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フード  |    2026.09.27

名物は懐かしくも新しい揚げパン!商店街で愛され続ける街のパン屋さん「ベルエポック」【神奈川県横浜市】

幕末に起きた生麦事件で知られる鶴見の生麦に、ちょっと変わった「揚げパン」を求めて、遠方からも来店する人が絶えないパン屋さん「ベルエポック」があります。

名物の「横浜鶴見あげパン」は懐かしくも新しい味です。

店主の八木下さんにお話を伺うと、街のパン屋さんとして地域の人たちとの繋がりを大切にしているパン屋さんの姿が浮かび上がってきました。

懐かしいけど新しい「横浜鶴見あげパン」

人気NO.1の横浜鶴見あげパン(151円)

京急生麦駅を降りて、古くからの商店街を抜けて角を曲がると、真っ赤なテントが可愛らしい街のパン屋さんがあります。その店が創業から43年にわたって地域の人たちに親しまれてきたベーカリー「ベルエポック」です。

このお店を、遠方からも足を運ぶ人気店にしたのが「横浜鶴見あげパン」です。

揚げパンといえば給食によく出た、コッペパンを揚げて砂糖をまぶしたちょっと食べづらいけど美味しい揚げパンを思い浮かべますが、こちらの揚げパンはそのイメージを覆します。

丸い形は至ってシンプルですが、両面にカスタードクリームを塗って揚げ、仕上げにグラニュー糖をまぶしたもので、カリッと揚げたパンの香ばしさに、中はふんわり。カスタードのやさしい甘さとグラニュー糖の懐かしい甘さも合わさったクセになる背徳の味。

この日のあげパンは3種類。真ん中から時計回りに「カスタード」「黒糖きなこ」「チョコ」

この揚げパンのベースになったのは、店主の八木下さんの高校生時代に購買部で売っていた揚げパンだそうです。

形は食パンを半分に切った三角形でしたが、お店に丸い食パン型があったので丸い揚げパンにしてみた、とのこと。「それがいつのまにか名物になっちゃった」と八木下さん。

「横浜鶴見あげパン」はこの丸い食パン型で焼き上げてから揚げる

この揚げパンは鶴見区が選定する「つるみみやげ」にも選ばれ、地域を代表する味の一つになっています。

「横浜鶴見あげパン」は横浜と新宿の「高島屋」、新宿の「イイトルミネ」でも買うことができます。

手頃な値段で美味しくてボリュームがある「ベルエポック」のパン

もはや地域インフラ(?)としての「街のパン屋さん」

揚げパン以外の陳列されたパンに目を向けると、どのパンもボリュームがあるのに値段が手頃なことに気がつきます。そのあたりのことを伺うと八木下さんの思いが浮かび上がってきました。

この店は「下町のベーカリー」なんだと、下町のベーカリーは美味しくて安くてボリュームがあるのは当たり前で、街の人に喜んでもらいたいと。そしてこの商店街全体も連携して活性化していきたいとおっしゃいます。

揚げパン以外の人気のパンを伺ったところ、「食パン系もよく出ます」とのこと。なるほど、日常食のパンが人気なのも下町のベーカリーならでは。

人気の「レーズンとくるみの田舎パン」とポテトチップをイメージした「ガーリックチップ」

それと、ラスク系のパンで「ガーリックチップ」が人気だとも。極薄なのでチップ。「ポテトチップみたいにビールのおつまみになるように作った」と。なるほど朝食から夜のおつまみまでカバーするとは生活に密着しているのです。

営業時間が8:00~20:00なのも、朝は通勤通学途中、夜は帰宅する前に立ち寄ってほしいということを表しています。このお店は、もはや街のインフラとしてのパン屋さんなのかもしれません。

「ベルエポック」は八木下さんの青春そのもの

店主の八木下(やぎした)さん
かつて「TVチャンピオン」の「パン職人選手権」に出演したことも。恥ずかしそうにゼッケンをつけてくれました。

店名の「ベルエポック」とはフランス語で「良き時代」の意味。八木下さんはそこに、自身の「青春時代」という意味も重ねているそうです。

独立前、八木下さんは横浜のベーカリー「ポンパドール」でパン職人をしていました。生麦在住の八木下さんは生麦駅を使っていて、いつも商店街を抜けて通勤していました。

いつかこの町でパン屋さんを開業したいと思っていたところ今のお店の場所がとんとん拍子に決まったのだと言います。

青春時代に覚えた技術をこの町で花開かそうという意味を込めて「ベルエポック」という店名にしたそうです。

八木下さんは現在70歳ですがまだまだ現役。八木下さんはパンの製造をメインに店舗の運営は娘の愛姫乃(あきの)さんが担当。「青春」は父娘二世代に引き継がれていると言えそうです。

娘の愛姫乃(あきの)さんは主にホールを担当

これからも地域との繋がりを大切にしていきたい

「ベルエポック」のパンは地域の学校やイベントでも販売しています。例えば「法政大学国際高等学校」「浅野高等学校」「白鵬女子高等学校」といった高校や、かつては地域の公立中学にも卸していました。

近所の小学校の生徒が考えたパンを具現化して販売するコラボプロジェクトも定期的に行っています。子供たちの描いたパンのアイデアを見て優しく微笑む八木下さんは本当に嬉しそう。

また、生麦は地域の祭りやイベントも盛んで、秋に行われる「旧東海道祭り」と令和元年から始まったイベント「生麦de事件DA!!」は線路を挟んだ、生麦と岸谷で同時開催。

ベルエポックはどちらのイベントにも参加しています。両方参加するのはかなり大変ですが、生麦と岸谷の橋渡しのためにも頑張っているとのことです。

「ベルエポック」のこれから

最後に今後の展望をお伺いすると、計画していることがあると仰います。

お店のすぐ近くにある「杉山神社」の境内に閉園してしまった保育園があり、その園庭を使っていろいろな屋台やフードトラックに、神社にある舞台「神楽殿」で太鼓や楽器演奏、踊りなども合わせたイベントを桜の季節に行いたいと。八木下さんはその発起人だそうです。

「生麦に比べて岸谷はおとなしいから若い人にどんどん集まってもらって盛り上げるイベントにしたい」と仰います。

なるほど「ベルエポック」は「街のパン屋さん」でありながら、「街と人を繋げるパン屋さん」なのでした。

お店の情報

ベルエポック

住所:神奈川県横浜市鶴見区岸谷1-23-7

アクセス:京急線「生麦駅」から徒歩約3分

電話:045-571-4150

営業時間:8:00~20:00

定休日:日曜・祝日

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この記事を書いた人

コヅカヨシノリ

神奈川県横浜市出身。といっても川崎に近い鶴見在住。幼少期から京浜工業地帯のソウルフード「ニュータンタンメン」を愛食し、よって味覚は濃いめ。町中華、町洋食、町蕎麦といった地域に根付いた大衆食堂に心惹かれます。旅することが好きで神社仏閣、古い庭園、地域の食文化、民藝、建築を巡ります。本職は飲食店プロデュース。

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