愛知県知多市にある有限会社高橋建設は、施主とその家族にとっての「思い出になる家づくり」をモットーに、地域で信頼を集める街の工務店。網戸1枚の交換から築90年以上の歴史ある古民家の再生まで、地元の願いをカタチにする住まいのパートナーです。
そんな高橋建設を今年継いだばかりという高橋啓人(たかはしひろと)さんに、知多市への想いや事業へのこだわりを伺いました。
想いを汲み取る家づくりに惹かれ地元にUターン
知多市は愛知県南西部の知多半島に位置し、名古屋から最も近い海浜と言われる「ブルーサンビーチ」があることでも有名です。
「知多は都会過ぎなくて、ほどよく近隣の方々との交流も残っています。安心して暮らせる住みやすい街ですよ」
そう語るのは高橋建設の2代目、代表取締役社長・高橋啓人さん。知多市生まれ知多市育ちの、生粋の地元人です。

高橋さんは京都の建築系の専門学校を卒業後、大阪のゼネコンに勤務。ビルやマンションなど大規模な建築に関わることを希望していたこともあり、当時は家業を継ぐことは考えていなかったそう。そんな高橋さんの人生の転機となったのが、とある社員寮のフルリノベーションでした。
「施主様と直接やりとりしながら、細かな注文やこだわりをカタチにするプロセスがとても面白くて。こういう仕事が好きだなあと思って、家業を継ぐことに思い至りました」

決まった規格にあてはめるのではなく、住む人の想いを極限まで引き出す。オーダーメイドな住まいづくりの魅力に気付いた高橋さんは、知多市にUターンする形で高橋建設に入社しました。
先代の家の柱が扉に
家族の思い出を残すオンリーワンの施工術
高橋建設は、家族の歴史や思い出を、次の家に残すことを大切にしています。
たとえば、多くの場合、建て替えの際に旧居は全面的に解体・処分されます。しかし高橋建設では、祖父の代から家を支えてきた柱を削り出し、新居の扉や家具として蘇らせるなど、住まいの中に家族の記憶を残す家づくりを提案。そうすることで、自分の子供やその次の代へと思い出が受け継がれていくことを意識しています。

施主の想いを残す技術力が活かされたのが、知多市内にある築90年以上の古民家の全面改修プロジェクトです。長い歴史を持つ建物は、経年劣化による建物の傾きや床のひずみがあり、現代の安全・耐震基準に適合させながら改修するのが難しいという問題を抱えていました。
「窓ひとつとっても、まっすぐ取り付けたら柱が傾いて見えてしまう。古民家あるあるですが、それの微調整が大変でしたね。床もなるべく古い部材を使いつつ、安全に配慮して全面的に補修をかけて……。オーナーさんがこの家をどういう風に使いたいのか、具体的なイメージを細かく聞いて施工しました」
この場所が重ねてきた年月と雰囲気を大切に。施主さまとのイメージ共有の甲斐もあって、築90年以上の古民家はカフェやクラフトビールの醸造所を有する、地域の人々だけでなく県外からもお客が訪れる複合施設「SoN」へと生まれ変わりました。

単に性能を最新のものへとブラッシュアップするのではなく、そこに住む人が紡いできた物語を守る。大手ハウスメーカーには対応が難しい細かな心配りこそが、高橋建設が知多市で選ばれ続ける理由です。
6段階の定期点検にお客様アンケート
自然に口コミが生まれる地域密着体制
高橋建設のもうひとつの大きな強みが、施工後も手厚く施主の暮らしを守り続ける地域密着の姿勢です。
同社では、年間で大小合わせて約300件の施工や修繕を手掛けています。そのすべてが新築なのではなく、中には「網戸が破れた」「扉の建付けが悪い」といったごく小さな依頼も。どんな小さな困りごとでも、連絡ひとつで家に駆けつけます。

その細かな気配りを象徴するサービスのひとつが、施工後の定期点検。「お客様から連絡が来たら対応する」というスタンスの工務店も少なくない中、同社では1年、3年、5年、8年、10年、15年のスパンで必ず定期点検を実施しています。

「点検の時期が近付いたら、事前にはがきを送るようにしています。そうすることで、いざ訪問した時に『実はここが気になっていて……』といった小さな悩みも拾い上げられるようになりました」
確かに、突然訪問されて「何かありますか?」と言われても、なかなか言葉は出てこないもの。事前の案内は、住まいの長寿命化と高い顧客満足度の実現を両立しています。
職人から施主、施主から職人
「互いの顔が見える関係」の構築
高橋建設の高い施工品質を支えているのは、知多市やその近隣で活躍する職人たち。関係する職人は約20社、50人以上にも及ぶそうです。大手のハウスメーカーだと担当者が代わることもありますが、同社では10年後も同じ職人が定期点検に来てくれるような関係性を大事にしています。

その意識を象徴するのが、施工後に実施しているお客様アンケート。集まった結果は、施工を担当した職人にも包み隠さず共有しています。さらに、工事現場には施主の「こういう家を建てたい」という想いを、施主の顔写真とともに掲示するという一風変わった取り組みも。日ごろ職人が施主の姿をイメージできる機会は少ないため、互いの顔が見えることが職人のモチベーション維持にも一役買っているそうです。
施主側に職人の姿を見せる工夫として、最近はInstagramも開設。施行に至った背景や実際の施工現場など、普段なら見えない部分が見えることを意識しています。こうした「見える化」の徹底により、広告を打たずとも自然に口コミが生まれる高い信頼性を獲得しています。
暮らしの安全を作り出す
知多市が誇る街の工務店
透明性を向上させるのはもちろんのこと、お客様からの要望に応えるための努力も怠りません。雨漏り相談が増えたと感じるやいなや、高橋さんは「雨漏り診断士」の資格を取得。サーモカメラを導入した雨水の侵入経路の分析が行えるようになりました。

「最近、屋根点検時に足を滑らせてヒヤリとしたことがあって、ドローンの国家資格取得にも挑戦中です。職人さんを呼ぶのは時間も費用もかかりますから、自分で対応できることはどんどん増やしていきたいです」
どうしたらお客様が喜ぶか。その一心で研鑽を怠らない真摯な姿勢こそ、高橋建設が地域で選ばれる理由なのではないでしょうか。
取材後の写真撮影中、印象深かった出来事があります。事務所前を通りがかった下校中の子どもたちが、「こんにちは」と笑顔で挨拶してくれたのです。高橋さんはごく自然に挨拶を返していましたが、ご近所付き合いという文化そのものが廃れつつある都会では、今や中々見ない光景です。高橋建設は、思い出になる家はもちろん、知多市で暮らす人々の温もりと安全も作り出しているのだと感じました。



