全国のパン好きさんや、パン屋さんから注目を集め続ける塩パンの発祥店「パンメゾン」。
2014年に2号店として開店したのが「スペイン石窯工房パンメゾン(松前店)」です。
今回は、オーナーシェフ・平田将武さんにインタビューした模様を後編としてお伝えします。
22年間パン職人を続けてきた将武さんに、開店当初のことやアイディアの源、成功のコツなど、貴重な内容をたくさん語ってもらいました。
パン職人さんだけでなく、仕事で悩んでいるビジネスパーソンも必見の内容です。
一度だけ辞めようと思ったことがある
2014年の開店当初はものすごい忙しかったですか?
将武さん「そうですね。もうそのときは深夜1時30分に出社して、終わるのは23時30分でした。
2時間しか寝られなかった。本当にわけが分からない状態でずっとやってた感じですね」
コロナ禍は売上に影響がありましたか?
将武さん「はい。お客さんなかなか来られなかったですし、大変な時期でした。その中でもどうしたらきてもらえるか、どうやったらスムーズにお買い物ができるかと、いろんな対策を考えましたね。その中でもずっと新商品を作り続けて、飽きさせないように工夫していました」
今までにやめようと思ったことはありますか?
将武さん「大学卒業して、高知の「ベルゲン」というお店に修行に行ってたんですけど、1週間働いたときに1回だけ思いました。もう無理だと。
大学生って、遊びまくって昼夜逆転の生活じゃないですか。それがね、朝の5時から夜の8時ぐらいまで仕事するようになり、しんどいって思いましたね。だけど、先輩にすごく良くしてもらったので続けられました。すごくありがたかったですね。
24時間パンのことを考える生活
将武さんの基本方針はお客さんに最大限喜んでもらうこと?
将武さん「そうですね。父親で現会長のモットーが『パンで小さな幸せを』というものなんです。たった一つのパンでね、幸せとか美味しいとか、この店に来てよかったなっていう幸せをお客さんに感じてもらうために、みんな一生懸命仕事してもらっていますね」
そうなったら理想的ですね!
将武さん「しんどいですけどね笑すべてがすべてうまくいってるとは思わないですよ。
まだまだこれから伸びしろはあると思うんで。まだ何かやることがあるとか、もっと美味しいパンが作れるとか、もう24時間パンのことを考えてますね。ウチのお店では1年間に120種類以上の新商品を出してます。そのためにはずっと考えておかないと無理なんです」
新商品のアイディアの源はなんですか?
将武さん「いろんなところにありますよね。もちろんパンの雑誌もそうですし、テレビとか今だったらSNSでバズってるものとか。
流行っているものもそうで、タピオカが流行ったらタピオカのパンを作ってみるとか。よそのパン屋さんに研究しに行って、ウチ風にアレンジすることもあります。どこにでもヒントはあるんですよ」
いつか第2の塩パンを作る
パン屋さんとして十分成功していると思いますが?
将武さん「いやまだまだですね。成功よりも続けさせてもらっていることがありがたいと思っています。でも、調子に乗ると絶対に駄目になると思うんです。
飲食業って一寸先は闇ですからね。だから常に新しいことを考えながら、常に前を向いて歩いていかないと。だからまだ成功したとは思ってないです」
そうなんですか??
将武さん「そうなんです。僕は死ぬときにどうだったのか判断するんじゃないですか。それまでは判断できないんです」
同業者さんからすると本当にすごいお店なのではないでしょうか?
将武さん「全然まだまだです。すごいと思われてるとすると、お店が大きいからだと思いますよ。ウチのお店では今塩パンがすごく人気じゃないですか。
パン屋さんで1日100個売れたら人気商品って言われるんですけど、塩パンだけで平日が3000個、土日は5000個売れますからね。なかなかあんなモンスター級のパンは生まれない。塩パン作ったのは会長ですが、いつか第二の塩パン作ってやろうと考えています」
お客さんに喜ばれることが励み
目標の一つは第二の塩パンを作ることですか??
将武さん「そうですね。ただそう簡単にはね笑今までね、何千種類の新商品を作ってきた経験から、そんなに簡単ではないと分かってはいるんです。
だけど、そういう目標を持っとかんと、もうこれでいいやと思ったらもうそこで終わっちゃうんです。だから全然不可能だとは思わない」
今後の全国展開は考えていますか?
将武さん「今のところはないですね。僕の弟が今東京で塩パン専門店を出しているんです。そのお店をきっかけに全国に広まったらいいなと思います。
それよりも今は、目の前に来てくれるお客さんを、もっともっと幸せにする方が大事かなと」
将武さんの向上心がすごいです!!
将武さん「それが楽しいですからね。本当に飲食店とかってお客さんの顔が見えるじゃないですか。
それがやっぱり嬉しいですよ。見ててね、たくさん来てくれるってことは美味しいって思ってもらえてるんだなって思えるしね。この新商品美味しかったとかっていうのがやっぱり一番の励みになりますね」
将武さんの目標は果てしないと思うんですが、どうなると満足できそうですか?
将武さん「そうですね。子供たちが後を継いでくれたらじゃないですか。もうパパ引退していいよ、あとは任せてって言ってもらえたら嬉しいかも知れません笑
まだ任せられないですけどね。あとはスタッフが幸せを感じて働いてくれることですね」
年商よりも目の前のお客さんの幸せを追求する
年商いくらと目標設定しているものだと想像しており、イメージと違いました
将武さん「それはどうでもいいですね笑年商を高くするんやったらもっと値上げしてます。本当に今原価が高騰してるじゃないですか。それでもウチのパンってめちゃめちゃ安いですよね。業者さんにも相当協力してもらっているおかげです。
ウチはもともとパン工場で、その当時から40年以上お付き合いさせてもらっている業者さんがいます。原材料が値上がりしても、価格を抑えて納品してもらっています。すごくありがたいことですね。
だからウチは低価格でやり続けられる感じですね。そうすると、初めて来たお客さんには、これだけ買ってこの値段なんだと、喜んでもらえます」
パン業界をリードする存在だと思いますが?
将武さん「そうなんですかね笑全国的に有名とか、愛媛で一位になるとか別にどうでもいいんですよ。僕は結局来てくれるお客さんが一番と思ってくれたらいいんです。だからお客さんに喜んでもらえたら関係ない。
当たり前のことですけど、お客さんのことやスタッフのことを考えて、一生懸命仕事すると結局自分に返ってくると思うんです」
それが成功の秘訣なんでしょうか?
将武さん「うーん、成功っていうか続けさせてもらっている秘訣ですかね。成功ではないですよね。まだまだ過程の途中です」
インタビューを終えて
大人気のパン屋「スペイン石窯工房パンメゾン(松前店)」を率いる平田将武さんは、仕事や人に対する愛に溢れている方でした。
繰り返し「目の前のお客さん、スタッフを大切にすることが大事」と将武さんが話しており、とても印象的でした。
当たり前のことを当たり前にやり続けることが、成功のコツなのかも知れません。
「パンで小さな幸せを」という会長のモットーは将武さんに受け継がれ、これからもお客さんを幸せにするパンが生み出されていくことでしょう。
公式サイト | 塩パン屋パン・メゾン |
住所 | 〒791-3164 愛媛県伊予郡松前町中川原字新田406−1 |
駐車場 | 25台 |
電話番号 | 089‐989‐6387 |
営業時間 | 6時30分から18時 |
定休日 | 火曜 |
SNS | |
座席 | ・店内:テーブル4台 ・テラス:テーブル3台 |
※営業時間や料金などは2024年8月時点のものです