
鍼(はり)治療と聞くと、髪の毛ほどの細さの鍼を、ツボに数本刺す治療を思い描く方が多いのではないでしょうか。実際、これは一般的な鍼灸治療と言えます。しかし、これとは違って少し太めの鍼を何十本も刺して治療する、“ルート治療”という治療法もあるのです。
今回取材は沖縄県那覇市でルート治療を行っている「Pointはり・きゅう治療院」の金城夏希さんにお話を伺いました。どのようにしてルート治療と出会い、どんな思いで治療に取り組まれているのか。ルート治療には、身体をメンテナンスする以外の効果も期待できるようです。
自然とたどり着いた鍼灸師という仕事

金城さんは沖縄県内にあるスポーツ系の専門学校を卒業後、沖縄県外(以下、内地/ないち)のマッサージ会社に就職。マッサージや足つぼなどを行っていたそうです。
「当時、内地で働くのは2年までと考えていました。しかし、2年で終わりますと言ったとき、簡単にはやめることができず。次の就職先を見つけたら良いと言われたので、地元の整骨院に転職する形で沖縄へ戻りました。そのとき、翌年に鍼灸学校が沖縄に初めてできると聞いたんです。マッサージは、体力的に生涯続けることは難しいと思っていました。でも、鍼ならずっとできそうだし、自分にも刺せそうだな…と。それで、鍼灸師の資格を取得しました」
鍼灸師になった理由を聞くと、意外な答えが返ってきました。
「これという理由は…特にありません。学生時代にバスケットボールをやっていたので、今思えばストレッチやマッサージは好きだったかもしれないですね。トレーニングを教えるのも楽しそうだとは思うし、インストラクター資格の授業もありました。でも、なんとなくそれは違うと感じていて、どうせなら1対1で何かできたらというくらい。ですから、最初から鍼灸師を目指していたわけではなく、なんとなく流れで行きついた感じなんですよ」
鍼灸師という国家資格を取得するには、専門学校や大学で養成課程を修了する必要があります。資格を取るための勉強は、決して簡単ではなかったでしょう。理由はないという金城さんですが、鍼灸師という仕事に心が動かされる何かがあったのかもしれません。
自分の思い描く“治療”とルート治療が重なった

一般的な鍼治療とルート治療は、言葉を聞くとまったく異なるもののように思えます。しかし、実際には全然違うわけではないそうです。考え方や見方、捉え方の違いで、やってみると鍼を用いた治療であることは同じ。ただし、ルート治療自体は少しずつ変化していると言います。
「私はもともと、例えば肩こりでも全身を診るような治療を行っていました。ただ、それで良くなる人がいる一方、他に気になるところが残っている…ということも少なくありません。そんな中、2018~2019年頃にルート治療と出会いました。鍼を刺す場所を探す際、学校では『触るだけで状態が変わってしまうから触るな』と言われていましたが、ルート治療では触ります。また、ルート治療を必要とする人がたくさんいることも、驚きとして感じたことの一つです」
しかし、当時のルート治療に対して、金城さんはモヤモヤするものがあったようです。
「当時のルート治療は、今と比べると別物と言っていいほど違います。例えば、鍼はコリのある部分へピンポイントに刺していました。でも、私は全身を見たいんですよね。とはいえ、時間も針の数も限られている中では難しい。どうしても自分の中で取り込めず、1年半~2年は仕事としてルート治療ができずにいました」

金城さんがルート治療を行うようになったのは、それから1~2年後のこと。次第にルート治療そのものが変化し、自分の考えと重なるようになっていったのだと言います。
「例えば、ピンポイントに奥のコリを取るだけでなく、表面のコリも取るなど色んな手技や考え方が変わってきました。この変化と共に、ルート治療を自分のイメージしている治療と同じようにできるようになっていったのです。2021年5月から妊娠し、その妊娠期間中に自分も治療を受けていたのですが、出産後から本格的にルート治療をスタートしました」
心の中にあったモヤモヤがなくなり、金城さんにとっての治療とルート治療が重なった瞬間です。これ以来、金城さんはずっとルート治療を提供し続けています。
身体だけでなくストレスからも解放させる

ルート治療は、ただ身体のコリを良くするだけの治療ではありません。やや懐疑的に思われる方がいるかもしれませんが、治療によってストレスにもアプローチできると言います。
「ルート治療は受けるときはキツさがありますが、治療後の抜け方や変化が大きく見られます。副産物がとても凄いと感じていて、例えば肩こりで訪れた方が、治療後には別の部分でも変化が見られるということは少なくありません。ちょっとスピリチュアル的な内容にフォーカスする動画も多く、身体をよくするというより、そうした部分からアプローチできる治療として目立ってきたようです。いわゆる、“次元上昇”と呼ばれるようなものですね」
治療院を訪れる人は、さまざまな悩みを抱えています。運動していて身体が悪い人はもちろん、ストレス等で不調を抱えている人も。そのため、ただ身体だけメンテナンスしても、解決に至らないケースは多いようです。
「どうすれば、そうした不調を断ち切れるのか。これを、ルート治療は身体から導き出せると思っています。例えば仕事も家族も、自分の身体が悪くなるほどストレスを与えられているのに、そこで働いたり人間関係を維持したりする必要があるのか。治療を通じて、そうしたしがらみや固執を外せるんじゃないかと考えています。中には諦めていたり、悪い状態が普通だと思っていたりする人もいます。そうした方も、治療に来てくれれば伝えられるし、改善させられるはず。もっと、ルート治療を通じてできることがあると思っています」
心と体は切り離せるものではなく、互いに繋がり影響し合っています。日々の生活においても、そう感じる方はいることでしょう。そう考えれば、ルート治療が身体以外にもアプローチするというのも頷ける気がします。

ちなみに、私も以前にルート治療を受けさせて頂いたことがありますが、身体が軽くなり、頭がスッキリした感覚になったことを覚えています。一度治療を受けてみれば、自分なりのメリットを感じ取れるかもしれません。
多くの方にまずは受けてみて欲しい
沖縄には治療院が多いため、その中でどうやって選んで頂くかが課題とのこと。日々、試行錯誤しながら取り組まれています。本記事を通じて、初めてルート治療を知った方も多いでしょう。最後に、そんな方々に向けてメッセージを頂きました。

「受けてみれば絶対にもっと身体が良くなるし、生活やマインドの質も高まって楽に過ごせるはずだと自信を持っています。だからこそ、いかに“受けてもらう機会を増やすか”が現在の課題です。これからも、皆さんに『行きたい』と思ってもらえる院を目指します。身体はもちろん、ストレスや日々の生活など何か悩みを抱えている方がいらっしゃれば、ぜひ一度、ルート治療を受けてみてください」
Pointはり・きゅう治療院は、ゆいレールの県庁前駅や美栄橋駅から徒歩約7分。地元の方はもちろん、観光の際にも立ち寄りやすい立地です。症状や悩みをヒアリングしたうえで適した施術を行ってくれるので、ルート治療に興味を持たれた方は相談してみてください。



