
訪日外国人旅行者の増加により、日本各地で「観光」の存在感はこれまで以上に高まっています。駅前や商業施設、観光地など、私たちの日常の中にも観光の風景が溶け込むようになりました。
こうした時代背景の中、子どもたちが観光を身近な社会テーマとして学ぶ場として、
1月17日(土)に小田急線沿線在住の小学生とその家族が集い、「観光」をテーマに、まちの魅力や未来について学ぶ「小田急子ども観光学講座 in 海老名」が開催されました。
本記事では前編でイベント当日の様子をレポートし、後編では講師を務めた寺本潔先生、および「マチカドこども大学®」運営代表の樋笠尭士先生にお話を伺い、取り組みに込めた思いや狙いを掘り下げていきます。
マチカドこども大学®小田急子ども観光学講座 in 海老名 イベントレポート
小田急グループの小田急不動産株式会社と多摩大学が主催する「マチカドこども大学®」は、子どもたちが「知りたくなる」「なぜを問う」講座を通して、学校では得られない深い学びを体験できる場です。通常の講座は、小田急多摩線の栗平駅周辺を拠点に開催されています。
1月17日(土)には、特別講座として小田急電鉄株式会社と公益社団法人日本観光振興協会とが共催して「小田急子ども観光学講座 in 海老名」が実施されました。会場となったのは、同社海老名本社6階サテライトルームとロマンスカーミュージアムです。

この日参加したのは、約30人の小学3〜6 年生の子どもたち。講師を務めたのは、玉川大学名誉教授・名桜大学特任教授の寺本潔先生です。
多摩大学の学生のサポートを受けながら、子どもたちは箱根や江の島など小田急沿線の観光地の魅力をプレゼンテーションしたり、 旅行客を想定した企画を考えたり。さまざまな角度から観光業について学ぶプログラムが展開されました。

第1部は、小田急線が走る神奈川・東京の観光スポットを分類する「地図帳の観光読み」+「観光の花びらワーク」です。
まず最初に行われたのは、「地図帳の観光読み」です。子どもたちは、旅行プランを思い描きながら、移動・体験・食事・宿泊といった旅の各シーンを支える「観光の仕事」には、どんなものがあるかを考えました。

続いて行われた「観光の花びらワーク」では、小田急沿線にある観光資源をグループごとにピックアップ。自然・食べ物・歴史・伝統など、観光地の魅力はさまざまな要素によって成り立っていることを確認していきました。

第2部は、客層に応じた旅行のタイプを考える「ポジショニング・マップ」のワークです。高齢夫婦、新婚カップル、家族連れ、外国人旅行者など、具体的な観光客像を設定し、それぞれの好みを想像しながら、旅行スタイルをポジショニング・マップ上に整理していきます。
「どんな人に向けた旅行プランなのか」と具体的に属性を考えることで、同じ観光地でも見せ方や価値が変わることを学ぶ時間となりました。

第3部は、旅行客のニーズに応じたプランを練る「顔はめボード」のワークです。まず、第1部と第2部でのワークを踏まえ、小田急沿線の観光パンフレットなどを読み取りながら、旅行者のニーズ・ウォンツ・ディマンドを整理し、沿線で求められる企画を検討しました。提案内容の題材として、箱根湯本温泉、ロマンスカー、小田原城、神奈川県名産の「湘南ゴールド」など、7つの題材から各グループ2つを選択。選んだ題材の魅力を最大限に体験できる旅行企画を考え、顔はめボードを着けて各グループが発表しました。
ユニークな発表スタイルも相まって、会場は終始和やかな雰囲気に包まれ、子どもたちは楽しみながら「観光を企画する視点」を身につけました。

最後は、ロマンスカーミュージアムへ場所を移して吉久治朗館長からロマンスカーの歴史に
ついて説明を受けた後、ロマンスカーがつないできた“沿線の旅”を中心に見学しました。移動手段としてだけでなく、旅そのものの価値を高めてきたロマンスカーの歴史は、子どもたちにとって「観光と交通の関係」を考えるきっかけとなったようです。
観光を「楽しむ」から「つくる」へ。子どもたちの視点の変化
講座を通して印象的だったのは、子どもたちの視点の変化です。当初は「観光地=遊びに行く場所」と捉えていた子どもたちが、ワークを重ねるうちに「誰が、どんな仕事で支えているのか」「どんな人に来てもらいたいのか」といった切り口で、観光地を考えるようになっていきました。観光を“利用する側”から、“つくる側”として捉え直す姿が見られ、この講座が、子どもたちにとって地域や観光の見え方を変える確かな一歩となったようです。
地方創生の担い手は、社会人になってから育つのではなく、地域で育つ子どもたちの中から生まれる。その可能性を感じさせる一日となりました。
【後編】では、講師や運営メンバーへのインタビューを通して、本講座に込められた狙いや、観光教育が地域にもたらす可能性を掘り下げていきます。
■小田急の子育て応援情報サイト「FunFanおだきゅう」
■マチカドこども大学®の情報
https://www.machikado-uni.com/
※入学申し込みは随時受け付けています。
■ロマンスカーミュージアムの情報
公式ホームページ:https://www.odakyu.jp/romancecarmuseum/
公式Instagram:@romancecar_museum




