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もの・こと  |    2026.06.24

SusHi Tech Tokyo 2026現地レポート|東京で見た「少し先の未来」の話

東京ビッグサイトの湾岸エリアに、少しだけ未来が広がっていました。

SusHi Tech Tokyo 2026(スシテックトーキョー)は、2026年4月27日から29日まで開催された、スタートアップや企業、自治体、投資家が集まり、テクノロジーを通じて都市のこれからを描くイベントです。国内外から多くの来場者が訪れ、会場は終日熱気に包まれていました。

会場を歩きながら感じたのは、「未来はすでに始まっているのかもしれない」ということでした。
それは遠い話ではなく、気づけばすぐ隣にあるような現実に近いこれからです。

そして同時に、ひとつの問いが浮かびます。テクノロジーは、本当に人を幸せにするのでしょうか。本記事では、現地で見た展示やスタートアップの取り組みを通して、少し先の未来と人の感情との関係をレポートします。

SusHi Tech Tokyoとは?

SusHi Tech Tokyoは、今回で4回目の開催となる、東京都が主導する国際的なスタートアップイベントで、その規模と国際性は年々拡大しています。

SusHi Techは『Sustainable High City Tech』の略称。テクノロジーの力を活用し、持続可能な都市の実現を目指す取り組みとして開催されました。

会場には、AIやロボティクス、環境技術など幅広い分野のスタートアップや企業、大学、研究者が集まり、展示やセッション、ピッチイベントを通じて「未来の都市のあり方」が議論されています。特徴的なのは、単なる技術紹介にとどまらず、社会実装を前提としたプロジェクトが多い点です。

都市が抱える課題に対して、テクノロジーでどのように向き合うのか。そして、それは私たちの暮らしをどう変えていくのか。SusHi Tech Tokyoは、そうした問いに対して、現実的なかたちでヒントを提示する場でもあります。

開催規模から見る広がり

SusHi Tech Tokyo 2026は、アジア最大級のグローバルイノベーションカンファレンスとして、その存在感をさらに高めていました。2026年の開催では、出展スタートアップは750社にのぼり、商談件数は10,000件規模、参加者数は約60,000人と、いずれも前回を上回る規模となりました。

セッション数は151に達し、主催セッションでは登壇者の約半数を女性が占めるなど、多様性への配慮も見られます。また、ピッチコンテストには世界60の国と地域から820社が応募。コーポレートパートナーは62社、シティパートナーは25にのぼり、国際的な広がりも印象的でした。

さらに全国47の自治体が参画し、国内のスタートアップエコシステムも発信されています。こうした数字から見えてくるのは、単なる展示会ではなく、多様なプレイヤーが交わる都市型エコシステムとしての広がりです。規模の拡大はそのまま関心の高まりであり、未来都市への期待の大きさを示しているとも言えるでしょう。

体験して見えてきた「未来の手触り」

トークセッションで大きな役割を果たしていたのがAI翻訳です。今回は、Event Cat by XL8、Kotoba Technologies、VoicePing株式会社の3社が、AI通訳・翻訳サービスを提供していました。

登壇者の言葉がリアルタイムで翻訳され、スクリーンやデバイスを通じて共有されていきます。言語の違いを意識することなく、会場全体がひとつの会話に参加しているような感覚がありました。これまで国際的なイベントで感じられた言語の壁が、静かに薄れていくようでした。

また、展示エリアでは、モビリティやロボティクス、都市データを活用したサービスなど、さまざまな技術を実際に体験できる場が用意されていました。操作してみる、動きを見る、空間の変化を感じる。

そうした体験を通じて見えてくるのは、「未来がどうなるか」ではなく、「その中で自分がどう過ごすのか」という具体的なイメージです。

印象的だったのは、どの体験も驚きだけで終わらないことでした。むしろ、「これが日常になったらどうなるだろう」と、自然に想像が広がっていきます。未来は、特別なものとして存在するのではなく、気づかないうちに日常へと溶け込んでいくのかもしれません。

その入り口に、私たちは立っている。そんな実感がありました。

体験型展示が教えてくれたこと

会場に並ぶ体験型の展示は、単に技術を紹介するためのものではありませんでした。実際に触れ、動きを見て、空間の変化を感じることで、「未来の都市で自分がどう過ごすのか」を具体的に想像させるものばかりです。

モビリティの進化によって移動がスムーズになること、ロボティクスが日常の一部として自然に存在すること、都市データが活用され、生活がより快適に最適化されていくこと。それぞれの体験は小さな変化に見えますが、積み重なれば、暮らしの質そのものを大きく変えていく可能性を感じさせます。

