江東区・清澄白河駅を降り、清澄通りを5分程歩いた場所に北海道産ナチュラルチーズ専門店「チーズのこえ」があります。
お店の外観は、北海道ならではの形をシンプルに表現したデザイン。このお店ではどんな素敵な商品に出会えるのだろうと、入る前からワクワクした気持ちにさせてくれます。
今回、お話させていただいたのは「チーズのこえ」代表の今野徹さん。
ヨーロッパのチーズと比べても全く引けを取らない国産チーズの魅力を伝える場所が必要だという思いでお店を立ち上げ、現在は日本で唯一の北海道産チーズの専門店として営業されています。
コンシェルジュが食卓を総合的にイメージしてチーズを提案してくれる
「北海道ナチュラルチーズ・コンシェルジュ」と書かれたドアを開けると、数多くのチーズや国産ワインが並んでいます。ショーケースに所狭しと置かれた国産チーズからはそれぞれの個性を感じられ、どれを選んだらいいか迷ってしまうほど魅力的な商品ばかり。
「年間で全国にある約150箇所の工房からチーズを送ってもらっています。チーズ工房の仲間はみんな、日本の農業のこと、食のこと、酪農のこと、国産チーズのことを真面目に考えている仲間なんです」と今野さんは言います。
チーズのこえのスタッフは、単にチーズをおすすめするのではなく、お客様が食卓の中でどのようにチーズを食べるのかを詳しく聞き、商品を提案してくれます。
1人で食べるのか、家族とシェアするのか、子どもはいるのか、手土産として持っていくのか。どんな飲み物と合わせる?昼間のちょこっと飲み?それともワインを主役にした食事会?など。
そのような会話の中で、今までと違うチーズの食べ方に挑戦しようと思えたり、自分では思いつかないレシピを知る機会になったり、新しい発見が生まれます。
「私たちは単にチーズが売れるだけでいいとは思っていません。コミュニケーションを通して、お客様が求めている食卓をイメージしながらチーズを提案しています。接客のすべてがお客様1人ひとりに対するプレゼンテーションだと思って会話をしています」
チーズにどんな魅力があっても、チーズは自分でその魅力を語ることはできません。牛乳という酪農家の傑作に、さらに職人の手が加わって作られる多種多様のチーズの魅力「チーズのこえ」を伝える接客は、まさに「コンシェルジュ」そのものだと感じました。
スタッフが実際に食べて美味しかった調理法を教えてくれる
チーズのこえのスタッフは、旬の野菜の情報を把握した上で接客をしてくれます。実際にスタッフが普段の食事の中で見つけた、野菜とチーズのおいしい組み合わせを教えてくれるので、新しいチーズの食べ方を気軽に試すことができます。
「主語を『I』で語ればお客様に『愛』が伝わるといつもスタッフに伝えています。何かの賞を獲ったからといって全員においしいが当てはまるわけではなく、自分たちが実際に試した体験にもとづく提案が、チーズの魅力をしっかり伝えられる方法だと思っています」
ナチュラルチーズ1つをとっても、個性はさまざま。どのようなシーンで誰と食べたいのかを伝え、特徴を教えてもらいながら選んだチーズは、とても味わい深く、家族でおいしさを共有する楽しさを感じました。
チーズのこえは「食」の大切さや楽しさを再確認できる場所
「チーズを作る側、食べる側、買う側すべてにおいて『食』を大切にする人を増やしたい」という思いを持っている今野さん。
「日本はヨーロッパに比べて食を作る時間、味わう時間が少なく、食文化自体が衰退してきているのが現状です。『アグリカルチャー』という言葉がある通り、農業は食であり文化なので、食の時間を増やすことこそが本当の豊かさだと思っています」
今野さんと話していると昔の記憶が蘇ってきました。
母について馴染みの八百屋にいけば「毎度どうも」と覚えていてくれる嬉しさがあり、数ある野菜から旬のものを教えてくれて、どう調理すればいいのかを提案してくれる。昔はそんな光景が当たり前でした。今はセルフレジが導入され便利にはなりましたが、誰とも話さず買い物を終えることに寂しさも感じます。
人とのコミュニケーションが自然に生まれる「チーズのこえ」は、新しいチーズのおいしさに出会える素敵な場所です。ぜひ一度足を運んでみてください。
【店舗情報】
チーズのこえ
住所:〒135-0023 東京都江東区平野1丁目7-7 第一近藤ビル1F
アクセス:東京メトロ半蔵門線・都営大江戸線「清澄白河駅」A3出口から徒歩5分
メールアドレス:info@food-voice.com(お問い合わせはメールで受け付けております)
営業時間:11:00〜19:00
定休日:不定休
最新情報はHPとInstagramをご確認ください。