愛媛県松山市で長年親しまれている、お好み焼き店「じゃんけんぽん 藤原店」。
関西風や広島風のお好み焼きを味わえるほか、手作りのソースも人気のお店です。
今回は女将さんに、35年間にわたるお店の歩みや、お好み焼きへのこだわり、お客さんとの思い出についてお話を伺いました。
最初の10年間は喫茶店、そこからお好み焼き店へ

「じゃんけんぽん 藤原店」の歴史を伺って、まず驚いたのがその長さです。
女将さんは、なんと45年間この場所で商売を続けています。
最初の10年間は、喫茶店「ルーブル」を経営。その後、お好み焼き店へと業態を変え、現在まで35年間、お好み焼きを提供してきました。

お好み焼きという料理を選んだ理由については、「ソースが全体を締めてくれるからね」と女将さん。
焼き飯や焼きそばなど、ソースを使うメニューも多く、現在のお店につながる味が少しずつ形づくられていったそうです。
30年ぶりに訪れるお客さんも

35年間お好み焼きを焼き続けてきた女将さん。
長く続けてきたからこそ、印象に残っているのは、昔から通ってくれるお客さんとの再会だといいます。
「30年ぶりに来た人とか、子どもさん連れてきたり、結婚したりする人が多いやん」
かつて子どもだったお客さんが、今度は自分の子どもを連れて訪れる。そんな光景を何度も見てきたそうです。

お客さんから愛されている理由を尋ねると、女将さんは謙虚にこう答えてくれました。
「私についたわけじゃなくて、味やね」その言葉からも、女将さんの仕事に対する姿勢が伝わってきました。
「人は財産」長く働くスタッフとともに

長く続くお店を支えているのは、女将さんだけではありません。
「30年とか20年とかいっぱい古い人がおるけん、私もやってこられたんよ」
長年働いているスタッフが多く、30年以上勤めている人もいるそうです。
「私一人の力ではないんよ。お店の人の力があるんよ」
そして、印象的だったのが「人は財産なり」という言葉。今までのことを振り返りながら、スタッフへの感謝を何度も口にしていました。
35年焼き続けてたどり着いた、お好み焼きの技

お好み焼きについても、こだわりを聞かせてもらいました。特徴の一つが、キャベツを機械ではなく包丁で一つひとつ手切りしていること。
「少しは違わんと、他所と違わんと生き残れんよね」
そして、35年焼き続けてきた女将さんが「一人前」と考えるのは、鉄板の温度がわかるようになったときだそうです。
「鉄板の前に立つじゃん。自分でその鉄板の温度がわかるようになった時やな」
焼き上がりを見極めるのも、返すタイミングを判断するのも、長年の経験から身についた勘。
「ひっくり返してって生地が言う」
そんな表現をするほど、鉄板の状態を感覚で読み取っているのです。
豚肉・いか・えびが入った「グー焼」を実食

今回いただいたのは、関西風お好み焼きの「グー焼」。具材は豚肉・いか・えびです。
名前からして気になる一品ですが、焼き上がっていく様子を目の前で見ていると、食欲がどんどん刺激されます。
鉄板の上から立ち上る香ばしい香り。焼き上がったグー焼を、いよいよいただきます。まず一口。
……うまい。
特に印象的だったのが、生地のふわっとした食感です。

口に入れるとやわらかく、具材の存在感もしっかり感じられます。豚肉の旨味に、いかとえびの風味。
3種類の具材が入っているので、一口ごとに違った味わいを楽しめます。そして何より、生地そのものがおいしい。
「なんでこんなふわふわなんですか?」と聞いてみても、そこは「マル秘」。長年試行錯誤してきた味のため、簡単には教えられないようです。
実際に食べてみると、「具材がたくさん入っているからおいしい」というだけではなく、生地と具材、そしてソースが一体になっているのが印象的でした。
決め手はやっぱり特製ソース

「じゃんけんぽん 藤原店」を語る上で欠かせないのが、女将さんたちが手作りしているソースです。市販のソースをそのまま使うのではなく、独自にブレンドして作っているそう。
女将さんによれば、現在のソースは試行錯誤して作り上げたもの。その味は長年変わっていないといいます。
お好み焼きのおいしさの理由を尋ねたとき、女将さんが真っ先に挙げたのもソースでした。実際にグー焼を食べてみると、濃厚なソースが生地や具材とよく合います。
そして、もう一つ気になるのが「激辛ソース」です。
激辛ソースを少しだけプラスしてみると……

テーブルに置かれていた特製の激辛ソース。
女将さんによると、辛いものが好きな人にはかなり人気で、なんと1本近く使って帰るお客さんもいるそうです。
「汗が出るよ」と念を押されながら、少しだけグー焼にかけてみました。
最初はそれほどでもないのですが、後から辛さが追いかけてきます。ただ辛いだけではありません。ソースそのものに旨味があるので、お好み焼きとの相性も抜群。
これは確かにクセになりそうです。辛いものが苦手な方は、まず少量から試すのがおすすめです。
「おばちゃんに会いに来て」

これからのお店について尋ねると、女将さんは「有終の美を飾ります」と笑います。
何年続けられるかは体調次第。それでも、長年働いてくれているスタッフへの責任もあり、簡単に辞めるわけにはいかないと話してくれました。
お好み焼きの味を楽しむために訪れるのもいいでしょう。
でも「じゃんけんぽん 藤原店」の魅力は、鉄板の上のお好み焼きだけではありません。地域のお客さんと向き合い、スタッフとともに店を守り続けてきた女将さんがいる魅力的なお店です。
松山で長く愛されてきた味と、気さくな女将さんとの会話を楽しみに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
店舗情報
お好み焼き じゃんけんぽん 藤原店
住所:愛媛県松山市藤原町617
電話:089-932-3733
営業時間:11:00~15:00、17:00~21:00
定休日:日曜
※本記事の内容は2026年9月取材時点のものです。最新の情報は店舗へご確認ください。



