地元へのUターン
地元に帰ってきた時は、両親と食事をしたり、友人と会ったりしていた青木さん。そんな中で、ある思いが生まれてきたそうです。
「東京にいることに、こだわりすぎているのではと思ったんです。
自分は今、都会にいながら自然の多い場所を求めてる。だったらいっそのこと、地元に活動拠点を移したら何かが変わるんじゃないかと。
本当に住めるかはわからないけれど、まずは東京から離れよう、こっちに身を移そうと決めました」
『お試し移住』を決めた青木さんは、会社を退職し、地元豊田へ。そのタイミングで、新型コロナのパンデミックが訪れます。
「物理的に動けない中で、『ここに住むにはどうしたらいいか』を考えるようになったんです。アウトドアを使ったフィットネスは、どんな場所もフィールドにできる。実際に携わってきたので、豊田の山間部にも活用できると確信していました」

写真:青木さん提供
当時青木さんのお母さんも、地域で運動指導を行っていたそう。そんなお母さんからも影響を受けたと言います。
「母親の姿を見て、いろんな人が運動に触れるきっかけづくりができたらいいなと思ったんです。遊び感覚で運動すると満足度が高いことにも気づかせてもらいました」
運動を楽しむ人を、この場所から増やしたいという青木さんの思い。その背景には、お母さんの存在があったのかもしれません。
「楽しく遊びながら健康に」
地元を拠点に活動を始めた青木さんの後押しになったのは、山間部での創業支援をしてくれる「あいちの山里アントレワーク」でした。
あいちの山里アントレワーク
三河の山里エリアを拠点に、起業などで地域課題解決に取り組む人を支援するプログラム。
地域資源を活かしたビジネスを対象に専門家による助言や研修、地域とのマッチングなどを行い、地域活性化を後押しする。
参考:三河の山里サポートデスク | 三河山間地域の移住・起業・就業の第一歩をサポート
「アントレワークに採用されたことで、どうやって形にするかをすごく考えるようになりました。
その結果できたのが、野外フィットネス『SOTODE』です。初めてのイベントとして、ノルディックウォーキングで地域を巡る『塩の道ノルディックウォーキングツアー』を企画しました。足助と稲武、2カ所でお土産付きのツアーを開催しました」
専用ポールを両手に持って歩くノルディックウォーキングは、上半身の筋肉も使用する全身運動。通常のウォーキングに比べて消費カロリーが高いのも特徴だそうです。
参考:ノルディックウォーキングとは | 特定非営利活動法人 日本ノルディックウォーキング協会
「アントレワークの先輩や観光協会の方も力を貸してくれ、豊田以外に県外の人も参加してくれました。
『いい運動になりました』『地元の食べ物を知れて満足しました』など、参加者の方たちの反応も良かったです。運動しながら観光ができるのが、新鮮だったのだと思います」

写真:青木さん提供
現在も定期的に屋外でのフィットネスイベントを開催している青木さん。もうひとつ、活動のベースになっているのが豊田市白浜公園で行われているパークランです。
「東京を離れる時期に、パークランのことを知ったんです。当時日本には上陸したばかりで、各地域で始める準備をする知人たちもいました。その立ち上げを手伝う中で、『これは地元でも絶対にやりたい』と思うようになったんです」
パークランとは、誰でも参加できる5キロのウォーキング・ジョギング・ランニングイベントのこと。2004年イギリスではじまり、現在は世界各地で行われています。日本でも50カ所以上で行われ、気軽に参加できるフレンドリーな雰囲気で人気を集めています。
「立ち上げには街づくりコミュニティーを学ぶ、地元の大学の学生たちが協力してくれました。自分がやりたいと思っていたことが、仲間を得て、少しずつ形になっていくのが嬉しかったです。
普段関わることがない人達と交流できるようになったのも、大きな財産だと思います」
2020年11月の開始から、200回以上開催されている「白浜公園パークラン」。参加者の中には、まわりに刺激されてトレーニングを始めたり、マラソンに出るようになった人もいるそうです。

写真:青木さん提供
「みんながパークランを好きになってくれて、続けたいと思ってくれているから、ひとりでやっている感覚がないんです。
自分だけのパークランじゃないと思っていたけれど、それが確実に形になっていると思います」
穏やかな表情でそう話す青木さん。しかし、なぜ「運動しながら健康に」ではなく「遊びながら健康に」なのでしょうか?
「『運動』って、なんか義務に感じてしまうじゃないですか。僕にとっては幼いころから体を動かすこと自体が日常だし、特別に時間を作ってやるものでもなかった。
思った時に動いて、結果的に健康になってほしかったので『遊び』という言葉を使いました」
『楽しい』と『運動』は結びつかないけれど、『楽しい』と『遊び』は結びつく。「幼少期の外遊びが今の原点です」と青木さんは小さく笑います。

写真:青木さん提供
これからの展望
最後に、青木さんの今後の展望を聞かせてもらいました。
「今はまだ市街での活動が多いんですが、山間部を会場にしたイベントも増やしていきたいです。
今企画中なのが、運動とマルシェ、舞台発表を組み合わせたフェスティバル。できるだけ三河の山間部に住む人、活動する人に出店してもらいたいと思っています。
参加してくれる人たちが地域に興味を持つきっかけになれば、接点も増えるし仲間も増えていく。「つながり」をテーマにしたイベントが、人と地域を結びつける場になれば嬉しいですね」
運動を通して前向きな気持ちになってほしい。地域の良さを知り、人とのつながりを増やしてほしい。青木さんの思いは、豊田の自然の中で少しずつ広がっていきます。
青木さんの活動はこちらから
現在は地元藤岡観光協会でも活動している青木さん。個人のInstagramとあわせて、ぜひご覧ください。




