神社の境内の中で開かれるマーケットに、ワクワクすることはありませんか?実は神戸には、月に1回、湊川神社の境内で開催されている手作り市があります。
それが、2008年から続く「楠公さんの手作り市」です。こもれびの手作り市とも呼ばれ「なんこうさん」の愛称で親しまれている湊川神社の境内に、野菜やパンなどの食品をはじめ、アクセサリー、陶器、洋服、雑貨など、さまざまな手作り品を扱うお店が並びます。清々しい境内で、作家さんとの交流を楽しみながら買い物ができるのも、この手作り市の魅力です。今回は、実際に「こもれびの手作り市」を訪れ、私が出会った二つのお店をご紹介します。

いろんな手作り品が並ぶ「手作り市」
湊川神社の境内を歩いていると、さまざまなお店が目に入ってきます。
アクセサリーを扱うお店や、播州織の着物をリメイクした洋服を販売するお店、木を使った飾りを並べるお店など、扱っているものもさまざま。会場には、40~60店舗ほどのお店が並ぶそうです。
一つひとつ眺めながら歩いていると、「こんなものも手作りなんだ」と新しい発見があります。
その中でも今回、私が特に目を引かれたのが、器を扱うお店と珈琲屋さんでした。
まずは、器のお店へ立ち寄ってみることにしました。

「どれにしよう?」迷いながら選んだ、私のおちょこ
今回、立ち寄らせていただいたお店の名前は「暮らしの器 陶工房 泉」さんです。器が並ぶテーブルを眺めていると、たくさんの器の中から私の目に留まったのがおちょこでした。

実は、この日はおちょこが欲しくて、いろいろと見ていたのです。
白、黒、灰色。平らなものにするか、深さのあるものにするか。大きさはどれくらいがいいのか。
眺めれば眺めるほど、迷ってしまいます。
そんな私に、奥様が「ゆっくり見てもらっていいですよ」と声をかけてくださいました。お言葉に甘えて、さらにじっくりと器を眺めます。まずは深みのあるものを選び、そこから大きさを考え、今度は白にするか黒にするか……。
気が付けば、5分ほど悩んでいました。
すると奥様が、「触ってもらって、手に持ってもらっていいですよ(笑)。馴染むものがあるはずですから」と笑顔で声をかけてくださいました。
そこで、気になった黒いおちょこを手に取ってみます。
「うーん、なんか違う」
もう一つの黒いおちょこも手に取ってみます。
「これも、なんか違う……」
そして最後に手に取ったのが、最初に目を引かれていた白いおちょこでした。
手に持ってみると、不思議としっくりきます。
結局、私が選んだのは、一番最初に目に留まったおちょこ。あれだけ悩んだのに、最後は最初に気になった器に戻ってきたことが、なんだか面白くて笑ってしまいました。

神戸の工房で焼かれる唐津焼。「器は呼ばれますから」
お話を伺っていると、ご主人も出てきてくださいました。
こちらの器は神戸市西区・西神中央にある工房で焼かれている唐津焼とのこと。店舗を構えているわけではなく、このようなマーケットなどに出店して販売されているそうです。
粘土や釉薬は、佐賀県有田町の産地から取り寄せ、神戸市西区・西神中央の工房で焼き上げています。店頭には、シンプルで料理が映える白い器のほか、奔放で力強い絵唐津や朝鮮唐津など、普段使いとして楽しめる器が並んでいました。
いただいた説明書には、こんな言葉も。
「作り手八分、使い手二分」
器は、作り手によって形や色がつくられます。
けれど、どんな料理を盛るのか、花器ならどんな花を飾るのか。実際に使う人によって、器はまた違った表情を見せてくれるそうです。
「この器たちは未だ完成しておりません」
そんな考え方でつくられている器だからこそ、手に取ったときの感覚や、実際に暮らしの中で使ったときの楽しさがあるのかもしれません。
そして、ご主人からこんな素敵なお話を聞きました。
「どの子にするか迷ったら、1番最初に目についた子を手に取ってみてください。呼ばれますから」
その言葉を聞いて、思わず笑ってしまいました。
「まさしく、今日私が実感しました。こういうことなんですね(笑)」
私がそうお話しすると、ご主人も素敵な笑顔で答えてくださいました。
あれだけ迷ったのに、最後に選んだのは一番最初に目に留まった白いおちょこ。
「呼ばれる」という言葉を、身をもって実感した出来事でした。
可愛い和柄に惹かれて。自家焙煎珈琲豆専門店「豆之助」
器を選んだあと、再び境内を歩いていると、今度は可愛らしいパッケージの商品が並んでいるお店が目に入りました。
自家焙煎珈琲豆専門店「coffee beans 豆之助」さんです。
店頭には、さまざまな和柄が描かれたドリップバッグがずらり。

