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もの・こと  |    2026.03.09

「畑のがっこう」門田ひろこさん│子どもにのこしたい未来をつくる【後編】

前編では、「畑のがっこう」がどんな場所で、どんな活動が行われているのかを紹介しました。

後編では、「なぜ、この活動を続けているのか」「何を未来に手渡したいのか」という根っこにある想いに焦点を当てていきます。

代表の門田ひろこさん(以下、門田さん)が何度も口にされていたのは、「子どもたち」という言葉。

土に触れること、つくる過程を知ること、そして大人が楽しそうに生きている姿を見せること。畑のがっこうは、農業体験の場であると同時に、“生き方そのもの”を伝える学びの場でもありました。

前編はこちら

松山「畑のがっこう」と味噌仕込みの一日│土と食から子どもの未来をつくる【前編】

食べることは生き方を選ぶこと│門田ひろこさんが畑で伝え続ける理由 

笑顔がステキな門田さん

「畑のがっこう」が大切にしているのは、農作業そのものの技術ではありません。門田さんが一貫して語るのは、「何を食べるかは、どんな未来を選ぶか」という、とてもシンプルで本質的な問いです。

門田さんは、飲食の現場に長く立ってきた経験から、ある違和感を抱いてきたといいます。「病気になるのには理由がある。でも、健康でいるためにも理由があると思うんです」。

飲食店を営む中で、体調を崩す人、元氣に働き続ける人、その違いを間近で見てきた門田さん。そこから自然と、「食べもの」「土」「農業」へと関心がつながっていきました。

「小さい頃から土が身近にあったので、やっぱり農業って大事よね、って」

子どもたちは土に触れると“無邪気”になる

とても楽しそうに農業をする門田さんが印象的です

畑や田んぼでの活動では、子どもたちの表情が大きく変わります。「無心になるというか、無邪気になるというか。土を触っていると、すごく自然な顔になるんですよね」。

畑のがっこうでは「うまくやること」や「正解」を求めません。泥だらけになり、失敗して、笑って、またやってみる。

その過程そのものが、子どもたちにとってかけがえのない体験になります。「農業者にとっては仕事だけど、子どもたちにとっては遊び。自然の一部なんです」と門田さんは言います。

キライだった野菜が食べられた理由とは

子どもたちの未来を変える取り組み

参加した親御さんから、よく聞く声があるそうです。「うちのコ、野菜嫌いだったのに食べたんです」。

門田さんは、その理由をこう語ります。「自分で育てて、自分で料理すると、食べられるようになるんです。そこに命の存在があるから」。

「作る」「待つ」「手をかける」というプロセスを知ることで、食べものは“ただの食品”ではなくなります。

買い物は投票──日常の選択が未来を形づくる

買い物1つでも未来は変えられると教わりました

買い物は投票なんです」。門田さんが何度も口にしていたこの言葉は、とても静かで、同時に強いメッセージを持っています。私たちは普段、価格や便利さで商品を選びがちですが、その選択の裏側では「誰を支えるのか」「どんな仕組みを残すのか」を無意識に決めています。

安さを優先すれば、作り手は価格競争にさらされ、農業を続けることが難しくなる。一方で、顔の見える生産者や地域の食材を選ぶことは、その土地の農業や暮らしを支える行為になります。

畑のがっこうが伝えているのは、正解を押しつけることではありません。「知ったうえで選ぶ」という姿勢です。今日の食卓で何を選ぶか。その積み重ねが、1年後、10年後の社会や環境をつくっていく。門田さんは、買い物という小さな行動の中に、未来への意思表示があることを、畑という場を通して伝え続けています。

楽しい大人がいるから、子どもは未来を信じられる

笑う門には福来たる

畑のがっこうで印象的なのは、子どもたち以上に、大人たちがよく笑っていることです。作業の前にお茶を飲み、近況を話し、失敗すら楽しむ。その空気感こそが、門田さんの大切にしているものです。

大人が元氣で楽しそうだと、子どもは“早く大人になりたい”と思える」。この言葉には、教育や子育ての本質が詰まっています。何かを教え込まなくても、大人の背中そのものがメッセージになる。

忙しさや不安を抱えながらも、土に触れ、仲間と笑い、自然の中で過ごす時間。そんな姿を見て育つ子どもたちは、「大人になること=しんどいもの」ではなく、「面白そうなもの」として未来を描けるようになります。畑のがっこうは、子どものための場所であると同時に、大人が自分自身を取り戻す場所でもあるのです。

畑のがっこうが育てている、子どもたちの未来

親御さんからの信頼も厚い門田さん

畑のがっこうで育てているのは、野菜やお米だけではありません。子どもたちの中に育っているのは、「つながりを感じる力」と「選ぶ力」です。

土に触れ、種をまき、時間をかけて育てる。その過程を知ることで、食べものは単なる商品ではなく、「命のつながり」として立ち上がってきます。野菜嫌いだった子が、自分で育てた野菜を食べられるようになるのも、その実感があるからです。

また、畑は失敗が許される場所でもあります。思い通りにいかない天候、草だらけの畝。それでも続ける中で、考え、工夫し、自分なりの答えを見つけていく。

畑のがっこうが子どもたちに手渡しているのは、「こうしなさい」という答えではなく、「どう選ぶか」という力。その力こそが、これからの不確かな時代を生き抜く土台になるのだと感じました。

取材後記|「畑のがっこう」は、参加することで完成する場所

食・農業を通してよりよい社会の実現

「畑のがっこう」で育てているのは、野菜やお米だけではありません。門田さんが大切にしているのは、自分で選び、考え、手を動かす力、そして食べたものが体と心をつくっているという実感です。

「土に触れ、作物を育て、味噌を仕込み、みんなで笑う」やっていること自体は、とてもシンプルです。

一連の体験を通して、子どもたちは自然と「命」や「つながり」を感じていきます。そして何より印象的なのは、大人たちが本気で楽しんでいること。その姿が、「早く大人になりたい」と思える未来を、そっと描いてくれていました。

ここでは、正解を出す必要も、立派な意見を言う必要もありません。できる人が、できるときに、できることをする。その空気があるからこそ、初めての人も、子どもも、自然と輪の中に入っていけます。

畑のがっこうは、いつでも「どうぞ」と扉を開けて待っています。

施設・活動情報

今後の活躍にもますます注目が集まります
  • 畑のがっこう(松山市)
  • 活動:自然栽培の田畑づくり、味噌仕込み、親子体験イベントなど
  • 対象:子ども〜大人まで、どなたでも参加可能
  • Web/SNS:公式サイトInstagramにて情報を発信

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この記事を書いた人

世界のわたなべけん

地域に眠る人・場所・想いを取材し、 文章✕映像✕出版✕AIで編集、 世界に向けて発信しています。 神社仏閣、地域活動、仕事など、 現場に足を運び、空気感を伝えることを大切にしています。 地域の価値を最大化し、世界に届けるのがテーマです。

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