東京都のほぼ中央に位置し、文教地区・学園都市・芸術の街として知られる国立市。
前回は、国立市と国立駅の歴史、旧国立駅舎ができるまでをご紹介しました。
今回は、復原された「旧国立駅舎」の魅力について詳しくご紹介します!

旧国立駅舎の設計
現在の旧国立駅舎はJR国立駅南口を出てすぐのところにあり、1926年創建当時の姿で、当時とほぼ同じ場所に、再築・復原されています。
現在は、休憩の場として、待ち合わせの場所として、地域の憩いの場となり、たくさんの方に利用されています。

旧国立駅舎の設計は長年、謎に包まれていたのですが、現在、設計者として考えられているのは、河野傳氏です。
河野傳氏は箱根土地株式会社の社員の一人で、箱根土地株式会社入社前にフランク・ロイド・ライト氏に師事しています。
フランク・ロイド・ライト氏は、「近代建築の三大巨匠」と呼ばれ、ニューヨークにあるグッゲンハイム美術館や帝国ホテル、自由学園明日館などを設計したことで知られています。
当時、河野氏は帝国ホテル新館(ライト館)の建設にも携わっていました。

現在、旧国立駅舎の展示室には、フランク・ロイド・ライト氏に関連する書籍や、河野氏が手がけた目白文化村の書籍などが置いてあります。
海外を思わせる国立駅舎のデザインには、ライト氏から受けた影響もうかがえます。
広間
旧国立駅舎は、創建当時の駅舎とほとんど変わらない間取りで設計されています。

改札があった位置には、現在も改札を思わせるような木製の改札の入り口が!
こちらは大正当時の改札を再現しているのですが、場所が変わらないため、自動改札になった近年の改札も思い返すことができます。
ちなみに、当時、国鉄が自動改札機を初めて導入したのは国立駅だったそう!

その先を奥に進むと、高い天井と明るい空間が広がっています。
こちらは、「さまざまな出会いが生まれるまちのラウンジ」というコンセプトの元、円形の木製ベンチも設置され、現在は広間として利用されています。

奥に見えるロータリーと時計塔の景色は、筆者が利用していた2006年頃から変わらず、この景色が懐かしいと感じる方も多いのではないでしょうか?

南側の木製大扉上部には半円アーチ窓があり、やわらかな光が差し込んでいます。
この半円アーチ窓は、欧米の大規模な駅舎に用いられるロマネスク風で、外から見ても目に入る、国立駅の象徴の一つといえるでしょう!



まち案内所
広間の隣には、まち案内所(旧出札室)があります。

まち案内所では、国立市の魅力を発信するインフォメーションセンターとして、案内スタッフの方が見所を紹介してくれたり、国立市内のお店の商品やお土産などを販売しています。


ほかにも、鉄道レール文鎮(アメリカ製)も販売しています。
創建当時、国立駅のひさしを支える柱として使用されていたアメリカ製レールの一部を切断・加工して作られた鉄道レール文鎮。
旧国立駅舎を愛している方はもちろん、鉄道好きの方にもおすすめです!
展示室
元々、手小荷物扱所であった場所は、現在、展示室として使用されています。


こちらの展示室では、旧国立駅舎の文化財としての価値・魅力や、学園都市の希少性を伝えるためのパネルや国立駅舎ができるまでの映像などを常設で展示します。

実は、広間、展示室ともにイベントでの利用なども受け付けており、以前、筆者も展示室で絵画の個展を開催させていただきました!

展示室には、実際に使用されていた部材など、大変貴重な物が多く展示されています。
国立駅舎の特徴である赤い屋根の煉瓦や海外製の古レールなどが展示されており、実物を間近で見ることができます!


こちらは実際に使用されていた古レール。
海外の古レールを使用していた国立駅舎ならではの展示ではないでしょうか。
レールには、ドイツのウニオン社ドルトムントの製鉄所で製造した証が刻まれています。
100年以上も前の時代に、海外から古レールを取り入れていたと思うと、改めて国立駅舎が革新的であったとより強く感じられるでしょう!
実は古レールは現在の旧国立駅舎でも様々な柱の部分で再利用されています!


宮大工の技術
海外のデザイン、部材を取り入れて、海外を感じさせる旧国立駅舎。
ですが、実は日本の技術も生かされていました!

木組みは、釘を使用せずにパズルのように組み合わせていく日本の伝統工法。
高度な技術と経験が必要で、現在ではこの技術を受け継ぐ職人も少なくなっています。

旧国立駅舎は、金輪継手(かなわつぎて)という技法で建築されました。
金輪継手とは、木材を組み合わせる際に使用する技法で、同形の両部材の口にT字形の目違いをつけて組み合わせ、栓を差して固定しています。
展示室では、展示のみならず実際に触って体感することもできます!
旧国立駅舎で歴史と文化に触れる
2026年で開業100周年を迎える国立駅。
1926年、赤い三角屋根に白い壁、ロマネスク風の半円アーチ窓やドーマー窓を取り入れた、イギリスの田園都市風の小住宅デザインの駅舎が誕生しました。

この100年もの間、学園都市の開発や、赤い屋根との別れなど、様々な出来事がありました。
市や市民、国立を愛する人々の強い思いで再建された旧国立駅舎。
旧国立駅舎で国立市、駅の歴史を知り、文化に触れてみませんか?
旧国立駅舎
公式サイト:旧国立駅舎特設サイト / 国立市ホームページ
住所:東京都国立市東1-1-69 JR国立駅南口を出てすぐ
開館時間
平日:広間(午前7時〜午後10時) まち案内所・展示室(午前10時〜午後7時)
休日:広間(午前9時〜午後10時) まち案内所・展示室(午前9時〜午後7時)
休館日:年末年始(12月29日〜1月3日)のほか、定期清掃等で年2回ほど臨時休館日あり。
お問い合わせ:042-505-6691 旧国立駅舎まち案内所
(ちらし等設置申請やプレイピアノについてもこちら)
※取材時の情報です。最新情報は旧国立駅舎リンク先よりご確認ください。




