ、そして出汁の塩梅が重なり合い、口の中でゆっくりとまとまっていく印象。名前のインパクトとは対照的に、味わいはとても穏やかです。
たこも印象に残った具材のひとつ。長時間煮込まれているにもかかわらず、身は固くなりすぎず、箸を入れるとほどよい弾力を保っています。噛むたびに旨みがにじみ出てきて、出汁のやさしい味わいと重なり合います。
たまごは黄身まで味が入りすぎず、白身の食感と出汁の塩梅がちょうどいいバランス。ちくわやさつまあげといった練り物も、甘さや旨みが過度に出ることなく、あくまで出汁を引き立てる役割に徹しています。
存在感があったのが焼き豆腐とあぶらあげ。表面には軽い香ばしさがありながら、中は出汁をたっぷり含んでいて、噛むとじゅわっと旨みが広がります。油分は重たく感じず、むしろ出汁の輪郭をはっきりさせるような役回り。金沢おでんが「出汁を食べる料理」だということを、あらためて実感させてくれました。
おわりに

金沢おでんというと、専門店を探して街へ出るイメージがあるかもしれません。
しかし、「おでん山さん」は金沢駅構内にありながら、鍋の中身は簡略化されることなく、出汁を軸にした金沢おでんの魅力をきちんと伝えてくれます。
移動の合間でも、時間に追われていても、「金沢らしいものを食べた」という実感を残せるのは、この場所ならではです。
旅の始まりに気持ちを整える一食としても、帰り際に記憶を締めくくる一杯としても。
金沢駅を利用するなら、覚えておきたい駅ナカのおでん屋です。
おでん山さん
住所:石川県金沢市木ノ新保町1-1 金沢百番街あんと
営業時間(平日):11:00~21:30
営業時間(土日祝日):11:00~21:00
定休日:不定休
電話番号:076-231-1886




