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人  |    2026.03.18

「伊江島といえば、やっぱり落花生」地域と深く関わると決意した男性が起こす、落花生の復活!|沖縄県伊江村

沖縄の伊江島で愛され続ける伝統菓子『ピーナッツ糖』。煮詰めたザラメと黒糖に、香ばしく焙煎したピーナッツを絡めた、カリッとした食感が楽しめます。
手作りの素朴な味わいが人気ですが、原料の落花生を外国産に頼らざるを得ないことが長年の課題でした。産地でありながら「伊江島産100%」が叶わない状況に、立ち向かったのが2019年に地域おこし協力隊として着任した中村 慎吾さんです。

中村さんは落花生の生産拡大に奔走し、仕組み化を構築。その尽力に応える形で、ピーナッツ糖を製造している地元メーカー(伊江食品)の手により、希少な伊江島産落花生を100%使用した新商品『かちわりキャラメリゼ』が誕生しました。

島の産業を土台から支え、新たな名産品への道を切り拓いた中村さんに、落花生への想いとこれまでの歩みを伺いました。

落花生は、昔から伊江島の島民を支えてきた作物

島のシンボル「伊江島タッチュー」の前に広がる落花生の畑(写真提供:中村 慎吾さん)

ーー中村さんが伊江島に来る前は、落花生の生産はどのような状況だったのでしょうか?

中村さん:かつての伊江島は川がなく水資源に乏しい環境でした。そのため、落花生は小麦・さつまいもと並び、水をあまり必要としない作物として普及したんです。落花生は、昔から伊江島の食卓を支えてきた作物ですね。

しかし、菊や葉タバコ、島らっきょう、牛のように収益性の高い農作物が普及してきて、落花生を産業的に栽培する人は少なくなっていきました。

伊江村が落花生の復活に向けて動き出したきっかけ

ーー減少した落花生の生産拡大に向けて動き出した背景を教えてください。

中村さん:2017年1月に、NHKの「ためしてガッテン」という番組で、落花生が健康にいいということが取り上げられたらしいんです。それで伊江村役場に、昔から伊江島が落花生の産地だと知っている方々から、問い合わせが結構きたみたいで。

でも現実は生産者もほとんどいなくなってしまい、島から出てる落花生のお土産なんかも、ほとんどが外国産という状態でした。

ーーそれからどのように中村さんに繋がったのでしょうか?

中村さん:「やっぱり、伊江島の特産品としてこのまま廃れていくのをなんとかしたい。伊江島産落花生を使った商品を伊江島から発信していきたい」というお話を、前職の農業コンサル時代に伊江村から受けたのが始まりです。

それから2年間、前職の会社で落花生のマーケティング調査事業に関わらせてもらいました。
調査の結果、生産拡大するためには、農家さんから買い取って一次加工し、業者に販売する仕組みが必要だよねって話になりました。でも伊江島は人手不足だし、自分も当時の立場的に調査と提案するまでしかできないなと。

「地域と深く関わっていく」という決意

収穫直後の土が付いた落花生(写真提供:中村 慎吾さん)

ーーそこから、なぜ安定していた会社を辞めてまで、自ら移住して落花生の生産拡大に携わろうと決心したのですか?

中村さん:マーケティング調査で2年間島を訪れているなかで、島の人達の「伊江島と言ったら、やっぱり落花生だよね」という落花生への強い愛着を肌で感じました。

調査や提案をするだけなら外部の立場でもできます。でも、現場に入って動く人が出てきたら、もっと発展するのに……という思いがあって。
私自身、コンサルの仕事を10年続けてきて、もっと深く地域と関わる仕事をしたいという思いが芽生えてきたタイミングでもありました。

買い取りから卸売りまでの仕組み化で、生産拡大へ

伊江島タッチューを目の前に臨む加工場で、洗浄した落花生を乾燥している様子(写真提供:中村 慎吾さん)

ーー地域おこし協力隊として移住後、どのようなことに取り組んだのでしょうか?

中村さん:農家さんが収穫した落花生を買い取り、さやからもいで、洗って、乾燥させて、殻を割って豆だけ取り出して選別などを行う一次加工、そして卸売りを行うという仕組みを作りました。

ーーそのなかで、苦労された点はどこですか?

中村さん:一度や二度、落花生栽培にチャレンジしてくれたけど、離れちゃう農家さんもいて、スムーズに右肩上がりに定着しないっていうところですね。

村民に届けたかった“伊江島産”…島外からも「待ってました!」と届いた喜び

2023おきなわ島ふ~どグランプリ+で優秀賞を受賞した『かちわりキャラメリゼ』。伊江島産落花生と黒糖を100%使用している。

ーー伊江島で活動を続けてきて、一番嬉しかったことは何ですか?

中村さん:2023年のおきなわ島ふ~どグランプリ+(プラス)で、伊江島産落花生を100%使用した『かちわりキャラメリゼ』が優秀賞を受賞しました。しかしそれ以上に、一般投票で1位をいただいたことが何より嬉しかったですよね。

魅力的な伊江島の落花生を目指して

ーー今後の目標を教えてください。

中村さん:もっともっと伊江島の中で、落花生を使ったいろんな商品が増えていってほしい。島外の人とか県外の人から見て、「伊江島の落花生面白いな」と、魅力的に映るようにしていきたい。それが、一つの夢ですね。

※中村さんは、2024年6月まで地域おこし協力隊として活動。2024年7月から2026年3月まで、伊江村の会計年度任用職員として農林水産課に在籍し、活動を続けています。

【伊江島情報】

伊江村は、一島一村の農漁村。
東西8.4km、南北3km、周囲22.4kmの大きさ。
人口4,197人(2026年1月末現在)
沖縄本島北部の本部港からフェリーで30分。

▼伊江村の公式サイトはこちら
▼『かちわりキャラメリゼ』『ピーナッツ糖』を製造している伊江食品の公式サイトはこちら
▼中村 慎吾さんへのご連絡はこちら

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この記事を書いた人

まりん

沖縄生まれ沖縄育ち。 趣味は、ピアノ、ライブ参戦、美味しいものを食べること。 記事を通して、地元沖縄を応援していきます!

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