松山市三番町にある「BUENO(ブエノ)」は、2025年11月にオープンしました。
同店を切り盛りするのは、東京で長年料理人として経験を積んできた店主。これまで培ってきたフランス料理の技術を活かしながら、自分らしい料理と空間を届けています。
今回は店主に、料理人としての歩みや、なぜ松山で店を始めたのか、「BUENO」という店名に込めた意味、そしてこれから目指すお店の姿についてお話を伺いました。
こだわりのハンバーグの実食レポも紹介します。
東京で積み重ねた料理人としての経験

店主が料理の世界に入ったのは、最初からフランス料理だったわけではありません。
最初はイタリアンレストランで約3年間経験を積み、その後、フランス料理の世界へ。東京で長年修業を重ね、料理人としての技術を磨いてきました。

その後松山に戻り、髙島屋内の店舗では料理長も経験。料理を作ることを仕事にしながらも、「いつかは自分のお店を持ってみたい」という思いを持ち続けていたそうです。
転機となったのは、現在の店舗との出会いでした。
髙島屋を退職した後、レンタルレストランや出張料理などを経験しながら物件を探していたところ、現在の店舗のテナント募集を発見。「ここでやってみよう」と、2025年11月にBUENOをオープンしました。
「フランス料理」に限定しない、自分の料理

BUENOの特徴は、フランス料理店という枠に収まらないこと。
店主は、これまで学んできたフランス料理の技法をそのまま再現するのではなく、「今まで勉強してきたことを少しずつ崩して、面白い料理にできたら」と考えています。

たとえばカレーを作るときも、フランス料理で培った考え方や技法を取り入れ、「こうしたらもっとおいしくなるのでは」と試行錯誤。
ハンバーグについても、フランス料理には「カイエット」と呼ばれる料理があり、世界にはトルコの「キョフテ」など、似た料理が存在します。

ジャンルの名前に料理を合わせるのではなく、これまでの経験を生かして、自分がおいしいと思う形へ。
「フランス料理ではなく、自分の料理」という言葉からも、店主の料理に対する姿勢が伝わってきます。
ワンオペだからこそ生まれる難しさと楽しさ

現在のBUENOは、基本的に店主一人で営業するスタイル。
仕込みから調理、提供までを一人で担うからこそ、「自分が作ったものを最後まで責任を持ってお客さんに届けられる」という面白さがあります。
一方で、こだわりを増やしすぎれば、営業そのものが立ち行かなくなってしまう難しさも。

「もっとこうしたい」と思う気持ちはあっても、一人で無理なく提供できること、そして料理のクオリティーを保てること。そのバランスを考えながら、日々メニューを組み立てています。
カウンター中心の小さな店だからこそ、お客さんとの距離が近いのも特徴です。
これまで厨房と客席が離れている環境で働くことが多かった店主にとって、目の前のお客さんと会話できることは新鮮な経験。「いつもの人だな」と思える常連さんが少しずつ増えていくことに、喜びを感じているそうです。
店名「BUENO」に込めた意味

「BUENO」はフランス語ではなく、スペイン語。
知り合いのスペイン人に名付けてもらったそうで、「素晴らしい」「良い」「おいしい」など、さまざまな肯定的な意味を持つ言葉だったことから、この名前に決めました。

ジャンルにも縛られない店だからこそ、言葉の響きと意味が気に入ったという店主。
店内には自身が描いた大きな絵も飾られています。
両手を合わせたモチーフには、料理人として大切にしている「いただきます」「ごちそうさま」といった感謝の気持ちも込められているそうです。
人気のハンバーグを実食!

運ばれてきたハンバーグを見て、まず目に入ったのがその大きさ。
なんと約180gあるそうで、しっかり食べたい人にも満足感のあるサイズです。
トマトソースの上にハンバーグが盛り付けられ、チーズや野菜なども添えられた一皿は、見た目からしてかなり豪華。
さらに、BUENOでは料理だけでなく、パンまで自家製。ハンバーグのランチには、店主が焼き上げる自家製ブリオッシュも付いてきます。

ハンバーグといえば、ナイフを入れた瞬間に肉汁があふれ出す光景を思い浮かべる人も多いはず。
ところが、BUENOのハンバーグは少し違います。

ある材料を加えることで、肉汁を中に留めているため、割ったときに肉汁が大量に流れ出ません。
店主によると、肉汁が外へ流れ出てしまうと、それだけ肉の旨みも逃げてしまうのだとか。
実際に食べてみると、ハンバーグはふわっとした食感。

口に入れた瞬間に肉の旨みが広がり、ジューシーさを感じながらも、肉汁が皿に流れ出してしまう感じはありません。
「肉汁が出る=おいしい」というイメージを、少し覆してくれるハンバーグです。

料理に添えられている野菜も、店主が大切にしている部分。
基本的には愛媛県産の野菜を中心に、季節のものを市場などで選んで仕入れています。
実際にいただいた野菜は、ソテーや揚げものなど、それぞれ異なる調理法で仕上げられていました。

そして、個人的にかなり気になったのが自家製ブリオッシュ。
バターや卵に加え、かぼちゃのピューレ、自家製の天然酵母を使用しています。
しかも、その酵母はヨーグルトから作っているというから驚きです。
今回いただいたものは、ふんわり、もちもちとした食感で、パン好きなら思わず気になってしまう一品でした。

付け合わせのポテトも、実は人気メニュー。
フランス産のポテトを使用し、塩とガーリックパウダーで仕上げています。
カットの仕方によって、カリッとした部分と、もちっとした部分の両方を楽しめるのも特徴。
まずは、この一店舗をしっかり育てる

将来的には、20席ほどの店舗でソムリエを迎え、料理とワインをゆっくり楽しめるようなお店にしたいという店主。
ただ、そのためにも「まずは今の一店舗を何とかしないと」と話します。
まだまだ試行錯誤の真っただ中。それでも、料理人として積み重ねてきた経験を自由な発想で形にしながら、一人ひとりのお客さんに料理を届けています。
フレンチの技術を土台に、カレーやハンバーグ、旬の野菜を使った料理まで。ジャンルではなく「おいしい」を軸に広がっていくBUENOの料理。
これからどんな一皿が生まれていくのか、今後も楽しみなお店です。
基本情報
住所:〒790-0003 愛媛県松山市三番町3丁目5−7
営業時間:11:30から15:00、17:30から22:00
定休日:不定休
SNS:Instagram
※本記事は2026年9月訪問時の内容です。最新情報は公式Instagram等でご確認ください。



