さいたま市から始まるアップサイクルプロジェクト「Smoke-i-freet」の挑戦
廃棄物として処理されてきた醤油粕(しょうゆかす)に新たな価値を生み出そうと、さいたま市で新しい挑戦が始まっています。
その名は 「Smoke-i-freet(スモークイフリート)」。醤油粕を活用した燻製材「彩香の燻醤(さいかのくんしょう)」を開発し、アップサイクルの可能性を実証しているプロジェクトです。
今回お話を伺ったのは、代表の辻健太朗さん。

どのようにこのプロジェクトを立ち上げ、なぜ醤油粕という素材に辿り着いたのか。その背景を探りました。
はじまりは「燻製機作り」から 世界初とも言われる醤油粕燻製材が誕生するまで
――もともとアップサイクルのために始めた事業ではないと伺いました。
辻さん:
「そうなんです。実は、最初から『醤油粕で燻製材を作ろう』と思っていたわけではありません。はじめに取り組んでいたのは、使いやすい燻製機の開発でした。そこからいろいろと出会いがあり、結果として処分されている素材を活かせないかという視点につながっていきました」
辻さんが着目したのが、醤油製造の工程で生まれる副産物・醤油粕。
日本で年間約10万トンが発生すると言われ、飼料として利用される一方で、処理に困るケースもある素材です。
「まだ使えるのに、行き場をなくすものがある」。辻さんはそんな現状を知り、「ならば、これを再び価値あるものに変えられないだろうか」と考えたといいます。
こうして生まれたのが、木材を一切使わない燻製材「彩香の燻醤」です。

醤油粕から生まれた燻製材の魅力
安定供給・高い香り・環境負荷の低減
「彩香の燻醤」には大きく4つの特長があります。
① 木材を使わず、環境負荷の小さい燻製材
醤油粕だけを使うことで、木材需要の影響を受けず、安定した製造を可能にします。木材チップの高騰といった課題にも左右されにくいのが強みだといいます。
② 他にはない独特の“香ばしさ”
実際に燻してみると、醤油の甘みやコクがふっと香る、今までにない風味が出ます。醤油由来ならではの奥行きある香りは、飲食店や食品メーカーからも注目が高まっています。
③ 塩分控えめでも“おいしさ”を感じやすい
燻製成分が加わることで、塩分や糖分を減らしても物足りなさを感じにくくなる効果が期待できるといいます。
④ 保存性が高まり、食品ロス削減の可能性
燻製はもともと保存技術として使われてきた歴史があり、食品のロングライフ化につながるケースもあります。「彩香の燻醤」でも、今後の実証を進めることで、食品ロス削減への貢献が期待されています。
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試行錯誤の末に見えてきた、生きた素材としての難しさ
しかし、醤油粕を燻製材の素材として扱うのは簡単ではありませんでした。
辻さん:
「醤油粕は麹の成分も残っていて、いわば生きている素材なんです。水分も多く、思ったように燃えてくれない。扱いが難しいからこそ、完成までに何度も試行錯誤を重ねました」
何度も検証を重ね、ようやく現在の「彩香の燻醤」の製法へ辿り着いたといいます。
「廃棄物にしない仕組み」をつくりたい
地域に広げるアップサイクルの輪
辻さん:
「このプロジェクトの目的は、使える素材を捨てない仕組みをつくること。醤油粕を価値ある資源に変えることで、地域にも、企業にも、そして環境にも良い循環が生まれると思っています。」
Smoke-i-freet では現在、飲食店・食品メーカーとの商品開発や、農業分野での活用など、さまざまな連携が進行中です。新たな素材の可能性がますます広がっています。

Smoke-i-freet アップサイクルプロジェクトは数々のビジネスコンテストで受賞。地域からも熱く期待されています。
【後編】では、
実際の活用事例、飲食店との開発ストーリー、そして「彩香の燻醤」が広げる未来の可能性について詳しく紹介します。




