普段何気なく歩いている道やグラウンドの下に、巨大な神殿が広がっている光景を想像できますでしょうか?
そんなドラマのような世界が埼玉県に実在するのです!
埼玉県春日部市にあるその場所は「首都圏外郭放水路」といいます。
一般の方が参加できる見学ツアーがあり、観光スポットとしても注目される現役の防災施設です。
今回『地下神殿コース』を体験してきたので、その様子をお届けします!
地下神殿への期待を胸に受付へ
見学ツアーに参加するためには、公式サイトから事前予約が必要です。
予約当日は、集合時間までに地底探検ミュージアム「龍Q館」で受付を済ませましょう。
受付すると見学者用のシールを渡されるので見えるところに貼ります。見学者用シール以外にステッカーとカードももらうことができ、嬉しい記念品になりました。
集合時間が近づき、参加者が続々集まってくるにつれて期待も高まってきます。
見学ツアーでは、洪水時の様子をARで体験したり音声ガイドを楽しんだりすることもできるので、地上にいる間にアプリをダウンロードしておきましょう!
地底探検ミュージアム「龍Q館」
地底探検ミュージアム「龍Q館」は、防災地下神殿について無料で学べる施設です。
2Fには展示室や地底体感ホール、操作室などがあり、模型や映像で首都圏外郭放水路の働きを見ることができますよ。
建物の外にも、立坑を掘った際のシールドマシン先端部など見どころがあります。
コース見学が難しい人も「龍Q館」を訪ねるだけで、気軽に防災を学べるのでおすすめです。見学ツアーの前後で楽しめるので時間に余裕をもっておきましょう。
見学は充実の4コース
首都圏外郭放水路の見学コースは全部で4コースあります。
・地下神殿コース(55分/1,000円) 実際に地下神殿へ降り立てる、見どころをギュッと凝縮したコースです。 ・立坑体験コース(110分/3,000円) 地下神殿に加えて立坑内部も歩くことができ、約70mの深さを体感できるコースです。 ・ポンプ堪能コース(100分/2,500円) 地下神殿とポンプ室を見学するコース。国内唯一の大型ポンプ設備は必見です。 ・インペラ探検コース(110分/4,000円) 長靴とヘルメットを着用して、神殿の最奥部まで行ける見どころ満載のコースです。 価格表記:1名分 |
どのコースに参加しても、必ず地下神殿の見学が含まれていますよ!
安全面を考慮し、未就学児は大人同伴でも参加できません。注意事項などの詳細は、公式サイトをご確認ください。
地下神殿を120%楽しむための事前説明からスタート
いよいよスタート時間、係員の合図で見学ツアーが始まります。
まずは集合場所の「龍Q館」1Fで、施設の説明を受けます。
施設の働きで浸水被害を軽減した実績も!
首都圏外郭放水路は、昔から水害に悩まされていた中川・綾瀬川流域の被害を軽減する目的で作られた防災施設です。
施設は主に、立坑(たてこう)、トンネル、調圧水槽、排水機場で構成されています。
内径約10mのトンネルは延長6.3Kmあるそうです。排水ポンプは最大で毎秒200㎥という驚異的な排水能力を持っているそうです。
この巨大なプロジェクトは、1993年3月に着工し、約13年の歳月と2300億円もの費用をかけて2006年6月に完成しました。
稼働頻度は年平均7回程度、これまでに148回稼働しています。首都圏外郭放水路の稼働によって中川・綾瀬川流域では浸水被害が大幅に軽減されたそうです。
最も多くの水を排水したのは2015年9月に鬼怒川が決壊した台風のときで、約1900万m3(東京ドーム約15杯分)もの水を、4台のポンプで4日間かけて排水したそうです。
日本の最先端の技術が結集したこの施設は、実際に多くの水害を防ぐ実績を積み重ねています。その成果は国内外から広く注目され「防災地下神殿」として高く評価されています。
観光スポットや教育現場としても大活躍!