印象的だったのは、どの展示もすごさを強調するのではなく、当たり前の未来として提示されていた点でした。特別な技術としてではなく、気づけば日常に溶け込んでいるものとしてのテクノロジー。そのあり方は、未来を遠ざけるのではなく、現実の延長線上に引き寄せているように感じられます。

そして同時に、ひとつの問いも浮かび上がってきます。こうした変化は、私たちにとって本当に心地よいものになるのでしょうか。テクノロジーが当たり前になるほどに、その意味をあらためて考える必要があるのかもしれません。

国内外の有識者が語る「未来都市の現在地」

会場では、国内外の研究者や企業関係者、投資家などによるトークセッションも数多く行われていました。そこで語られていたのは、単なる技術の進化ではなく、「都市をどう設計していくのか」という、より本質的な問いです。

印象的だったのは、テクノロジーを目的としてではなく、あくまで手段として捉える視点でした。どれだけ高度な技術であっても、それが人の暮らしにどのような価値をもたらすのか。その問いを抜きにしては、都市の未来は語れないといった共通認識がセッション全体を通じて感じられました。

一方で、議論のなかでは課題も指摘されていました。

技術の進化が加速する一方で、それを受け入れる社会の仕組みや制度、そして人の意識が追いついていない現実。利便性が高まるほどに、プライバシーや格差といった新たな問題も浮かび上がってきます。

未来都市は、単に便利で効率的なだけでは成立しません。そこに暮らす人々が安心し、納得し、心地よいと感じられること。そのバランスをどう取るのかが、これからの大きなテーマになっていくのでしょう。

さまざまな立場の有識者たちの言葉を通じて見えてきたのは、未来がすでに始まっているという事実と、そのあり方をいま選び取る必要があるという現実でした。

今回、数多くの議論の中で特に関心を引いたのは、AIの規制やガバナンスをテーマにしたセッションです。NECの森田隆之CEO、Anthropic日本法人の東條英俊CEO、MPower Partners Fundの関美和GPが登壇しました。

議論の中心となっていたのは、AIの活用が広がるなかで、企業がどのように信頼できるAIを提供していくべきかという問いです。技術の進化に伴い、利便性や効率性が向上する一方で透明性や説明責任、倫理的な配慮といった課題も浮かび上がっています。

こうした状況のなかで、企業には単にAIを開発・提供するだけでなく、社会からの信頼を前提とした責任ある運用が求められています。セッションでは、そのための具体的な取り組みや考え方が、多角的な視点から共有されていました。

AIが社会のインフラとなりつつある今、「何ができるか」だけでなく、「どう使うべきか」が問われている。そんな時代に入っていることを強く実感させられる内容でした。

テクノロジーは人を幸せにするのか

会場を歩きながら何度も頭に浮かんだのがこの問いでした。

テクノロジーは、確かに私たちの暮らしを便利にしています。移動はスムーズになり、情報にはすぐにアクセスできるようになりました。言語の壁も、少しずつ取り払われつつあります。

しかしその一方で、それがそのまま幸せにつながるのかと問われると、答えは簡単ではありません。

効率が上がることと、満たされること。

便利になることと、心地よくあること。

そのあいだには、まだ埋めきれていない距離があるようにも感じられます。ですが、SusHi Tech Tokyo 2026に出展・登壇した全員が、その距離を埋めようとしていました。

人の感情や体験に寄り添い、単なる機能ではなく、「どう感じるか」までを設計しようとする試み。そこには、テクノロジーが人を幸せにする可能性と同時にその難しさも見えてきます。

もしかすると、テクノロジーそのものが人を幸せにするのではなく、それをどう使い、どんな社会をつくるのかという選択の中にこそ、答えがあるのかもしれません。

未来はすでに始まっています。そしてその形は、まだ決まりきってはいません。だからこそ、私たちは問い続ける必要があります。

テクノロジーは、人を幸せにするのかということを。

SusHi Tech Tokyo 2026 開催概要

イベント名称:SusHi Tech Tokyo 2026(スシ・テック・トーキョー・ニーゼロニーロク)

開催日程:2026年4月27日(月)・28日(火):ビジネスデイ/2026年4月29日(水・祝):パブリックデイ

開催時間:ビジネスデイ:9:00〜18:30/パブリックデイ:10:00〜18:00

会場:東京ビッグサイト 西展示棟(西1〜4ホール ほか)/東京都江東区有明3-11-1

コンセプト・テーマ:Sustainable High City Tech(SusHi Tech)/持続可能な都市を最先端テクノロジーで実現する/スタートアップとのオープンイノベーションを世界へ発信

SusHi Tech Tokyo公式HP

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この記事を書いた人

ハラカズコ

東京都大田区出身・在住のメディアライター&アロマクリエイター。Mediallでは東京地区認定ライターとして、「文化・まち・人」をテーマに記事を執筆しています。

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