どの柄も可愛らしく、「こんなのをもらったら嬉しいな」と思うようなデザインばかりです。
「贈って楽しい、もらって嬉しい」をコンセプトに、和風パッケージにこだわったドリップバッグを販売されているそうです。そんな商品を眺めていると、店長さんが冷たいコーヒーを「よかったら飲んでください」と渡してくださいました。
暑い日の境内でいただく冷たいコーヒーは、とても美味しい!すっきりとした味わいで、思わず「美味しい」と声が出てしまいました。ドリップバッグを購入しようかと迷っていたのですが、ここで私の気持ちが少し変わります。
「さっきいただいたアイスコーヒー、美味しかったな。家でも飲みたい」
そこで店長さんに尋ねてみると、「水出しコーヒーはこちらです」と教えてくださいました。
夜に仕込んで、朝には完成。子育て中にも嬉しい水出しコーヒー
今回、私が特に惹かれたのが、この水出しコーヒーでした。

作り方はとても簡単。夜のうちに水に浸しておけば、朝には水出しコーヒーができあがります。
実際に家で作ってみると、その手軽さがとても嬉しく感じました。朝は何かと慌ただしい子育て中でも、前日の夜に準備しておくだけ。
「朝、コーヒーを淹れる時間がない」という日でも、冷蔵庫から取り出してすぐに飲めるのは助かります。
そして、味も私好みでした。酸味はあまり感じず、まろやかですっきりとした味わい。暑い日にごくごく飲みたくなるような、爽やかな美味しさです。家族にも好評で、みんなで楽しむことができました。
ちなみに「豆之助」さんでは、コーヒー豆やドリップバッグのほか、月のリズムに合わせて焙煎した「開運コーヒー」や、マヤ暦に関する講座・セッションなども行われています。
コーヒーをきっかけに、自分自身を大切にする時間を提案されているお店です。
手作り市で出会った、人ともの
今回、「こもれびの手作り市」を歩いてみて感じたのは、商品そのものだけではなく、作り手や販売する方との会話も楽しめることでした。
そして、器のお店でも「豆之助」さんでも、帰り際に「来月もここで出すので、また来てくださいね」と声をかけていただきました。
一度きりのお買い物ではなく、「また来月も会える」という楽しみが生まれたことが、なんだか嬉しく感じました。
「ゆっくり見てもらっていいですよ」と声をかけてくださった奥様。
「器は呼ばれますから」と教えてくださったご主人。
そして、暑い日に冷たいコーヒーをすすめてくださり優しくお話をしてくださった「豆之助」さんの店主さん。
マーケットを歩いているだけでは分からなかった、それぞれのものに込められた思いや、作り手の人柄に触れることができました。
その日に出会った器は、これから家でお酒を楽しむ時間に。
そして水出しコーヒーは、忙しい朝の一杯に。
手作り市で出会った人やものが、これからの暮らしにつながっていく。
そんな楽しさを感じた一日でした。
毎月1日、湊川神社の境内で開催されている「こもれびの手作り市」。
神社への参拝とあわせて境内をゆっくり歩きながら、その日だからこそ出会えるお気に入りを探してみてはいかがでしょうか。
開催場所
湊川神社(楠公さん)
開催日時
毎月1日 10:00~16:00
※1月を除く
公式WEB・SNS
楠公さんの手作り市
※開催日時や出店店舗などは変更となる場合があります。
おでかけ前に、必ず公式WEB・SNSで最新情報をご確認ください。
今回訪れたお店
- 暮らしの器(陶工房 泉)
- coffee beans 豆之助
coffee beans 豆之助さん 公式Instagram