首都圏外郭放水路の巨大な地下空間は「防災地下神殿」とも呼ばれ、観光スポットとしても人気があります。
見学ツアーは、地域住民や学生たちが水害対策の重要性を学べる防災教育の場としても注目されているそうです。
いざ、地下神殿へ出発
今回の見学ツアーは、調圧水槽がメインの「地下神殿コース」です。
首都圏外郭放水路の働きを学んだら、「龍Q館」から外へ出ていざ地下神殿へ!
係員に続いてサッカーグラウンドの横を歩きます。このグラウンドの下に噂の地下神殿が広がっているのかと想像が膨らみ、ワクワクが止まりません。
地下へ続く階段は、なんと116段
200mほど歩いたところに入口がありました。巨大な神殿のイメージとは程遠い、小さな入口です。
ここから、116段の階段を下りて地下神殿へ向かいます。エレベーターがないので、見学ツアーに参加する人はもれなく全員階段を上り下りすることになります。
下りている途中にも、地下神殿が目に飛び込んできて気持ちは昂りますが、移動中は撮影禁止です。
圧倒的なスケールと魅力を体感
階段を下り切ると、そこに広がるのはまさに神殿そのもの!
防災施設だと説明を受けたにも関わらず、神聖さまで感じてしまう驚きの空間です。肉眼で見ると一層迫力が増しますよ。
神殿を彷彿とさせる59本の巨大な柱
「調圧水槽」には、高さ18m、幅2m、長さ7m、重さ500トンの大きな柱が全部で59本もあるのだそう。圧倒的なスケールです。
稼働時には、柱の上部「定常運転水位」という印まで水かさが増すそうです。降り立っているこの場所が、洪水時は水に沈むのかと思うと背中がゾワゾワします。
どうして内部がきれいなの?
「調圧水槽」は、夏場でも気温は18℃~20℃だそうで、空気もひんやりしています。
洪水時には雨水などと一緒に土砂も入ってくる「調圧水槽」ですが、汚れや臭いもなくきれいに保たれていました。
なんと、見学ツアーのために手作業で定期的に掃除しているそうですよ。今回の見学ツアーに含まれていない奥のほうは、1年~2年に1回地上からブルドーザーをおろして掃除しているそうです。
季節によっては湿気で地面が濡れていることもあるため、動きやすい服装と濡れても良い靴で参加しましょう。
立坑の深さは約70m
「立坑(たてこう)」についても説明があります。
「立坑」は自由の女神がすっぽり収まるほどの深さで、「調圧水槽」から見えている部分は上部1/3なのだとか。
全部で5つの「立坑」が下部のトンネルでつながって、洪水時には「調圧水槽」まで水が到達し江戸川へ排水する仕組みになっています。
立坑見学コースを選択すると、立坑内部も歩けるそうですよ。高所が苦手でなければ、ぜひ立坑へも行ってみましょう。
説明を受けたあとは、撮影時間も十分に用意されています。見学や撮影を満喫したら、下りてきた116段の階段を地上まで上がり解散です。
地上に戻り改めて周りを眺めたとき、普段何気なく目に入っていたグラウンドや建物がいつもと違って頼もしい場所に見える貴重な体験となりました。
予約をして地下神殿を見にいこう!
防災地下神殿「首都圏外郭放水路」の見学ツアーは、迫力満点の地下神殿を実際に体感しながら防災について深く学べる機会になりました。
見学ツアーに参加するには、事前予約が必要です。
公式サイトから気になるコースを見つけて、ぜひ参加してみてください!
首都圏外郭放水路
住所: 埼玉県春日部市上金崎720
アクセス:
東武野田線(東武アーバンパークライン)南桜井駅北口より、タクシーで約7分
圏央道「幸手IC」及び「五霞IC」から約30分(約15キロメートル)
駐車場:あり
※見学ツアーは事前予約が必要です。最新情報は公式サイトをご確認ください。
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