地方創生メディア  Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

スポット  |    2025.03.05

琵琶湖北西部の城下町で地域おこしの牽引役|高島びれっじの30年【後編】

高島びれっじの建物には、パン屋さんや飲食店も入っています。「大溝の水辺景観」散策の休憩に甘いものを食べたり、朝食・昼食・夕食をとったりするのならば、立ち寄ってみましょう。

また、工芸の体験教室も開かれています。歴史のある建物の中で、自分だけの思い出の品を作るのもいい経験になるのではないでしょうか。

前編はこちら

琵琶湖北西部の城下町で地域おこしの牽引役|高島びれっじの30年【前編】

1号館

高島びれっじの中でも最初にできた施設です。江戸時代後期に建てられた商家を改装しました。

1997年のオープン当初は民芸物産品の販売所でしたが、今は「キャンドル工房」となっています。個人から団体まで気軽に参加できる体験教室が開かれています。

・蝋燭町キャンドル工房 0740-36-1266 月曜定休(月曜が祝日の場合は、翌日休)

工房の主は、京友禅伝統工芸士の中條弘之さん。30年近く前、広い作業場を求めて京都市から移住してきた
「畳の上でやる教室って、今どきほどんどないでしょう。参加者はこれだけでも落ち着くみたいですよ。古い商家のおかげですね」
建物の中には、かまどが残されていた
古い水屋も、照明などを工夫して展示棚に

2号館

江戸時代中期に建てられた商家で、登録有形文化財に指定されています。写真のパン屋さんのほか、うどん・そば・定食のお店、美容室が営業しています。

・セントラルベーカリー 0740-36-0545 月曜・火曜定休

大阪から移ってきて、お店を開いた村井康昌さん・祐子さんご夫妻。「お向かいの中條さんの次に古いびれっじの“住民”になってしまいした」
お店は、2号館に向かって左側。おそらくは通用口か、かつての醤油の材料などの搬入口の奥にある
2号館の古びた外観と一転して中はあたらしく、清潔感でいっぱいだ
午前中に行くと、香ばしい香りとともに、パンが次々と焼き上がる

3号館

すぐ近くにある淡海酢有限会社(たんかいすゆうげんがいしゃ)の直営店です。元は信用組合だった建物を改装しました。内装などは大正ロマンをテーマにしています。

お酢とお菓子のお店「淡海堂(おうみどう)」 0740-36-0218 水曜定休

淡海酢有限会社の3代目、福井順一さん。「元はスイーツだけのお店だったんですけどね。酢の売り場もこちらに持ってきました」
信用組合の建物をそのまま使うわけにはいかず、改装業者にはしっかりと注文を出したという
「なんでお酢屋さんがスイーツのお店を?」の質問に、「大溝から手土産を持っていくときになかなかいいものがなくてね。それで地元の材料にこだわったスイーツを用意しました」
古文書を手がかりに、江戸時代の製法で作った酢「淡海昔玄米(おうみせきげんまい)」

4号館

1号館の蝋燭町キャンドル工房と同じく、中條さんが主宰しています。染色教室が開かれるほか、中條さんの仕事場にもなっています。

・染色工房いふう 0740-36-1266 月曜定休(月曜が祝日の場合は、翌日休)

「移ってきたときはちょうどバブルの頃でね。こんな広い作業場は京都では難しかったんですよ」
「プロの染織家がわかりやすく指導してくれる」ため、人気がある染色教室

6号館

元は1号館の商家が倉庫にしていた建物のようです。かつては「建物のわきにまで大溝港からトロッコが来ていた」という話もあります。

中は、焼肉や地鶏料理、なべものなどが楽しめる食事どころになっています。

・焼肉地鶏たらふく 090-8196-8929 月曜・木曜定休

2024年秋に、同じ高島市内から移ってきた矢原政治さん。ビレッジの最も新しい“住民”だ。
黒ずんだ柱が、古い建物であるのを主張している。さらにポスターでレトロ感をいっそう高めた
広々とした建物だけに、調理場にも十分なスペースが取られている
表通りから「たらふく」には、1号館と大溝祭の曳山の収蔵庫の間を抜けて行く

びれっじ全体はTMO機関がマネージメント

今、ビレッジの施設は他にもギャラリーとして使われている5号館(びれっじギャラリー蔵)、アウトドアやアクティビティの受付・拠点となっている7号館(ゼログラビティ)、カフェ兼バーの8号館(カフェアビリオ)があります。

入居者の顔ぶれは時々変わるものの、発足以来約30年続いてきました。

また、2005年、地元の商工会や商店会が一体となった「高島びれっじ事業協同組合」が発足しました。国土交通省が推進する「タウンマネージメント機関(TMO)」と呼ばれるもののひとつです。「地域の中心市街地を盛んにするため、商工会・商店街組合・企業・市民・行政機関が協力して展開する事業を総合的に調整する組織」とされます。

以後、高島びれっじはこの協同組合のマネージメントのもとで事業展開が図られています。

「大溝の水辺景観」を象徴し、2号館の箱庭には石造りの水車が置かれている

記事をシェアする

この記事を書いた人

柳本 学

滋賀県大津市在住のライター兼カメラマン。守備範囲を広げ、「あまり例のない、文章・写真から制作まで一括で請け負えるホームページクリエイター」としても活動しています。ビジネス、文化、科学技術なども書いてきましたが、地域社会に重点を移す途上です。かつては全国紙 の記者・カメラマンでした。取材参加は阪神・淡路大震災、オウム真理教本部捜査(山梨県)、村山富市・金泳三日韓首脳会談(ソウル)など。稲盛和夫さん、松田聖子さんらのインタビューも撮りました。ホームページ:https://atelier-pentad.com/

関連記事